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第三十三話  遭遇

 迅らはキクリの案内のもと城内を走っている。迅は走りながらも気になったことを訊く。


「ミサキさんのチカラはハヤト君にも影響与えられるんだね? 」

「はい。僕も一緒に……何人も出来るのかは……」

「わたし、ハヤトしかやったことないからわからないです」


「そうか……」



 キクリの案内のまま道を進めていくと地下のある場所につきあたる。

 ここにくるまで帝国兵と出くわすことはなかった。もしかしたらあらかたの兵は外へと出払っているのかもしれない。そんな人気のない通路先にそれはあった。


 そこは金属で頑強に組み合わされた壁で、間違いなくその中から不快な音が発生していた。大きな扉のような入り口があり、この『桎梏』の拘束力を完全に信頼してるかのように特に見張りなどはいない。

 まず、試しに扉のような場所にマーナの矢を射ってもらう。


『ドンっ』『ドンっ』……と重低音が響き渡るとともに白い煙を立てながらその扉は崩れ落ちる。




「えっ! ……すげー威力だな……」

「……ホントですね」


 試すつもりのマーナの矢の威力は想像以上のもので、迅もハヤトも唖然とする。扉のあった場所から入れる状態になったと同時にレンカがシュルシュルと素早く入っていく。


 レンカさんもすげーんだよな、あれ。地面泳ぐみたいにメチャ早く動くし、もしかしたら普通の状態より速いな……


 迅らも後を追い中へと入る。少し薄暗い中の想像を遥かに超えた広さと高さは体育館を思わせた。機関室のように様々なパイプやらコード線のようなものが室内全体をはりめぐらせている。


 広いスペースの中央に、幅十メートル位の、天井を突き抜けようなそびえ立つ円柱。どうやらそこが心臓部らしい。その円柱の周りにも間隔をあけて幅二、三メートル位の支柱が同じように立つ。


 この広さに対しては、少ない感じの帝国兵七、八人が心臓部らしい場所を管理していた。扉破壊の音に気付いたのか、こちらに向けて銃を構えていた。すでにレンカがすぐ側まで進入していることは気づかないようだった。




 迅が作戦を立てる前にレンカとハヤトが行動起こす。


「なん……」


 帝国兵一人がまともにしゃべる機会も与えられず、レンカが足元から全身に絡みつき喉笛を噛み切る。その隣の帝国兵も気づくか気づかないかのうちに頭部を『ボンっ』『ボンっ』という鈍い音とともに破裂させる。


 続けざまに数人の兵の首からおびただしい量の血が噴出したかと思うと、ミサキが数メートル離れたところで姿を現す。手には血のべっとり付いたナイフを持っていた。




「うわっ……えげつな……ちょっと、全部は殺さないでください」



 瞬時に帝国兵がつぎつぎと倒れ残り三人までのところで、狂ったように奇声を発しながら銃を乱射し始まる。が、マーナの金の矢が二人の帝国兵の銃を持つ腕ごと『ドンっ』『ドンっ』と吹き飛ばす。



 最後の一人の頭が歪みかけたとき、迅がハヤトに向かって抑えるようにいう。



「ちょっとストップストップ!! 」



 迅に抑えられたハヤトはチカラを止めたようで、破裂手前まで頭を歪ませた兵は手で頭を抱え、震えるようにうずくまった。



「殺したいのはわかるけど、ちょっと訊きましょう、この機械について」



 わめき叫ぶ片腕を飛ばされた兵に機械の止め方を訊く。


「うがああああっ、知るかくそがあああっ」


 ……これは情報訊き出せそうもないな、残り一人も……迅は考える。普通に壊していいのか、手順どおりに解除しないと何か起こるのか……




 迅は中央の巨大な円柱を指し訊く。


「ハヤト君、これどうすればいいかわかるかい? 」

「ん。……壊すだけじゃダメなんですかね」

「あっ。キクリわかるか。これ止めんの? 」


「うん。まって……」


 暫しその大きな機械の塊の円柱をくまなく凝視するキクリは、ある一点を指差し、


「ここ止める……」



 そういわれた場所にマーナの矢が放たれようとしたとき、迅らが進入してきた入り口に何者かの影が立ち、怒りをにじませるかのように、その影はしゃべり始める。




「どうゆうことなのだ、これは一体。……なんの報告も上がらず来てみれば……どおゆうことなのだ!!!」




 迅らはいっせいにその影に目をやり、各々が一瞬の間に想像を巡らせただろう。迅は、まさか、とは思ったが、その影が言ったセリフの内容、雰囲気、なによりその忌々しい声で、それが帝王本人であることを確信した。


 そしてそこにいる全員が同じ考えであることも見て取れ、それはすぐに始まる。




 マーナ渾身の矢が閃光のように三本、影に向かって放たれた。


『ドドドンっ!!』と鈍い音とともに火花のようにその場に光が弾ける。




 火花が散った後には何事もなかったようにその影は佇んでおり、そこから言葉が続く。



「なんとも珍妙な虫どもがおるわ……」

「誰が珍妙よっ! 」


「レンカさん。下がって! 」


 まともに受け答えてどーすんだ。レンカさんの姿見ていったわけじゃないだろ。どうやって防いだ? 障壁があるかのように矢は弾かれた。



「とにかく隠れて! 」


 迅の言葉に各々が側の支柱の陰に隠れる。

 

 迅は剣を手に取り入り口に目を凝らす。その帝王らしき影のそばに数人の人影が見える。



「帝王一人じゃないです。何人かいます。それと障壁みたいな防御つかえるから迂闊に飛び込まないで」


 迅は仲間に聞こえる程度に言葉を出す。





「この桎梏の中活動できるということは人かエボーか。珍妙な者ども以外は…………許さぬ……許さぬぞ……簡単には殺さぬ。簡単にはな……」


 その影は静かに怒気を込めるように言い放った。




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