表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢は僻地で子供達と戯れたい!  作者: イブ
序章 繋がれた者たち
14/26

14.伯爵令嬢の失敗とドラゴンの森

「私は反対です」



珍しくアイシャが私に意見してきました。

事の始まりは食卓ボア問題から始まりました。

僻地に来てから1週間が経ちました。快適な新しい住まいにも慣れて、日々の生活も充実しています。

ただ、不満があるなら猪か豚のローテーションで同じ御飯が1週間も続いてます。

アイシャが狩りに行っているのですがボア系の魔獣しか見つからないそうです。

牛系の魔獣が移動してしまってこの近辺では見かけなくなったそうです。

鳥系の魔獣や魔草のモンスターも少しはいるみたいですが美味しくないそうです。

この先、豚と猪だけでずっと生きていくのかと思うと特にお腹周りが怖ろしくなり、アイシャにこの原因を突き止める為に森を調査しようと相談したのですが私がその事を言い終わるとすぐに反対しました。

やはり、ドラゴンが理由でしょう。

確かに龍の間にいる大きなドラゴンなら私は行きたいとは思いません。ですが、話を聞く限り大型のドラゴンはそう簡単には居ないそうですし、森の奥深くに行かないと小型のドラゴンも遭遇しないと聞きましたので安全な入り口から5キロ位まで調べるのはどうかとお話しました。

今の私はある程度大きくても眠っている龍のおかげでドラゴンに出会っても驚かない自信があります。

それでもアイシャは無理ですの一点張りです。


……この手は使いたくありませんでしたが仕方ありませんね。



「アイシャ、クローネにルーリーを任せて2人でドラゴンの森にデート行きましょう」



「はい!喜んでついて行きます!お嬢様からデートのお誘いなんて……準備してきますね!」



媚びる様に話すとアイシャはすぐに賛成して、用意をする為にスキップしながら自分のお部屋に戻りました。


……何かを失った気がします。


数分もしないうちにアイシャが戻ってきました。

アイシャはいつものメイド服です。何を用意したのでしょう?



「お待たせ致しました!お嬢様の装備はカメレオンマントと奇跡の首飾りとフェザーブーツです!どうぞ!」



そう言われてアイシャから色々受け取りますが私はきょとんとしてしまいます。



「これを私が着るのですか?」



アイシャから渡された装備品は見た事ない品物です。



「そうですよ?カメレオンマントはモンスターに見つかりにくくなる能力があり、奇跡の首飾りは即死防止です。フェザーブーツはどんな者が歩いても気配を消す能力があるのと沢山歩いても疲れないのです。ドラゴンの森に行くのでしたら最低限必要な装備をしていないと死にますからね」



「え?アイシャが守ってくれないの?」



アイシャに驚いて聞いてしまいます。アイシャは私の言葉を聞くと少し困った表情をします。



「私はどんな事があってもお嬢様を守りますよ。当然です。しかし、守る事にも種類があります。お嬢様は幼少期から王妃候補であり、守られるのが当たり前でした。守られる事を知っていても自らを守る事を知らないと私も理解しています。お嬢様は護衛に守られる事に慣れています。ですが、それは王都だから出来た事です。ここは僻地です。何が命取りになるか分かりません。お嬢様も危機を持って頂かないと困ります。お嬢様が死ぬと主に王国が私の手によって滅びる事になりますが良いのですか?」



私はアイシャに言われた言葉に強い衝撃を受けました。

心の何処かでどんな時でもアイシャに守って貰えると甘えていたのです。

1週間はその環境に慣れるのに丁度いい時間です。僻地に来てから危険は一つも無いのはアイシャが居るからです。

当たり前の様に過ごしてしまっているから私は危険な森も安易に行こうと口にしてしまったのです。

ここはもう王都ではありません。分かっていたのに分かっていなかった。

本当に自分が情けないです。

確かにアイシャが森に行くのを反対する訳です。その様な気持ちで踏み入れていたら私は死んでいたかもしれません。

アイシャはそれを分からせる為に了承したのでしょう。



「私は愚かです。アイシャに甘えていて、自分が安全なのはアイシャのおかげなのにその環境に慣れすぎて忘れていました。情けないです」



私がしゅんとするとアイシャがほほ笑んで話します。



「良いのですよ。私の役目はお嬢様を守る事です。お嬢様を守りたいからお話しました。だから、気にしないでください」



アイシャのフォローで私は元気を出します。



「ありがとう。私はまだ自覚が足りませんでしたね。安全な僻地暮らしなんて、本来ならあり得ないわよね。今後、気を付けるわ。じゃないとアイシャが王国で暴れちゃうからね。確かに今回は止めておきましょう」



