17.伯爵令嬢とドラゴンと財宝
いつもお読み頂きありがとうございます。
沢山のブックマークや評価や感想は書く活力になります!
この物語で沢山勉強させて頂き、自分なりに見せる文章の大切さに気づかせていただきました。
20話まで書いたら1話から少し見直しをして正しい文章に書き直す予定としています。
沢山のご指摘やアドバイスのおかげで何とか作者の文章は見せれる様に少しずつなって来たかなっと思います。
いきなり文章が上手くなるって事は無いので意識して書いていきます!ですから投稿が亀更新になります!作者の実力不足の為、申し訳ありません。
未熟な作者ですが今後とも、この物語を楽しんで頂けたら嬉しいです。
今回からガールズラブの表記をいれました!
ガールズラブのキーワードはソフト百合も苦手な方への保険です!
「お嬢様、朝です。起きて下さい」
アイシャに体を揺さぶられて目を覚ますといつも通り重たい瞼を擦りながら、眠気といつ起きるか相談を大切に時間をかけて起きます。
ベットから出たくないのを我慢して起き上がり身体を伸ばすとアイシャがすぐに服を持って近づいてきます。
「お嬢様、今日は日差しも弱いですし、外も涼しいので長袖ではなく、半袖にしますね」
アイシャの言葉を受け流し、欠伸をかみ殺す私はされるがままの着せ替え人形です。朝はいつも、ぼーっとしてこんな感じです。
僻地では日差しが強いので暑くても長袖を着る事があります。ですが最近では日差しの強い日は外に出る事なく涼しい宮殿でまったり過ごしてます。
まだ眠気が取れない為、ふらふらと顔を洗いに行こうとした時です。
「主様、例のアレが来ています」
クローネが背後から声をかけてきます。ただでさえ、気配が無いクローネは必要な時にしか現れず、今回みたいに急に話しかけるから慣れてなければビックリしてしまいます。
「分かったわ。顔を洗ったら向かうわ。いつもありがとうね」
そう返すとクローネは無表情のまま口を開きます。
「主様の為です。では失礼します」
静かな口調で言い終わるとスッと消えます。忍者の様に居なくなりました。
こう言う人を実家で良く見かけましたが凄いとしか言えませんね。私には到底無理な芸当です。
顔を洗ってスッキリした私はしっかりとした足取りで外に向かいます。
玄関でルーリーが犬耳をピコピコしながら外を恐る恐る覗いてます。こっそり私は後ろからトンッと叩くとルーリーはひゃいっと変な声を出して驚きました。
「もうっ!るーはビックリした!シュアのいじわる!」
ぽこぽこ叩くルーリーに癒され、顔が緩んでしまいます。可愛さの余り頭を撫でます。
「ふふっ、ごめんなさいね。ルーリーが可愛かったからついね?」
ぷくっと脹れるルーリーの頬に指で押すと変な顔になり、私が笑うとルーリーもつられて笑い合います。
そのまま、ルーリーを抱き寄せ、一緒に来ると尋ねると首を横に振るので残念ですが泣く泣く離してあげます。
これが望んでいた私のいつも通りの日常です。
そして、理想としていた僻地で楽しくのんびりと過ごす生活です。
しかし、僻地では何が起こるか分からないのです。
私の望んでいた日常は簡単に壊れてしまうものです。
「手羽先め!また懲りずにやって来ましたね!手羽先としての誇りは無いのですか?おや、私に威嚇するとはいい度胸ですね!その喧嘩買いましょう!前世では実現が不可能だと思っていた必殺技シリーズをついに披露する時が来ましたね!人相手だとオーバーキルですが手羽先相手なら……イケる!しゅんごくさーー」
例えばこんな感じです。
「アイシャ何やってるの?」
外へ先に向かっていたアイシャに声をかけるとはぁっと明るい笑顔になり私に駆け寄ってきます。
「お嬢様!やっとお目覚めになりましたか?今は躾のなって無い手羽先相手に躾けている最中でした!」
「……あらそう、この子と遊ぶのもほどほどにしなさいね。貴方たちが暴れたらこの宮殿が半壊しちゃうわ」
本当にシャレにならないので止めて下さい。
一歩外に出ただけで私の素敵な僻地ライフがさよならしてしまいました。
外には真っ赤に燃える様なカーマインの鱗に鋭い爪と牙を持ち、人を丸呑み出来そうな程の大きな身体と大きな翼の持ち主。
そう、ドラゴンです。
あの子も私を見るなりグルルと嬉しそうに唸ります。
……おかしいですね。私が求めていた隠居生活とはかけ離れてしまいました。
宮殿に新しい従者にドラゴンと僻地に来て、私は何処に向かっているのでしょう?
