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始まり

大きなその船は乙女の星の象徴をもつヴァルゴ王国に向かっていた。

 その船に乗る4人の少年少女たちは船に乗った二日目の朝偶然にも会合した。


*

「ん?」

一人の黒髪でガタイのいい男がパンを齧っていると、向かいから青白い肌の真っ白で透き通るような髪をもつ痩せた男が歩いてきた。

「もしかして、あなたも学園に?」

痩せた男がガタイのいい男に聞くとガタイのいい男は大きく頷いた。

「ああ、そうだ。たしか船の名簿にはあと二人いたっけな。」

「それじゃ、皆あつまるか、学園に着いたときに自己紹介しますか。」

痩せた男が言うとガタイのいい男がにやっと笑って言った。

「それじゃあ、賭けをしようぜ。俺は賭けが好きなんだ。」

ガタイのいい男が言うと痩せた男が呆れたように息を吐いた。

「でも、まぁ。いいですよ。この船は結構大きいですからね。ご飯を食べるところ結構ありますし、ですから僕たちが会うのにも時間かかったわけですし。」

「そうだな。じゃあ俺は学園で会うに賭けるぜ。」

ガタイのいい男が言うと痩せた男はふふ、と笑い言った。

「では、僕は今、集まるにかけます。」

痩せた男は一息吐き言った。

「そして、どうやらこの勝負僕の勝ちのようです。」

「何?」

すると向かいから黒髪の男と茶髪のメガネの少女が歩いてきた。

「あ、あなた方も学園の生徒ですか?」

それを見たガタイのいい男はふ、と笑うと頷いた。

「どうやら、そのようだな。」

それを聞いた黒髪の男は首を傾げると痩せた男が答えた。

「ああ、こっちの話ですよ。」

「そう、ですか。ええと・・・ここ、いいですか?」

黒髪の男が言うと痩せた男が頷き言った。

「はい。それじゃあ自己紹介でもしますか。僕は空風白空(からかぜびゃっくう)です。」

するとガタイのいい男が口を開いた。

「俺は伊賀恭乃(いがきょうの)よろしくな。」

恭乃が言うと黒髪の男が言った。

「ええと、俺は皇長門(すめらぎながと)です。よろしくお願いします。」

長門が会釈するとメガネの少女が言った。

「私は東雲碧(しののめあおい)です。」

「この四人が高等部一年生の中で唯一の日昇国出身ですか。」

そう白空が言うと長門が首を横に振った。

「いえ、中等部から学園に入った人もいるかもしれませんよ。」

「ああ、そうでした。」

白空が納得したように言うと、恭乃が手を合わせ言った。

「ま、なにはともあれ学園でもがんばっていこうぜ。」

碧が笑顔でそれに応じた。

「そうですね。」

少し時間をあけ白空が窓を見て呟いた。

「それにしても、この竜でかいですよね。水竜でしたっけ。」

恭乃が頷き答えた。

「まぁ、大きい物は運べてもちと遅いがな。」

そう話している内に窓にうっすらと大陸が見えた。

「どうやら、もう着きそうですね。」

「じゃ、部屋に戻って身支度でも済ませますか。」

長門が言うと、みな席を立ち自らの部屋へ戻っていった。


*

船を降り四人はまた会合した。

「竜車が来るまでにちょっと、時間がありますね。あ、そういえば皆さん学科は何ですか?」

碧が聞くと長門が答えた。

「僕は剣技科です。目指すはグランドマスターで出来れば王国代表騎士になれたらとおもっています。」

長門は頬を掻きながら言うと、恭乃が大きな声で言った。

「おお!俺も剣技科だ!俺は実家が忍何でな。王国の諜報員を目指しているぜ。」

主張が激しすぎて、ちょっと大丈夫かと思った一同だった。百空は少し呆れたように言った。

「はぁ、そんなんで大丈夫ですか・・・。えと、僕は魔法科です。一応魔法剣士目指してるんで剣技科の授業も受けることになると思いますが。」

「私も魔法科です。宮廷魔導師を目指しています。」