そう言うとアイシャは首を横に振ります。



「いずれ、お嬢様はこの領地の全体を視察に行かなければなりません。私とのお話で気付けたのならもう大丈夫ですよ。だから、今回はお嬢様の言う通りに少しだけ探索しましょう」



アイシャは頼りになります。私は頷き、アイシャに用意して貰った装備を着まして、森へ向かいました。















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「では、ここからが森の中です。ここでは王都の名のある騎士が来たとしても最弱の存在なのです。だから、モンスターは最弱な人の存在に見向きはしませんがちょっかいをかけたり、縄張りを荒らされたと判断されたら確実に死が待ってます。モンスターとは人を襲うモノと習いますよね?この僻地のモンスターが人を襲うのは稀です。なぜ街の近くにいるモンスターが人を襲うかと言いますと人を脅威に感じるからです。ですがこの僻地のモンスターからしたら栄養のある食べ物なら他にもいっぱい揃ってますし、人を脅威と感じないモンスターばかりです。それほど強いモンスターが集まる森なのです。ゾウが道端にいるアリの存在に気にしますか?それとは一緒でそれだけの差があります。だからと言って安心は出来ません。中には何でもを食らう魔花も存在しますし、何にでも襲うボア系の魔獣もいます。常に危険と隣り合わせだと思っていてくださいね」



……そんなモンスターを当たり前の様に狩ってくるアイシャは何者なの?

普通じゃないとは毎回思ってましたが僻地に来てからアイシャの事で沢山びっくりします。



「分かったわ。アイシャから借りた装備を頼りにするわ」



「はい、罠をはって獲物を捕る魔草系もこの森には居ないですのでその装備なら十分に活用できますよ。魔獣にだけ遭っても気づかれないように気をつけて下さいね」



そう言われながらアイシャに続いて私は森の中へ入ります。

黙々と歩くアイシャに私はついて行きます。何故かアイシャを意識しなければ見失ないそうになります。不安になり私は思わず小声で聞いてしまいます。



「アイシャは何かしているの?近くに居るのに何故かアイシャが分からなくなるの」



私の疑問をアイシャはそれはですねと答えてくれます。



「気配を絶ってますからね。私がお嬢様をしっかりと把握していますので大丈夫です」



気配を絶っている?

でも、話を聞く限りだとアイシャは気配を消さなくても森の中を探索出来そうですけど。

やはり、私が居るからですかね。



「今、お嬢様は私なら気配を絶たなくても平気ではとお考えになったのではありませんか?」



鋭いわね。私は頷きます。



「確かにこの森のモンスターは手ごたえはありませんがドラゴンを決して侮ってはいけません。ここで威圧を発動させ、森の中をすいすい歩くのは可能です。ですが奥からドラゴン達が警戒して攻撃してくるでしょう。彼らは強いだけではなく賢いのです。王都にいるズル賢い貴族《害虫》よりもですよ。例え私の方がどんだけレベルが高かったとしても種族補正でドラゴンのレベルが低くても人族の私ではレベル差は余り関係ありません。戦闘では全てをひっくるめると僅差になってしまうのです。だから、私は以前敗北したのです。分かりましたか?」



よく分からないのですがドラゴンとアイシャが強くて凄い事は分かりました。

アイシャの話をを聞いていると遠くの方から爆発音が聞こえました。



「な、何事なの⁉︎」



私は動揺してアイシャに抱きついてしまいます。アイシャは私をよしよしと頭を撫でてくれます。



「どうやら、遠くの方でドラゴン同士の争いの様です。4匹ですね。1匹相手に3匹で攻めている?……ふむ、今日はここまでにしましょう。こんな近くにドラゴンが現れては何が起こるかわかりませんので早く引き上げましょう。争いが終わるのも時間のもんだ……⁉︎」