唯一の救いがルーリーと出会えた事ですね。私の癒しです。
もうっ!私のルーリー可愛いよ!
この国に居る間に犬耳っ子と過ごせる日が来るとは思いませんでした。離れている為、今は問題無いですがルーリーの存在が王都に知られてからの対応も考えなければなりませんね。
話が逸れましたが目の前にいるドラゴンに懐かれてからずっと宮殿に朝来るようになったのです。
初日はドラゴンを初めて見たルーリーが恐怖の余り気絶して、攻撃態勢に入ったクローネにアイシャが加わると言う事態が起こり……ふぅ、思い出したくありませんね。
私が遠くを見つめているとアイシャが言いにくそうに尋ねてきます。
「お嬢様。あの時は聞かなかったのですが、何故ドラゴンを飼ってもいいと聞いてきたのですか?」
アイシャに聞かれて私は一週間前の出来事を思い出します。
生死を供にしたドラゴンと縁を結んだその日。あの時は魔力切れで寝ぼけていたのと無防備に寝ていた私を守ってくれていたこの子が可愛らしく感じたからつい出てしまった言葉でしたので後悔はありません。
アイシャから言われた言葉も理解はしています。
『お嬢様!危険です!ドラゴンを側におくのは反対です!流石の私でも対応出来ません!お嬢様の身に何か遭ってからでは遅いのです!』
ですが、このドラゴンは私に何もしないと理屈では無く確信があったのです。
それを証明するかの様に私に擦り寄ってくるドラゴンを撫でるとアイシャはビックリしてました。
『なぁっ⁉︎そこに触れてはなりません!そこはドラゴンの逆鱗です!え?まさか、そこに触れても暴れない?懐いているとかそう言う次元ではないですね。……支配?いや、その事は今はどうでもいいです。ドラゴンを従えたとなればそれはそれでお嬢様の安全は確保できますね』
アイシャは初めはビックリしていましたが自分に納得いかせる様に呟き、警戒しながらもドラゴンを受け入れました。アイシャ自身も今回ドラゴンを一体倒せた自信も繋がり、許可が出たのだと思います。
だけど、本当にドラゴンを飼いたいと話した理由はドラゴンの森に行く前のやり取りで知った私の自覚の無さが原因です。何故ならそう簡単に今までの習慣を変える事は出来ません。
今回も無意識にアイシャを頼っていた自分が居ました。
ドラゴンと出逢ったあの場面では本当にいつ死んでもおかしくない状況です。いや、何回死んでいたか分からないです。互いに助け合ってあの状況を生き延びたからこそ、ドラゴンも私に気を許してくれました。 本当にただ運が良かっただけです。ドラゴンに懐かれたのもです。
アイシャが言っていた言葉の意味を痛感した瞬間でした。
だからこそ、ドラゴンと言う強者を私は求めたのです。
ですが、その事を伝えるのも主人としてのプライドが許しませんね。
「……そうね、アイシャと居るのとドラゴンを飼うのも一緒かなって思ったら自然と大丈夫だと思っての言葉ね」
「お嬢様が酷いっ⁉︎」
アイシャはガーンとショックを受けた表情を浮かべます。
「冗談よ」
私は悪戯が成功した子供の様にアイシャにそう言って、横をすり抜けドラゴンに近づきます。
グルルと嬉しそうに唸るドラゴンは私が近づくと後ろを向くと袋を咥え私の前に置きます。
置くとドサッと大きな音と砂埃がまい、その袋から金銀財宝が姿を現します。
そして、頭で私の側に動かします。
