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いい加減にしてくれ、ダンジョン!  作者: 景浦良野
3章
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3-6 シリアス…?

 静夏さんを俺の部屋へ置いて、急いで渋谷へ向かう。ここからは20分というところだ。

 陽花と真琴だけでヒカリヤへ向かった? 何のために?

 エクスプローラーの2人があんな場所に用があるとすれば……ヒカリヤのダンジョン攻略だ。

 確かヒカリヤのダンジョンは、入場するのに必要なランクはB。真琴はその条件を満たしている。陽花はランクには満たないが、ランクBの真琴の同伴という形であれば入る事ができる。

 だが、あんな所に入って無事でいられるはずがない。

 国内屈指の最難関ダンジョンの位置づけは伊達じゃないんだ。死者の数も他のダンジョンとは比べ物にならない。

 陽花に何度電話をかけても繋がらない。ダンジョンには電波が繋がらないものも存在する。ヒカリヤもそんなダンジョンなのだろう。


「くそっ、スピード上げてくれ……!」


 電車の窓を叩きながらそんな事を呟く。

 もどかしい。まだ着かないのかよ……!

 頼む、無事でいてくれ。陽花も真琴も、何かあったらと思うと居ても立ってもいられない。

 2人とも大切な仲間なんだ。

 俺の祈りでスピードが上がったわけじゃないが、とにかく渋谷駅に着いた。ヒカリヤは駅のすぐ前だ。

 俺は駆け出し、


「あれっ、センパイ、何やってんすか?」

「ずいぶん急いでいるようですが、何かあったんでしょうか」

「……は?」


 フツーに両手に袋を持った陽花と真琴と出会った。


◆◇◆◇


 陽花と真琴と一緒に電車に揺られながら帰る。

 にしても…………恥ずかしっっっっ!!

 一瞬マジな空気になった自分が恥っずかしっっっっ!!

 恥ずか死したい、もう。穴掘って埋まっていたい。

 まさかのシリアス展開かと思ってちょっとテンションおかしくなっちゃったじゃん。


「マコと買い物行ってたんす」

「先に言っといてくれ……」

「えー、水着とか買うの、着いて来たかったんすか?」

「ごめんね! そうだよね! なんでもないから気にしないで!」


 しかもフツーに買い物してたらしい。

 俺が無事を祈ったくだり、なんだったんだ。


「……でも、ヒカリヤって店なんてやってるのか?」

「ええ。買い物は別の店で、陽花とはカフェに寄ったんです。それにしても、曽良さんとも渋谷で会うなんて奇遇ですね」

「そ、ソウダネー」


 顔を覆って気まずい表情を悟られないようにするしかない。

 ロドリゴの奴、いつか覚えてろよ……。何かできるとも思えないけど……!

 陽花は途中駅で下り、しばし真琴と2人きりになった。


「陽花さんが心配でしたか」

「へぁっ!? えっ、いや、別に……」

「ふふ。私が陽花さんをヒカリヤに連れて行ってると知って、飛んできたのでは? あの切羽詰まった様子、さしずめ、姫を救出に来たナイトといったところでしょうか」


 かあーっ、キザですこと!

 真琴レベルの美形じゃないと言えないからなこんな恥ずかしい事。


「心配しなくても、今の陽花さんをあんな場所に連れて行ったりはしませんよ」

「今は、って事はいずれ連れて行くつもりなんか」

「…………」


 俺の質問に真琴は沈黙で返すのみだ。


「あんな場所、危険を冒してでも行かなきゃいけない理由があんのか?」

「名声や財宝のためだと言ったら怒りますか?」

「別に……。それがマジなもんならいいんじゃね」

「へえ。あなたの大事な人を巻き込んでも、ですか?」

「あいつも馬鹿じゃないんだから……いや馬鹿なんだけど、自分で考える事くらいするよ。嫌だと思ったら着いていかない」


 俺の言葉が意外だったのか、真琴はまじまじと見つめてきた。

 顔の良すぎる人にじっと見られると照れるぜ。

 まあ俺の言葉だって嘘じゃない。着いて行くかどうかは陽花が決めるだろうし、そこに俺がどうのこうの口を出す事じゃない。

 真琴がお金を稼ぎたいと言うなら危険だからとそれを止める事もしない。

 ただ、


「次からは俺も呼んでくれよ。仲間外れはガキの頃のトラウマなんだ。あっ、役に立たないからとかはやめてくれよ。いざとなったら荷物持ちでも何でもするんでこの通り」


 ぐっと頭を下げると、真琴はくすくすと笑ってくれた。


「では、私はここで」


 真琴が電車を下りる。振り返った真琴が、軽く手を挙げたので、俺も同じ仕草で応えた。


「曽良さん!」


 妙に晴れやかな顔で、真琴が口を動かした。

 何を言ったのかは発車ベルに紛れて聞こえなかったが、なんとなくそれが、「ありがとう」。そう言っていたように思えた。


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