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伯爵令嬢は僻地で子供達と戯れたい!  作者: イブ
序章 繋がれた者たち
13/26

13.伯爵令嬢と宮殿と人形遣い

遅くなりました!

私の文章では物語を伝えきれていないと判断したので設定や人物紹介を考えて書いてました。

15話がキリが良いので15話以降に投稿します。

「アイシャ、行ってきますね」



私が石の前で深呼吸して出かける事を伝えるとアイシャはハイと頷き、扉の前で私を見守ってくれます。

私の宮殿に戻り、ルーリーはまだ眠いみたいなのでそのまま寝室に連れて行きました。

その後、私はもう一度、契約をした部屋に行きました。どうやら、この宮殿のキーポイントになる場所みたいです。

アイシャやルーリーは1人ではこの部屋にたどり着く事が出来ないらしい。逆に私はこの部屋に行きたいと思うとすぐにたどり着けます。どうやら失われた技術の一つの魔術が関係しているみたいです。

私が石に触れると頭の中で行き場所が浮かびます。


・龍の間

・鶴の間

・王の間


この3つの選択が今の所選べます。他にも部屋があるのを感じるのですが行く必要がない為か選択に出てこない様です。


もう一つ、この宮殿と契約して困った事があります。

今、石に手を触れた時に右の手の甲に浮かび上がっている文字は太陽神の寵愛を受けた証の紋章です。

ソール教信者がこの寵愛を受ける為にソール様に生涯を捧げ信者になるのですが私はこの宮殿と契約した時に手に入れました。

魔力を使うと紋章は浮かび上がる様です。女神に選ばれたほんの一握りの者しか手に入らないこの紋章をソール教信者が見たら発狂ものです。

私を破門にしたのにこの紋章を持っているのを知られたらどうなるのでしょう?

ですが、もう王都へ行く事な無いので関係ない事ですね。

それにしてもこの紋章を手に入れたと言う事はこの宮殿は太陽神に関係する方が創ったのでしょう。


このままだと転位できないので私は目をつぶり【鶴の間】を念じます。

すっと目を開けるとたくさんの機械の様な物があります。

布や糸も置いてあるので服が作れる部屋なのでしょう。しかし、私には作る知識も技術はありませんし、アイシャは知識を持っているだけのポンコツなのでこの部屋の活用はできなさそうですね。

私とアイシャの服は問題ありません。ルーリーの服は町で購入したのが何着かあります。しかし、子供は成長が早いのですぐに着られなくなるでしょう。ならば将来的に考えると新しい服が欲しいです。それを活用出来ないのは残念です。

それにしても窓もなく広い空間ですね。大人数で数々の物が作れそうです。

私は部屋を見続けた後、転位で場所を変えます。



次は例の部屋です。龍の間と名前がついている様に龍が居ます。何もない洞窟の様な空間に湖があります。中を覗くと湖の底まで澄んでいます。

生き物も住んでいない湖の底に大きな頭が見えます。

それが龍です。

初めて見た時は取り乱して逃げてしまいました。今回は怖いですが見られます。封印されているので動く事が無いときいています。ですが底が深いはずなのに近くに見えて大迫力です。今にも動き出しそうで怖いです。

アイシャでしたら、この龍の封印を解いて戦いたいと言い出しそうですね。本当に私だけが転位できて良かったです。

この空間の水は宮殿内で使われています。飲むと甘みもあり、びっくりするほど美味しいのです。浄化もされていて聖水と変わらないみたいです。



最後に【王の間】を念じます。

すると豪華な部屋が現れます。いえ、現れたのは私の方でしょうね。転位とは便利な技術です。この技術はあの王城にもあったのでしょうかね?

今となっては調べようがないです。

この部屋は豪華なだけで広くはありません。こぢんまりとした感じです。

豪華な椅子の後ろの壁に私の名前が書いてあります。

……本当に私の所有物なんだ。

フヴェルゲルミルと書かれていますが宮殿の名前みたいです。

他にも壁に書かれている情報を読んでいると一つ気になる事があります。

【グレイプニル】と私の名前の下に書かれてあります。

この言葉の意味は何でしょう?