四人が自らの夢を話しているうちに竜車が来た。ちょうど四人乗れるくらいの大きさだった。

「じゃ、行きますか。」

白空が言うとみな頷き竜車に乗った。

*

みな一様に大陸の町の風景を眺めていると学園に着いた。

「でかいな・・・。」

恭乃が呟くがその顔は興奮を隠しきれない様子だった。

―――国立第九学園、十三の星の名を持つ国のその内十二の王国にその国を代表する学園がある。第九学園も乙女の星の名を持つヴァルゴ王国を代表とする学園の一つである。

「では、各々目標に向かいがんばりましょう!」

長門がそう言うとみな学園に一歩踏み出した。


*

―――入学式

学園長の長い話が終わり、次には生徒会代表挨拶、新入生代表挨拶がある。

 新入生代表挨拶は毎年剣技科、魔法科の成績優秀者から選ばれる。今年は魔法科の生徒が登壇した。

「みなさん、こんにちは。私は第九学園新入生代表のウェスタ・バルゴです。」

学園長の話しで眠たくなっていた生徒たちもウェスタが登壇すると食い入るように見つめた。

 何故ならウェスタは細くだがしっかりした四肢に端正な顔立ち、なによりその美しく炎のような朱色の髪の毛が目立ち、その瞳は燃え盛る炎のようにオレンジがかっていて見る人を魅了させていた。

 しかし、多くの人はそれと同時に別の意味でも息を呑んだ。

 彼女はこのヴァルゴ王国の女王グレン・バルゴの長女だからだ。彼女から漏れ出す魔力は微々たるものでしかし圧倒的な存在感を放っていた。

 ウェスタが席に戻るとその一時の緊張がとけた。

 だが、新入生たち(特に男子)は生徒会長挨拶でも息を呑んだ。

 生徒会長は薄く紫がかった髪の毛に全てを見通すような透き通った蒼

い瞳、そしてウェスタにも負けない乳房に柔らかな童女のような顔立ちで彼女の笑みは小悪魔のようにも感じられたからだ。

「皆さんごきげんよう。私はこの学園の生徒会長フロリア・ローズブレイドです。」

フロリアは幼さの残る顔立ちでも一見高校生とは感じられない謎めいた雰囲気を醸し出していた。

 フロリアの挨拶が終わるとやっと男子たちの緊張がとけた。


入学式が終わり学生はみな自分達の教室へと戻っていった。

 長門が剣技科の教室棟に行く途中に後ろから声を掛けられた。

「よ、」

長門が振り向くとそこにいたのは恭乃だった。

「ああ、そういえば同じクラスでしたか。」

恭乃は長門が言うとムッとした顔になって言った。

「おいおい、敬語は止してくれよ。もう俺たちは友達じゃあねぇか。」

恭乃が言うと長門は笑顔で頷いた。

「そう、だな。それじゃお互い学校生活頑張ろうぜ。」

「だな。ま、剣技科首席のお前には負けるだろうけどな。」

恭乃がそう口にした瞬間長門が一瞬固まった。

「なぜ、それを?」

「今年はこの国の王女さまが首席で挨拶して皆そこに注目していたが聞けば剣技科の首席も大分凄かったらしいなぁ。」

恭乃はニヤニヤ笑いながらつづける。

「筆記テストはちょっとしたミスで、1問間違えただけ。あの王女さまですら5問も間違えたらしいのにな。因みに俺は13問。そして実技では文句無しの満点。職員の間では歴史上類を見ないほどの逸材だ、なんて言われてるらしいじゃあねぇか。」

−いや、そこまでは知らないよ

恭乃の説明に自分の知らないとこまで含まれてて半ば呆れ気味の長門であった。

「なんでそんなことまで知ってんだよ、、、。」

恭乃は自慢気に答えた。

「言ったろ。実家が忍だってな。情報捜査は得意なんだ。気になることがあったらなんでも聞いてくれ安くするぜ。」

こんなんだが本当に諜報員になるかもなと陸奥は思った。そんな謎の説得力を持った男が恭乃という男だった。

 そうこうしているうちに二人は教室についた。教室内の人はまばらでみな自分に席に着き、教師を待っていた。二人も自らの席に向かった。

 

