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いい加減にしてくれ、ダンジョン!  作者: 景浦良野
5章
107/112

5-42 はぐれフリーター地獄変

 何も言わずとも、2人は肩を組んで円陣を作ってくれた。俺達のチームワークも確立されたもんだぜ。

 厚い信頼に裏打ちされた超スペシャルチームと言える。


「またなんか思い付いたんすか? センパイが自爆するとか?」


 まあ、こういう奴もいるって事で。あとでシバく。


「それは最後の手段に取っておくとして、いいか? 俺達がバラバラにぶつかっても勝てない。今こうして、全力以上出せてる能力を合わせるんだ」

「つまり?」

「3人揃ってすげー頑張る、だよ」

「……ふっ、いつも通り、単純明快ですね。わかりました、それで行きましょう」

『てめェらいつもこのノリでやってきたのかァ……? よく生きてやがったな……』

『呆れるほど馬鹿集団じゃん。まあ、その馬鹿と契約してる僕らも大概だけど……』


 アホ2匹が呆れる声が聞こえるが、ガンスルーしてやる。

 超常のモンスター相手に、ぶっちゃけ有効打を与える方法なんて思いつかない。

 けど、俺達だって普通じゃないんだ。能力を合わせれば勝機はある。


「こう、俺達の攻撃を重ね合わせたら、合体魔法的なの撃てないかな?」


 と、提案すると、陽花も真琴も露骨に俺を憐れむような目を向けてきた。

 あれ? 俺また何か言っちゃった?


「ええと……発想はとても素敵だと思います」


 と、真琴がニッコリ王子様スマイルを浮かべる。

 おい、なんでそんな気を使った物言いなんだよ。やめろその笑顔。逆に不安なるわ。


「センパイってアホなんすか?」


 お前にだきゃ言われたくねええ~~!

 限界ぶっちぎったマイナスINTの持ち主だろが、お前は!


「なんでだよ! いや、合体魔法って言い方はちょっと馬鹿っぽいけどね!? ニュアンスで伝わるじゃん! こう……あるだろ!」


 手をワキワキさせながら必死で主張すると、さも当たり前のように、陽花が短いため息を吐いてから言った。


「や、センパイ今めっちゃ強いのに、ボクらの攻撃に能力合体させたらフツーに火が消えておしまいじゃないっすか」

「…………あれっ?」


 あー! そうじゃん、俺今、水操ってるじゃん!?

 真琴が火出して、そこに陽花が風をぶつけて、そんで俺が水ぶっかけたらちょっと贅沢な火遊びだよ! まあ煙が風流ね、ってアホか!

 頭にダメージ受けすぎて思考が終わってしまったのかもしれない。

 ここは、2人だけ攻撃を合わせてもらおう。俺は別口で……。


「曽良さん、あのモンスターの胸のところ。あれはなんでしょう」

「ん……?」


 真琴に言われて見上げた先、青色の何かが見えた。ドクドクと脈打つように蠢くそれは、位置的にもまるで心臓のようだ。

 もしかしてあれ、弱点じゃね?


「ジズ! あいつの胸に攻撃できるか!?」

『御意!』


 するとベヒモスが攻撃を受けながらも前進し、強引にモンスターの頭をかち上げた。リヴァイアサンも首を拘束するように巻きついて胸を晒させる。

 そこにジズが高速で突っ込み……弾かれて城の下へ落下していった。

 何が起きたのか一瞬理解できなかったが、どうやらモンスターの防御を破れなかったようだ。

 マジかよ、あのジズが……。けど、それだけ強固って事は、何かあるって事だよな。

 攻めてみる価値はある。


「あそこ目掛けて全力ぶっ放せば、倒せるんじゃねえか」

「可能性は高いですが、どうしますか? 陽花は弓で攻撃できるけれど、私達は接近戦を挑まなければならない。今の攻撃で、あれは自分の弱点が狙われている事に感づいたかもしれません。のんびり近付く事は不可能でしょう」

「一瞬でぶち抜くしかないか……」

「んじゃあ忍術っすよ! 忍術!」

「はいはい、陽花ちゃんはちょっとこっちで構えといてね」

「むーっ!!」


 ガツガツと武器の端っこで後頭部を殴ってくる陽花。地味に痛えし、ネプテューヌ使ってなかったら脳漿ぶちまけてるレベルだからやめろそれ。こいつ本当に味方か?


「だから、隠れればいいじゃないっすか!」

「隠れ……ああ、そうか!」

「えっ、何っ!? 2人だけで納得しないで? 女の子にしかわからないやつなの?」

「センパイそういう事言うの死んだ方がいいっすよ」

「酷くない!? ……で、何なんだよ結局――って、うおお!?」


 リヴァイアサンの拘束も切られて、自由になったモンスターがぶちかましてきた。

 ベヒモスが押され、地面が大きく抉れる。俺達も衝撃に巻き込まれそうだったので、急いで跳躍して避難した。


「あっぶねえ……怪獣大戦争に、等身大じゃ立ち向かえんわ……」

「陽花、その作戦、曽良さんが危険じゃないだろうか」


 あっ、話続いてたのね。

 ていうか、俺が危ないの? えっ、この子、平然と俺を死地に追いやろうとしてるの?

 真の敵は味方にあり、か?


「曽良さん。今から話す作戦は、曽良さんが最も危険なポジションでなくてはなりません。それに見たところ、曽良さんの能力が今、私達の中で最も高い……」

「ああ、まあ、そうかもな」

「センパイ」


 陽花がポンポンと肩を叩いた後、無言で抱きついてきた。

 鎧のような皮膚越しに伝わる柔らかな感触にドキッと……はしないわ、この超緊急事態で。

 生殖本能死んでるっつの。

 顔を上げ、上目遣いの陽花が小首を傾げ、


「もし死んじゃったら、地獄でボクが行くのを待っててほしいっす」


 と、破茶滅茶に不吉な事を抜かしてきよった。

 俺、地獄確定なの?


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