アイシャが急に身構えます。



「お嬢様、申し訳ありません。どうやら見つかりました。私があのドラゴン達を相手にしている間だけお嬢様は高い所で隠れていて下さい。そのマントは全ての認識の阻害ですがお嬢様から認識させたらモンスターも感知しますからね」



アイシャはそう言うと短剣をいつの間にか両手に持っています。



「何でドラゴンに居場所を見つかったの⁉︎だって音は遠いしアイシャの見ている方を見ても何も見えないわよ!」



空を見上げても何もいません。

ですが音も聞こえましたし、その先にいるのでしょう。



「これは私の気配遮断がかえって仇となりましたね。下位竜ならば気づかれなかったでしょうが私に気付くとなると中位竜でしょうね。完璧に気配を消していたからこそ私の存在を見つけだせたのだと思います。そして、私の力が脅威だと判断して、私に殺気を送ってきたようです。狙われているのは私なのでお嬢様はモンスターに気をつけて、私の戦いが終わるのを待っていて下さい。片付けてきます」



アイシャはニヤッと口元を緩めます。



「気配が無いから気付くとは……楽しませてくれる!」



そう言い残し、アイシャは木と木を飛んで消えてしまいました。

あぁなってしまったアイシャを止める事は無理です。それにアイシャの言う通りにドラゴンが来るのなら私はどこかに隠れた方が良いですね。

どうして、ドラゴンに居場所がばれたのか分かりません。このマントは認識の阻害ですから、もしかしたら見つかったのは私なのかな?

アイシャは教えてくれなさそうです。

1人では不安なのですが近くを少し歩いて大きな岩の上に木を使って登ります。

しばらくすると大きな声が森の中に響き渡り、森がざわつきます。


これがドラゴンの声⁉︎


びっくりしていると岩が動き出したのです。急に動き出したのでしがみついて前を見ると私は大きな蛇の上にいたのです。

岩と思っていたのが蛇の胴辺りの上だった様です。私に気が付いていない蛇の上で私は気づかれない様に息を潜めます。蛇もドラゴンにびっくりして逃げ出しているようです。


しばらくすると急に蛇の動きが止まりました。


何事かと思ったら前の方で猪の魔獣が岩の蛇を潰して殺してしまった様です。私は思わず悲鳴を上げてしまいました。

私が悲鳴をあげてしまった事でジロッと見つめられ、猪の魔獣達は私を認識してしまった様です。


……どうやら私もここまでの様です。アイシャ、ゴメンね。



近づいてくる大きな猪の魔獣達をただ逃げ出す事も出来ずにただ見つめます。


もう5メートルも無い距離で突然猪の魔獣が燃え上がりました。

燃えた猪の魔獣はそのままどさりと大きな音を立てて倒れてしまうと周りの猪の魔獣達は逃げ出しました。

私は助かったと思い溜息をつき、ふと横を見るとーー



そこには真っ赤な巨体のドラゴンが私を見つめていました。

前回辺りでこの物語がただの悪役令嬢やざまぁモノじゃないと分かった方が多いと思います。


ファンタジーな世界で剣や魔法があって、ドラゴンがいる世界で領主や内政モノを女性で書きたかったのでこの様な流れになっています。


ざまぁは内政を始める頃に確実にあるのですがまだ先になります。

タイトルの様に子供達と過ごしたい主人公がキーワード通りに物語を展開します。


次は15話目なので気になるとは思いますがアイシャの回になります。


ちゃんとした悪役令嬢モノやざまぁモノが見てみたかったと言う方は申し訳ありません!


悪役令嬢に攻略の選択肢があるのは間違っていると思います!と言う作品を投稿します。


ざまぁを考えて書いていたのですがこの物語を思いついて辞めたエターナルストーリーです。


こちらの物語は長く書きたいのでゆっくりと文章を書いていきます。


長々と申し訳ありません。



03.07修正済み

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