少し時間がたち教室に生徒が全員入ると次いで教師も入ってきた。

「やぁ、こんにちは。私はこの学校の教師兼第四騎士団の副団長のアンドレア・ブリットだ。」

アンドレアは太陽の光に反射し輝いている金色の髪に引き締まった身体美しい金色の瞳で可憐な女性であった。

「まず、みなには自己紹介をしてもらおうか。じゃあ、手前の君からやって来れ。」

指をさせられたのは金髪のいかにも貴族の雰囲気を出していた青年だった。

「ん、私ですか。わかりました。私はギャビン・アルバードと申します。」

青年の自己紹介を聞き教室内はざわめいたアルバードとは女王の側近賢人オースティンとも呼ばれるオースティン・アルバード伯爵の姓だからだ。

 つまり、それが意味することは、

「ええ、父上は王室で大臣を勤めております。」

ギャビンはやはり筋金入りの貴族であった。

 それから、各々の自己紹介が始まり、ギャビンのような騒ぎもなく皆の自己紹介は終わった。


*

時を遡り、剣技科で先生の自己紹介が始まると魔法科でも先生の自己紹介が始まった。

「私は宮廷の三等魔導師のカイル・レオナルドという。以後宜しく。では手前の君から自己紹介をしてくれ。」

カイルは長身のハンサムな好青年であった。

 カイルが指差したのは気が強そうな栗色の髪をもつポニーテールの少女であった彼女はスッと立ち上がり自己紹介を始めた。

「はい。私はカレン・ブリアンナと言います。以後お見知りおきを。」

カレンは礼儀正しくお辞儀をして着席した。次の自己紹介で白空と碧は驚くことになった。

「えと、私は巫紅梅(かんなぎこうめ)と言います。宜しくお願いします。」

ー同じ日昇国の人だ!

白空は内心ウキウキ状態になった。白空がそんな状態に陥ってる時、クラスの人は次の人間に目が釘つけになった。

「あー、私は入学式でも挨拶をしたウェスタ・バルゴだ。この学園では王族や平民、貴族も関係なく付き合っていきたいと思う。以後宜しく。」

バルゴはそう言うと美しい髪を揺らしながら席に着いた。

 その後も自己紹介は続き、この場も何事もなく自己紹介が終わった。


*

時は戻り、剣技科では自己紹介が終わった後先生から、学校生活の説明を受けていた。

「まず、みなは剣技科として入って貰ったが最初は魔法科と同じ授業をしてもらう。」

先生が言うと教卓近くの生徒が手を上げた。

「なぜ、ですか。」

「ああ、それはな魔法の基礎を学び、使い魔と契約してもらうためだ。」

「使い魔、ですか。」

「ああ、この学校の卒業生、そして騎士や宮廷の魔導師たちには使い魔を使役するのを義務付けられているんだ。これは知っている人もいるな?」

そうアンドレアが聞くと手を上げた生徒含め十数名が頷いた。

 それを見るとアンドレアは頷き続けた。

「そして、使い魔を使役するには基礎的な魔法を分かっていないと使役することが出来ない。さて、使い魔の説明はこんなところで良いだろう。また今度詳しい説明はする。」

アンドレアは一息つき続けた。

「では、話を戻そう。魔法科と同じ授業をしてもらうがそれが終われば基本的な剣術、その後は自らにあった武器を選んで専用の顧問に付いてもらい授業を受けることになる。自分に適した武器が分からなければ私たち教員に相談してくれ。私たちも協力しよう。ここまでは一学期の話しだが何か質問はあるか?」

アンドレアが聞くが次は誰も手をあげるものが居なかった。

「ああ、一つ忘れていた。一学期の最後には一、二年生で新人戦が行われる。この新人戦は一、二年生剣技科と魔法科からは各クラス5名ずつだす。」

魔法科はAクラスからはFクラスまであり、剣技科はGクラスからLクラスまである。つまり、一、二年生総勢120名の大会であるということだ。

 すると次はギャビンが手を上げ聞いた

「その5名はどのように選定されるのですか。」

ギャビンが聞くとアンドレアが笑顔で答えた。

「それはな新人戦の1か月前に行われるテストの結果だ。」

そう聞くとみな心を引き締め気持ちを固めた。

 そんな折教卓近くの生徒が手を上げた。

「あの、それって私たちには不利なのでは?」

アンドレアはその質問を待っていたと言わんばかりの満面の笑みで答えた。

「ああ、そうだ!だが、二年生達は本気でお前たちを潰しにくるぞ。それにな数年に一度は一年生が1位2位3位をとることがあるんだ。去年だって一年生が1位を取ったし、一昨年は現生徒会長のフロリアが3位だったな。」

