不埒なヤツの爪痕を…ネコは引っ掻き涙する
今回のエビロテ曲は…佐々木恵梨様の「はるのとなり」でした。
こんな内容にはそぐわないであろう素敵な曲です。(#^.^#)
“柾子” 視点です。
「ねえ、一番近いドラッグストア、ハックマツモト?」
今朝、私が積んで置いたスウェットだの靴下だのを慌ただしく身に着け、茜は掛けてあったブルゾンを手に取る。
「これ、借りてくね。オネエさんはバスローブのまま、布団に潜ってじっとしてて! なるだけ早く戻るから」
部屋から出ていく茜を私はぼんやりと見送る。
まだ痛み止めが効かないのか下腹部の重い疼きは、やはり“いつもの”場所とは違っていた。
ふいに、
最初のオトコから投げつけられた
「石女」
という言葉が頭をもたげ
頭の中を走馬灯が回り出して
私は涙で毛布を濡らす。
だったら一人で生きてやると、強がり、無理して手に入れたこの鉄とコンクリのゲージの中で、私は毛布という巣に潜って、ただただ震えている哀れなネズミだ…
ネズミなのに石女なんて
呆れるばかり
こんな自虐ネタをぐるぐる考えていると、茜が飛び込んで来た。
両手にレジ袋を抱えている。
「具合は? 吐き気とかはない?」
涙目を見られたくなくて、俯き前髪垂らしで私は頭を振った。
「ん、分かった」そういうが早いか、見事な脱ぎっぷりで茜は、細長い手足と幼い体つきを全て剝き出しにした。
「オネエさん! 行くよ」
裸のカノジョにバスローブごと抱きかかえられた私は、バスルームへ連行された。
--------------------------------------------------------------------
太ももでシャワーの温度を確かめてから、茜は私の下腹部にシャワーを振りかけた。
それから、シャワーホルダーにヘッドを引掛け私の背中にシャワーが当たるようにして、彼女はボディーソープを手の中で泡立てて、右の手のひらを私の下腹部へ当て、マッサージするように中心へ向かって行く。
ビクン!と身を固くする私の背中に、カノジョは左腕を回した。
「私が支えられるから、オネエさん!背中預けて」
降りかかるシャワーから弾けた水滴と私を支えるカノジョの左手の指先が、私の左胸を押すので
私はじんわりと反り返った
その瞬間、
私の中に、サクッと指が入った。
何かを探られた激しい痛みで私は叫び声を上げ、身をよじって逃れようとする。
「オネエさん!ダメ!! 頼むからじっとしてて!!」
カノジョは長い爪の指で、私の中から、赤色と黄色と緑色の混ざったモノを外へ掻き出した。
茜はそれをなるだけ隠そうとしてくれたようだけど、カノジョのショッキングピンクの箆状の爪の先にそれがベッタリと付着しているのが見えたのだ。
痛さと恥ずかしさでボロボロ泣きながら私はカノジョの所作を見た。
カノジョはキレイに洗い終えたその指を、先程ドラッグストアで買って来た化膿止め軟膏でこんもりとコートした。
私は次にされることが、否が応でもわかって腰が引ける。
「オネエさん。お願い!」
言われた私は駄々っ子のように頭を振る。
「そうだよね、ゴメンね、私、こんな爪だし…痛いよね うん、分かる 私も経験したから、物凄く痛かったから」
悲しそうに私を見つめるその目には涙が溜まっている。
「ひどいよね、あんまりだよね」
カノジョの瞳は
無機質っぽっく
でもその中心だけは
燃えるような光が満ちていた。
何だろう??
気をそがれたその一瞬
カノジョに
唇を中まで奪われた。
甘い快感を引っ張り出されたタイミングで
私の中へ怖いモノを入れられ
私はカノジョの喉を目掛け、叫び声を吐いた。
--------------------------------------------------------------------
“お着替え”まで茜に手伝ってもらって、私はベッドに入った。
カノジョはベッドの脇にペタン座りをして
私の頭を撫でたり、頬を指の背中でくすぐったりしながら
子守唄のように
囁く歌声を聞かせてくれた。
その歌声に
ウルッとすると
カノジョはキスで涙を拭ってくれた。
「なにか食べられそう? レトルトのおかゆ、買ってきたよ。たまご、さけ、梅と」
「梅がいい」
「分かった、あっためる」
「アナタもお弁当食べて、良かったら私の分も…」
「大丈夫、一つで充分。後は…」
無意識に毛布の中から伸ばしていた私の手を取って
茜は言葉を継いだ。
「明日、考えよ!」
この後も
ひたすら痛いお話が続く予定…(/_;)<m(__)m>
ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!