プロのラノベ作家になりたい
「プロのラノベ作家になったらクラスの人気者になれるんだ!だから俺はプロのラノベ作家を目指す!!!」
テレビから聞こえた主人公のこの言葉で、速水の人生が大きく変わることとなる。
「俺も、プロのラノベ作家になって、クラスの人気者になりたーい!」速水は、主人公の言葉を聞くなり、そう叫んでいた。高校に入学し、人見知りな性格上新しい友達を作ることが難しかったのだ。プロのラノベ作家になったら、少しは自分のことに興味を持ってくれるのではないかという安直な考えかもしれないが、速水にとっては大真面目な考えである。
「あんた、本当にプロのラノベ作家になりたいの?ていうか、ラノベを読んだことある?」七条は嘲笑うように言った。
「えっ、無いけど。俺はこれから勉強して、本気でプロのラノベ作家になるから。」
そうである。実は、速水はラノベを読んだことのないラノベ初心者だったのだ。しかし、速水の目はとても真剣で、冗談で言っていない目つきだった。七条は少し考えてこう言った。
「あんた昔からアニメに影響されてなんでも馬鹿みたいに突っ走るタイプだもんね。さっきは笑ってごめんなさい。」
速水の真剣さに心打たれた七条は速水に協力する決意を固めた。
「じゃぁ、まずはラノベを読まないとだよね!」
七条のこの言葉に速水は少し驚いた。
「えっ、協力してくれるのか?」
七条は微笑んで、
「もちろんよ。あなたが頑張っているところ嫌いじゃないから。」と小さな声で言った。
そうして二人は夏休みが始まった今日、プロのラノベ作家になるという速水の唐突な決意から始まり、二人三脚で歩み始める第一歩となった。