「いつもありがとうね。でも毎回持ってこなくて良いのよ。沢山貰いすぎては悪いわ」
いつもそう言いますが断るとちょっと不機嫌にグルルと唸ってしまい、プイッとそっぽ向いて聞かないフリをします。
この子の名前はガーネットかパイロープで迷いました。
迷った末、ガーネットのガーネと名前をつけました。
「分かったわよガーネ。貰っておくわね」
そう伝えるとガーネはグルッと短く唸ります。
アイシャが金銀財宝を見て言葉を漏らします。
「この行動は犬が人の足に抱きつき腰振って求愛する行動と同じ感覚ですね」
「……例えが悪いわ」
もっといい例えがあると思います。
「お嬢様にどんなにアプローチしても人と手羽先には乗り越えられない種族の壁があるのですよ!ふふ、そして、私とお嬢様は同じ種族です!この意味が手羽先に分かりますか?私の勝ちですね!」
……何の勝ちでしょう?
ですが、間違った知識をガーネに与えたくないので訂正しておきましょう。
「ガーネ、私とアイシャには同性と言う性別の壁もありますのでアイシャの戯言に付き合う事はないわよ」
私の言葉にショックを受けたアイシャはよろめきながら言葉を絞り出します。
「何……ですって⁉︎一体何処を間違えたのでしょうか⁉︎」
ここはばっさり切って話を終わらせましょう。
「生まれてくる性別からね。初めからダメよ」
私の全否定にアイシャは予想とは違う反応を示します。
「くっ⁉︎ですがダメと言われれば言われるほど求めたくなるモノ!」
……もう手遅れなので構うのを諦めます。くねくね動くアイシャから視線を外してガーネに近づき触れます。
「では、こちらのお宝はちゃんと戴きました。ありがたく使わせてもらうわ」
人の営みを理解しているガーネはどうやらお金の代わりにお宝を私に貢いでくれているみたいです。活用するにもまだ流通する手段がないので貯まる一方ですけどね。
そう伝えるとガーネはグルっと唸ると飛び立って行きました。
「お嬢様、宝石の数が凄い事になってますがどうするのですか?」
ガーネが去ると同時にいつものアイシャに戻り聞いてきます。
これも新たに行ける様になった宝物庫にしまうのですが結構な量の宝石が眠ってますね。
「……本当にどうしようかしら?」
アイシャの鑑定して貰ったらこの王国を買える位の金額はあると聞いてしまいました。
……本当にどうしましょう。
アイシャ
「ガールズラブの許可をえましたので大佐より使命がきています。お嬢様の寝込みを襲え!ふふっ、任せて下さい!」
クローネ
「何をしているのですか?」
アイシャ
「スニーキングミッションです!静かに!ではさらばです」
クローネ
「……主様は私の部屋で寝ているのに何処に行かれるのでしょうか?」
アイシャ
「お嬢様の部屋の前です大佐。指示を!え?心に従えですって!ククク、今行きますよ!」
ガーネ
「グルルッ⁉︎」
アイシャ
「……なんで手羽先がお嬢様の部屋にいるんですか⁉︎ッチ、遭遇戦ですね!」
シュア
「……アイシャ?これは一体どういう事かしら?クローネに聞いて来てみたら、私のお部屋で楽しくガーネと遊んでいたみたいね」
アイシャ
「えっと、ほら、ガールズラーー」
シュア
「言い訳は聞かないわ!朝が来るまで正座ね!いい?」
アイシャ
「すみませんでしたー!」