そう、聞くとみなやる気を出した者もいれば自信を無くしたものもいた。無理もない、何故なら現生徒会長のフロリアが一昨年3位で去年は別の一年生が1位になったからだ。

 つまり、その一年生が今や二年生となって今の一年生たちの前に立ちはだかるということだからだ。

「そう、気を落とすな。今年の一年生は豊作揃いだ。君たちだって分かるだろ?」

そう言われ、みなが真っ先に思い浮かんだのはウェスタであった。

 だが、数人は長門、ギャビンを思い浮かべていた。

 それを看ていたアンドレアは薄く微笑み口を開いた。

「そういうことだ。それにみなが一番に考えるべきは二年生のことではなく、自分の近くにいるライバル達の事だ。さて、次は二学期だが二学期直ぐに学校内対抗戦がある。これは、5人でペアを組みまず学年で予選をして上位3組が決勝に上がることができる。」

教室後ろ端の生徒が手を上げて聞いた。

「そのペアはどのように決めるのですか。」

アンドレアは頷き答えた。

「それは、自分達で集めるんだ。それにこの大会は強制ではない。しかし、この大会で上位の成績を修めた生徒は学園から景品を寄贈されることになっている。」

アンドレアが言うと生徒達はいっそうやる気に満ち溢れた。

 アンドレアはそれを見て薄く微笑んだ。

「ふっ、だがこれにはある条件がある。それは剣技科、魔法科の生徒が1人以上入っていることだ。この大会は剣技科、魔法科の生徒の交流を深めるための場所でもあるからな。」

アンドレアはフッと息を吐くと説明を続けた。

「次には遠征がある。遠征はくじで選ばれた他クラスの生徒と魔法科の生徒で行くことになる。その後はこの国の外れの地域にあるダンジョン攻略だ。これは、学校内対抗戦と同様自分達でペアを決めることだ。そして、次は国立学校対抗戦だ。」

最後の言葉を聞き皆の顔が引き締まった。

「この説明は歴史の授業で詳しくやろう。この対抗戦も一年生は剣技科で10名魔法科で10名だすことになる。それから二学期最後には騎士団見学がある。三学期最初には成績上位者には飛竜が与えられる。といっても扱うには学園の許可がいるがな。」

それを聞くと男子勢はおおっと感嘆した。

「それから最後には一年生内対抗戦と学年対抗戦がある。この二つが終わったら卒業式だ。あと最後に二つ、まず武器の携帯だが、それは学園の許可をとってくれたら携帯してもよいことになっている。次に生徒手帳の事だ。それには校則や校訓、身分証明だったり、他生徒への連絡もできる。何時でも手離さないように。」

アンドレアは長い説明をして一息ついた。

「さて、長かったが何か質問はないか?」

アンドレアは生徒を見るが生徒は首を横に振るだけだった。アンドレアはそれを見て頷き言った。

「うむ、みな一ついいか?分からないことがあったらなんでも聞いてくれ。自分の中だけで解決しちゃうのは駄目だ。無知は恥ではない。尊いものだ。無知を自覚しそして、聞いてくれそしたら私たちは懇切丁寧受け答えしよう。」

