始まり
今日は7月31日 高校の終業式の日だ
朝早く静けさが漂う教室で、この物語の主人公である速水 克樹と七条 夢が2人で、話している。
「ねぇねぇ、今日ってラノベの神様がやる日じゃない?」
夢は目を輝かせながら話す。
「そうだな!あのアニメまじで神作品だよな!
久しぶりにハマったアニメだわ〜」
克樹もを心踊らせながら話す。
二人は同い年で、家が隣。つまり、小さい頃から仲が良い幼馴染みである。普通、高校生にもなれば、男女での友情は難しいものとなるだろう。しかし、二人はその逆だ。高校に入って、同じクラスになり、さらに仲良くなった。仲がいいのはいいことだ。だが、周りはそうは思わないだろう。男女の仲がいいというだけで冷やかされることもある。だから二人はこうして、朝早く学校に来て、誰もいない教室の中二人きりで話しているのだ。
うきうきしているからだろうか、終業式は早く感じる。そうして、終わりのチャイムと共に、高校生活初めての夏休みが始まった。
「早く帰って、アニメ観賞のために用意をしないとな!」
速水は足早に自宅へと向かった。
家に帰る途中、速水の携帯が鳴った。
「あっ、もしもし。克樹?今日のラノベの神様一緒に見ない?ちっちゃい頃一緒にアニメ見てたみたいにさ!後でうちにおいでよ!」
思ってもみない電話だった。速水は驚き、足を止めて黙ってしまった。
「克樹?聞いてるー?」
「おっ、おう。わかった、5時くらいに行くから。」
「うん!待ってるね!」
電話がかかってきたことにも驚きだが、七条の家で一緒にアニメを見るなんて。色々と緊張でしかない。しかしこの緊張はあっさりなくなってしまう。
速水は帰宅し、準備を済ませ、約束の時間に七条の家に行った。
「やっほー!待ってたよー!」
速水とアニメを見ることを楽しみにしていた七条は満面の笑みで速水を家に招き入れた。
「お邪魔しまーす。」
一方速水の方は緊張して、強張った表情で言う。
「なーに緊張してるの?たしかにうちに来るのは久しぶりかもしれないけど、どーせ一緒にアニメ見るだけだし。」
そう言って、リビングに行き、二人でアニメの放送を待った。
「やっと始まる!」
七条はテレビに釘付けになって目を輝かせている。
二人はラノベの神様に夢中になり、速水は先ほどの緊張どころではない。なぜなら、この作中に出てきた、主人公の一言で速水の人生を大きく変えてしまうのだから。テレビから耳に入ってきた言葉。それは、
「プロのラノベ作家になったらクラスの人気者になれるんだ!だから俺はプロのラノベ作家を目指す!!!」