その4
これで完結です。
その日以来、彼は自信を取り戻した。
彼は会社の社員達に最初こそ驚かれたものの、若者とも気負いせず話せるようになった。
それから何ヶ月か経ち、彼は一人の女性と出会った。二人は次第に惹かれ合い、恋人同士となった。
「これもあの薬、博士のおかげだ。」
オーズ氏はハンム博士に感謝した、願いを聞いてくれたこと、こんな出逢いの機会を与えてくれたこと全てに。
やがて二人は夫婦になった。しばらくは二人だけの時間を過ごしたが、妻となった女性が、
「あなた、そろそろ子供を作らない?私は欲しいわ。」
と言った。
(そうだった、わしは幸せな家庭を築くのが夢だったんだ。)
「そうだな、そうしようか。」
「うーん、どうしたものだろう。」
夫婦二人はあらゆる治療を試したが、一向に子供が出来る気配が無かった。
「すまぬな、家族みんなで庭の花々を眺めてみたい言っておったのに。」
オーズ氏は妻にそう言う。
最初こそ、不安定になっていた妻も、
「いいの、あなたといれば幸せだもの。」
と元気を取り戻していった。
そんなある日、ハンム博士が訪ねてきた。
「そろそろ、薬を使い切る頃かと思いまして、また持ってきたんですよ。」
「おぉ、久しぶりであるな!」
二人は久々の再会を果たした。
ハンム博士はオーズ氏を見るなり、
「ず、随分外見が変わられとようだ!」
と、驚いた。
「いやぁね、あなたの薬を飲んだら、この通りさ!」
オーズ氏は両手を広げた。
「まさか、人にまで効果を及ぼすとは!興味深い!」
ハンム博士は興奮気味に顎をさする。
「なにもかもあなたのおかげだ。このおかげで私は諦めていた家族を持つことができた!」
オーズ氏は妻を紹介した。
「これはこれは、美しい方だ。」
ハンム博士は驚く。
「あとは子供が授かれば一番いいのだが…」
「子供…」
ハンム博士はジッと考え込む。
「博士…?」
「オーズ様、あの薬はとても素晴らしい効果を発揮した。しかし、副作用もあるのかもしれない。」
「というと?」
「この若さの薬は植物をその命が消える瞬間まで花を咲かせ続けるのです。」
「うむ。」
「植物が花を咲かせる理由は、次の世代に遺伝子を残すことです。だから…その…」
博士は困った顔を浮かべた。
「何なのだ。」
「つまり、この薬は植物のその機能を失わせ、花を咲かせ続けるのです。」
「まさか…」
オーズ氏の顔が青ざめる。
「はい、生殖能力を失うのです。おそらく、この薬を使った、オーズ様、あなたにも同じ事が起きたのです…」
完




