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いい加減にしてくれ、ダンジョン!  作者: 景浦良野
5章
68/112

5-3 あの日とは違う

 階段を上った先はまたも回廊が続いていた。同じような高い天井と窓。代わり映えのしない景色に、自分達がちゃんと前に進んでいるか怪しくなってくる。

 陽花が窓に張り付いて「おおー」と声を上げるので、俺も一緒になって外を覗くと、想像以上にいい景色が広がっており思わず「おおー」と声を上げてしまった。

 さっきみたいなえげつないモンスターが出てこなきゃ、本当に観光地にでもなりそうなもんなんだけどな。


「今んとこ仕掛けらしいもんも見つかんねーなー」

「ええ。まだ序盤だから、でしょうか」


 あの鎧を倒すのが先に進む条件だったりしたら最悪だけど、まあそうなってるとしたら、とっくに攻略なんてされてるだろうな。

 3人で周囲を見回し、怪しい物がないかを探りつつ歩く。

 時おり景色に夢中になる陽花を引き戻してやりながら先へ進んでいくと、今度は何とも遭遇しないままに回廊が終わり、広間に出た。

 ここまででもやはり、仕掛けっぽい物はなし。

 けど、どちらかと言えばこの広間の方が仕掛けがありそうなもんだ。

 そう思って奥を見ると、レバーがあるのが見えた。


「あるじゃんあるじゃん、それっぽいの!」

『ちょっと、そんな無警戒に先へ進んだりしたら……』

「大丈夫だって。ほら、どこ見回してもモンスターなんていないだろ。心配性な奴だな」

『あなた、少しは自分の弱さを自覚しなさいよ』


 なんて容赦ない事を言うんだ。

 俺のモチベーションが下がって攻略に差し支えたらどうする。

 ウンディーネの心配に反して、モンスターは出ずにレバーまで辿り着く事ができた。

 レバーの下には人が3、4人は立てそうな円形の床。

 ゲームとかで考えれば、レバーを操作すると床が動く、エレベーター的なやつだろう。

 上なのか下なのか、どちらに行くにせよ先へは進めそうだ。


「ボクがやる! ボクがやるっす!」

「あー、はいはい、わかったから」


 3人で床に立ち、ぴょんぴょんうるさく騒ぐ陽花にレバーを引かせてやる事にした。


「陽花、気を付けて」

『引いた瞬間、床が落ちてみんな死ぬかもね~』

「おい陽花、お前のとこのがまた何か言ってるぞ」

「知らないっす」


 この子なんでシルフ相手だとこんな厳しいの。

 また膝を抱えているであろうシルフを哀れに思っていると、陽花はレバーを手前に倒した。

 すると、わずかな震動の後、床がゆっくりと降下を始めた。

 正直俺もシルフの言うように、一瞬で床が落ちるトラップかと思って警戒してたけど、それはないらしい。

 ギュルギュルという音と共に降下していくエレベーターが止まるのをしばし待つ。

 …………長い。

 どこまで行くんだ、これ。

 まさか地の底とか、そういうオチじゃないよな?


「ここで止まったらヤバいっすね」

「主従でシャレにならん事言って不安にさせんといて……」

「ここまでは簡単に辿り着けますし、既に調査もされているでしょう。即死するような罠であれば、何かしら注意喚起があるはずです」


 真琴の言う通り、ここはマップにも表示されている。この先は小部屋になっていて、そこからテラスに出られるらしい。

 それを違える事もなく、エレベーターは無事に小部屋に着いた。

 小部屋から外へ出ると、マップ通りのテラスだ。

 一階層にはサプライズはなさそうだな。あの馬鹿デカい鎧でも出ない限りは。


「曽良さん」


 真琴の声に視線を向けると、彼女は一点を見つめていた。

 視線の先には2体の石像。犬のような頭で、人の体に翼が生えている。ファンタジーじゃおなじみ、ガーゴイルだろうか。大きさは2メートル程度と比較的常識的なモンスターだ。

 ミノタウロスよりは威圧感がない。あれは狭い所で戦ったからってのもあるだろうけど、放ってるプレッシャーが段違いだった。

 ガーゴイルもこちらへ気づいたらしく、のしのしと歩み寄ってくる。


「子供の頃……」

「?」

「このダンジョンが出現した日、初めて見たモンスターがあれでした。ここが地獄だと、そう錯覚したんです」


 確かに、あんなもん子供の時分に見たらトラウマもんだよな。

 真琴は剣を手の中に出し、構える。俺もアクア・ネビュラを構えた。

 それに応じるようにガーゴイルも吠える。


「今は、怯えていただけのあの日とは違う……。行きましょう、曽良さん、陽花!」

「おう。人間様の力をわからせてやろうぜ!」


 飛びかかってくるガーゴイルに向け、俺達は駆け出した。


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