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いい加減にしてくれ、ダンジョン!  作者: 景浦良野
2章
24/112

2-6 どうすりゃいいのこの空気

3,000PVありがとうございます!

 色んな意味で冷たい空気の中、俺達はダンジョン攻略を進めていた。

 女子3人……正確にはダンジョン生命体が1匹……は既に打ち解けたのか、俺から5歩進んだ位置を歩いていた。

 そりゃ俺だってね? 性別間違えてたのは許されざる事だと思うよ。

 でもほら、仕方ないじゃん? 立ち居振る舞いがさ、本当にカッコ良かったんだって。まさに理想の王子様っていうか。

 だから決してナメてたわけじゃないし、たとえ同性だったとしても絶対そのうち目覚めてたと思うんだ。

 ……などと言い訳したところで当然聞き入れてくれるわけもなく、ウンディーネは執拗に自害を迫ってくるので話が進まなかった。

 お前は俺が死んだら困るだろ、普通に。


「マコはなんでエクスプローラーになったんすか?」


 わあ、陽花ちゃん、ようやく人懐っこさを取り戻してる。

 俺には目も合わせてくれないのにな。


「うーん、シンプルにお金のため、かな。お世話になってる叔父さん夫婦に、学費も返したいし」


 真琴は俺にはまだ敬語なのに、陽花にはタメ口なんだね。

 真琴はまだ18歳なのに。俺と陽花、そんなに歳変わんないよ? 俺にもタメ口でいいよー。


「偉いわね。どっかのフリーターと大違い」


 お前は本当に黙っててくれ。

 ていうか、なんでこのタイミングで外に出て来た?


「ふふ、私も高校を出てから定職に就いていないし、フリーターに変わりはないけれど……」

「センパイは悪いフリーターっすから!」


 おい。

 お前こないだまで俺の事、「センパイは自由を求める旅人なんすよ! すげーんす!」って擁護してたろ。

 なんだその好感度の反転は。泣くぞ。


「なあ、ウンディーネ」

「はあ!?」


 振り返ったウンディーネがキッと睨みをきかせてくる。

 怖い。泣きますぞ。


「ウンディーネさん……あの、ボスはまだ遠い感じで……?」

「ふん……。そうね、まだ気配を近くに感じない」

「あのベヒモスとかいうの、なんか知ってる雰囲気だったけど……何か関係あるのか?」

「………」

「なあ」

「うるさい、下衆男」

「酷くねえ!?」


 抗議したところで今この場では誰も俺の味方なんかしちゃくれない。

 ならばといい所を見せようとするのだが、出てきたペンギンもシロクマも魚群も、全部俺より強い2人が処理してしまう。

 なんなら俺が気が付かないうちに処理してる事だってある。

 で、その度に陽花とウンディーネがイヤーな目を向けてくる。

 これ、心折れちゃうよ?


「まったく誰かさんが役に立たないおかげで、陽花さんも真琴さんもめきめき強くなって行くわねー。ねえ、曽良?」

「ソッスネ」

「ほんとねえ〜、どうしてかしら、ねえ〜?」


 さっきから事あるごとににょーんとウザい顔で覗き込んできよる。

 し、シバきたい…! でもそんなことしたら、今度こそ陽花に絶縁されそうだ。

 別に好かれたいわけではないけども! 嫌われたくはないじゃん!

 だって可愛い後輩ですし!? ああ認めるよ、俺、陽花くらいしかまともに友達いねーもん!


「あ、あの、2人ともそのくらいに……。私は本当に、気にしてませんから」

「真琴さん……」

「駄目っすよマコ。センパイは一度、女の子の心を分かった方がいーんすよ」


 容赦なしかい。

 などとやっている間に、2つめの部屋に着いた。

 俺を放ってさっさと扉を開けて進もうとするので、さすがに俺もその列に加わる。

 もうこれ以上、俺の弱い心を虐めないでおくれ。


「おっ、と……。あれ、さっきのベヒモス、か?」

「今度こそカバっすよ!」

「ちっ……がう事ないな、うん。あれは陽花の言う通り、カバだよ」

「っすよねえ~?」

「そうだぞー、陽花は頭いいな。目もいい。俺には全然分かんなかったよあれの正体」

「調子に乗らないでほしいっす」

「はい」


 え、この子、めっちゃ厳しくない?

 どうしたら許してくれるのかしら。

 ともあれ、ここにいるのはさっきと同じベヒモスだ。

 とすれば打ってくる手は分かっている。水弾は、食らった所で俺には脅威にはならない。

 せいぜい転ばされて尻を打つだけだ。


「おうコラ、ベヒモス君よお!? 陽花さんと真琴さんが出るまでもねえっすよ! ここは俺がやってやるってんですよ!」


 イキり散らかしながらずいずいと間合いを詰めていく。

 教えてやるぜ、喧嘩の極意。それは退かない事、媚びない事、省みない事。なんかたぶん、そんな感じだ。喧嘩した事ないけど。

 ヘイヘイ、ベヒモス君ビビってるよおー!

 俺のアクア・ネビュラで尻を掘られるのも秒読み……。


「馬鹿! 伏せなさい!」

「はい……?」


 ウンディーネの叫び声に思わず振り向く。

 それがまずかった。

 なんかヤバい、と思って視線を戻そうとした瞬間、既にそれは眼前に迫っていた。

 巨大な氷の塊……おそらく、ヒレの部分が、俺の頭を吹き飛ばした。


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