ゲージ
第2話は 茜(Matilda)視点です。
直接的な表現をなるだけ抑えたので、意味わかるかしら…(^^;)
あと、茜の“人となり”を鑑み、難しい漢字の使用も抑えました(*^^)v
“茜” 視点です。
「駅ナカのクリーニング店なら8時から開いているから」
そう言って彼女(マサ子さん)は私のブレザー、カーディガン、リボン、ブラウス、スカート…つまり一式をショ袋に突っ込んだ。
「あと…大したモノはないけど、適当に食べてて、ただ火の用心だけは徹底してね」
私にベッドを譲ったせいだろうか? マサ子さんの体調はいまいちのようだ。
もしくは、トイレの小ゴミ箱の中身がわずかにフタを押し上げていたので…
そういう事なのかもしれない。
ただ… なんだか違和感がある。
私自身が香りの良いきれいなせっけんやボトルで磨かれたせいなのかもしれない…
たいがいのオトコの浴室は、あってもせいぜいボディーソープで…
いつだったか、“ハゲ用”のシャンプーでカラダを洗った事がある。
その後、その部屋の住人に舐められた時に
「なんか懐かしいにおいがする」と耳元でささやかれて
つながれていた私は
こみ上げて来る笑いを抑えるのに必死だった。
だって、早く終わらせようと演技をしていたから…
こんなヤツらは基本、バカなので…
少しの事に目をつぶれば
サクッと終わる。
金属のドアが閉まる音がして
私は本格的にベッドから出る。
下着は…
上は私には合わないので…
下だけ借りた。
仕方ない。
かばんの中のも含め、私の下着は、今、洗濯機の中をグルグルしている。
その代わりにと
マサ子さんが布団の上に置いてくれたのは
薄いグレーのテラテラ光るシルクのキャミだった。
これだと、先が擦れても痛くないらしい。
こんなことをオトナ女子は考えるのかと、私は別の笑いのツボにはまる。
さっきエアコンのスイッチを入れて部屋を温めておいたので
私はキャミとショーツで棲息することにした。
カップ麺に沸かしたお湯を注いでフタの上に割り箸を置き、まずは冷蔵庫からガサ入れをする。
やっぱり、このラップの中身
お札だよね
次はトイレ…
ん? ケガのにおいがする
私はゴミ箱に目をやる
ま、トイレは止めておこう
しかし隠し場所にはオトコもオンナもないなあ
押し入れに首を突っ込むと
次々と出て来た
なんだ?
このディスク?
メモ付いてる…
古い??
『これでも見て、勉強したら♡(#^.^#)』
って、
何だ?
テレビ点けて
その置き台になっているレコーダーにディスク突っ込んでみた。
ガサガサ音がしてどこかの部屋が映し出される
ああ、
そういったヤツか
私はビデオを流しっぱなしにして押入れの探索を続ける。
手前の座布団を取り除くと、押入れの奥の方に向かって手が入る路が出来ていて、その奥にハードカバーのノートが立てかけてあった。
ズズズと取り出すと日記帳のようだ。
しかし表紙は、ほこりっぽく無く、たびたび手に取っている感じ
パラパラと開くと裏面がキジの柄の一万円札と…平安模様?の二千円札がはさんである
ビンゴ!!
あと、何?
このブサメンの写真!
挟んであるページの文字を読んでみる
えっ??!
これって!…
えっちな日記??
なんだかテレビもアヘアヘ言い出したし…
マジかよ…
これなんて読むの?
悦ぶ 弄ぶ
スマホで『カメラ検索』すると…
ヨロコブ モテアソブ と出る
どういう意味??
調べてみる。
ウヘェ!!
オネエさん! ヤバっ!!
私はいったん、目を離しかけたが
こんな女子向けビデオもえっちな日記も お金に転がるネタになるかも、とマジメに取り組むことにした。
でも
なんだか
汚れてるページがあったりして
イタイよ オネエさん
こんなブサメンが…
初めて??
そこには
一部始終が
克明に
書かれていた。
汚れたページは
きっと
お気に入り
だってしおり代わりにレシートまで挟んである、割と最近の日付の…
逆に終わりの方のページは
ほとんど手付かず
カノジョ アタマの中で
こんな、カネにならないブサメンとのえっちを
今流れているビデオみたいに
何回、再生を繰り返したんだろう
悲しくてイタイ無駄な事
ワタシはそう思えるのだけど
えっ??
でも、昨日、オネエさん
ヤったって言ってたよね
じゃあ
昨日も流血??
で、
また
キモられた??
ああ
そうか
だからオネエさん
ウザかったんだ
なのに
私に傘をさしかけて
突然泣いたりして
なぜ??
理由分かんない
… …
あれ
涙??
何で私まで
泣いてんの??
アヘアヘ声が流れている
この部屋で…
いけね!
涙で
カラコンずれた
洗お!!
ワタシ、カラコン洗いながら
少なくなってきた洗浄液を
このオネエさんのお金で買おうと
考えていた。
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バレないように慎重に片付けて、オネエさんの帰りを待っている。
いつものスマホのサイトをONにしたら
アポメッセが次々と入って来る。
今月は“安住の地”の為の稼ぎのノルマをまだ達成していない。
“ヤドカリ物件”も押さえなきゃだし、早く商売道具を取り返して、出て行かねば
やがてガチャンと!金属のドアが開いて
オネエさんが帰って来た
「コンビニでお弁当買ってきた」
テーブルの上にレジ袋を置くと
オネエさんはうずくまる。
「オネエさん クサイ!」
「ええっ??!!」
「ケガのにおいがする!」
オネエさん
ヨロヨロと立ち上がり
トイレにこもってしまった。
ワタシはさっきの日記を思い出してざわざわしてしまう。
やがてよろけ出てきたオネエさんの顔は真っ青で、冷や汗をかいている。
「オネエさん、その顔、ヤバいよ! 病院行かなきゃ!」
「行かない…」
「どうして?! オネエさんなら問題なく行けるでしょ?!」
「ダメ! 恥ずかしいから… 大丈夫、こういう時の為に抗生剤と痛み止めを貯め込んである」
オネエさん、ドレッサーの引き出しから、銀色のシートを引き出して中身をプチプチと出し、口へ放り込むと水で飲み下した。
「ゴメンね。今日はベッドで寝かせて」と布団の中にモゾモゾ潜り込もうとする。
「ダメダメダメ、ワタシ、手伝うからシャワー浴びよ!!」
イモムシになろうとするオネエさんをやっとのことで引っ張り出し、シャワーを浴びさせる。
つくづく、キャミ、ショーツ姿で居て良かった!!
茜ちゃんのクルクルとした性格を描写できたかしら…(^^;)
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