アンドレアが言うとみな声を揃えて返事をした。

 するとチャイムがなりアンドレアが口を開いた。

「今日はここまでだな。明日から詳しい授業の範囲をやる。みなこれからも精進するがいい。」

アンドレアがそう言うとみなSHRの準備をしだした。


SHRが終わると長門は大きく背伸びをした。

「ねみぃ。」

長門がそうこぼすと恭乃が大きく背中を叩き言った。

「おいおい、しっかりしろよ。」

長門が疲れたように立ち上がると教室の端の方である話し声が聞こえた。

「あ、あの。もしかしてギャビン君があの王女さまよりも成績がよかったて噂の剣技科首席?」

「絶対そうに決まってるわよ。だって、あのアルバード伯爵のご子息でしょ?しかも、見た目もイケメンなんて文句無しじゃない!」

その会話を聞くと恭乃は笑いをこらえ長門は苦笑いを浮かべていた。

 当のギャバンは苦虫を噛み潰したような顔をして返答した。

「残念ながら私ではないよ。」

そう、言うとギャビンに詰め寄っていた二人の女子生徒は一瞬たじろいで謝った。

「あ、そう、だったの。ごめんなさい。」

ギャビンは首を横に振り、笑顔で答えた。

「別に謝んなくてもいいよ。それに君たちみたいな可愛い娘にそんな風に思われてるなんて光栄だな。」

ギャビンがそう言うと1人の女子生徒は顔真っ赤にしてギャビンの背中を叩いて言った。

「も、もう上手なんだからっ!」

バンバンと女子生徒が叩いてると途中でもう1人の女子生徒が止めに入った。

「ちょ、ちょっと。カリーナちゃん怪力なんだからもうやめときなって。」

「あ、忘れてた!ご、ごめん大丈夫?」

ギャビンは苦笑いを浮かべながら大丈夫と言った。

ーいたたたたっ、この娘可愛いけど扱いには気を付けないと、、、

それを見届けながら長門と恭乃は教室をあとにしようとした。

 が、それをギャビンが制した。

「ちょっと君、いいかな?」

ギャビンはそう言うと返事を待たず長門を教室から連れ出した。

 それを見てたカリーナとココは首を傾げ、恭乃はやれやれと首をくすめた。


「君が噂の剣技科首席だね。」

ギャビンはそう決めつけたように言った。

「ま、まぁそうですけど、、、何か?」

長門が聞くとギャビンは一呼吸して言った。

「いいか。僕は絶対君に負けない!負けてたまるものか。」

ギャビンはキッと睨み付けながら言って踵を返して教室へ戻っていった。

 長門は首を傾げて教室へ戻ろうとした瞬間後ろから声をかけられた。

「あいつはああいう奴なんだ。昔からな」

「へぇ、なるh」

長門が納得したように頷きながら振り返るとそこにはフッと笑うウェスタの姿があった。

「・・・」

長門は一瞬固まった。が、直ぐ意識を取り戻し思考を開始した。

ーなぜ、王女がここに?!いや、普通に考えて幼馴染みのギャビンを迎えに来たのか

そう、考えた瞬間長門は口を開いた。

「えと、ギャビンを呼びますか?」

「む、別に呼ばなくていいぞ。余計に話しをややこしくするからな。」

その辛辣な言いぐさに苦笑いを浮かべていると恭乃が教室から出てきた。

「おう、長門遅いじゃあn・・・て、王女さまじゃねぇか。」

恭乃は目を丸くして言うと、ナニかを察して薄く微笑んだ。

「で、あの何故ここに?」

長門が聞くとウェスタは笑顔で答えた。

「お主に会いに来た。」

「え、俺?」

長門が聞くとウェスタは頷いた。

「お主が剣技科首席だろう?」

「え、ええ。」

「やはりな。」

ウェスタが言うとその後ろから白空と碧が走ってきた。

「王女さま速すぎますよ、、、。」

白空が言うとウェスタは不機嫌な顔をして言った。

「私のことはウェスタでいいと言っているだろう。」

「そうは言っても、、、」

碧は苦笑いをしながら呟いた。するとウェスタは思い出したように口を開いた。

「ああ、名前を聞くのを忘れていた。私はウェs」

ウェスタが自己紹介しようとしてるのを遮り、長門は自己紹介を始めた。

「ああ!知っていますから。俺は皇長門です。」

「む、そうか。そちらは?」

恭乃をはいきなり言われてきょとんとしたがすぐさま自己紹介をした。

「ああ、と。俺は俺は伊賀恭乃だ。宜しくな王女さま。」

ウェスタは満面の笑みで頷き生徒手帳に自分の連絡先を登録するとすぐに帰っていった。

 すると白空が呟いた。

「なんか、愉快な人でしたね。」

みなは確かに、と思った。


その後碧に別れを告げ男子三人は男子寮へと行った。

 寮に入り、部屋へいくと長門は倒れるやいなや大きく伸びをして決意を固めた。

ー絶対に王国代表騎士になってやる。

これが皇長門の途方もない物語の始まりである。 

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