読み終わり、他には無いみたいなので転位しようとしたら机の上に何か違和感を感じます。私はまた机まで歩いて行きます。

机の上に地図らしきものがいつの間にかありました。

その地図を見ようとすると地図の中が浮かび出し立体化します。よく見るとこの地域の地図のようです。

【ムスペルヘイム】と頭の中に浮かびます。どうやらこの僻地にも名前があったようです。大戦時代の名前でしょう。今の時代にこの僻地には名前がありませんから。

手をかざすと地図も動きます。両手を広げると地図は拡大して、狭めると地図は縮小します。


……最先端技術みたいです。


それにしても使い方も直接頭の中に入り、分かるのは凄いです。


この宮殿の中に入ってからの情報を纏めると通常の部屋と所有者だけの特別な部屋があり、特別な部屋も制限したら所有者以外も入れる部屋があるみたいです。

そして、この宮殿は環境補正が半径3キロまでかかっています。私次第では更に広げる事ができるみたいです。

私にだけ宮殿内なら敵意を感知出来るみたいです。


他にも様々な効果があり、正直に言いますと私には有り余る代物です。

ですが成り行きとは言え契約してしまった以上はオールド・レガシィは放棄は出来ません。ならば腹をくくりましょう。


お父様が言っていました。



『強い力を持つとそれ相当の責任が生まれる。その責任をまっとうするのが貴族。放棄するのは平民。それを悪用するのが愚か者だ。王妃になるのならば国を守る責務から目を背けず未来の王と供に民の為に尽くしなさい』



あの時は私が婚約した時に贈って下さった言葉でしたが今回の事も同じ事を言えます。

私はまだ貴族です。でしたら逃げずに出来るだけの事をやりましょう。

私はグラウザム家の一員なのですから。










「お嬢様、どうでしたか?」



元の部屋に戻るとアイシャから声がかかる。



「えぇ、やはり私にはこの宮殿は有り余るわ。だからと言って逃げるのは違うと思うの。少しずつですが私はこの宮殿の所有者として相応しい者になれる様に努力します。まずはそこから始めるわ」



私の言葉を聞いてアイシャはそうですかと微笑みます。

私はさっきまで居なかった彼女に話します。



「貴方も同じです。逃げるのは簡単です。でもまずは貴方を受け入れる事から始めます。私には私を必ず守ってくれるアイシャも居ます。それに私は戦えないので強い力も必要として無いです。ですがこれも何かの縁です。私の力としてではなく貴方を必要とします。だから、貴方を私のモノにします。確認しますが貴方はそれで良いのですね?」



「主様が拒もうとも私の所有者は貴方です。更に私を受け入れて頂ける事に否定する理由が見つからないです」



そう言って彼女は私に近づき膝をつけ、頭を下げます。

一度、オールド・レガシィの契約を終えました。やり方は分かります。アイシャに目を配るとスッと近づき私が彼女へ差し出した手を掴み、指を少し切ります。

指からポタポタと落ちる血が彼女に当たると地面に魔方陣が現れ光り出す。そして、頭の中に言葉が浮かびます。



「貴方の名前はクローネよ。コレより貴方は私の眷属になります。よろしくね」



そう私が言い終わると魔方陣はすぐに消え、クローネは立ち上がりハイと答えます。



「主様、私に命令をお願いします。私は戦闘型パペットになります。主様は私の能力を把握されていると思います。この宮殿には100以上のパペットを忍ばせており、主様の言葉で何時でも操る事は可能です。国を攻める事も出来ます。ご命令をどうぞ」



……え?えぇぇえっ!!

ま、待って下さい!!

私は慌ててクローネに喋ろうとしましたらアイシャが遮ります。



「おや、思ったより話が分かるパペットですね。まずは手始めにこの王国の王都を攻め落としてお嬢様へ捧げましょう!貴方は城の陥落をお願いします。私はその間に王子とお花畑の首を体から奪ってきます!なんだか楽しくなってきそうですね!」



ニコニコと話をするアイシャに私は溜息をついてしまいます。



「アイシャ殿、申し訳ありません。主様の命令が無いと実行に移せません」



アイシャの言葉に先に反応したのはクローネだった。クローネの言葉を聞いたアイシャは不思議そうにします。



「何を言っているのです?命令が無くてもお嬢様の為に動くのが従者の役目ですよ?命令が無いから動かなくてお嬢様の身に何かあったらどうするのですか?魂があるのに融通が利きませんのね。それに人形が人形を扱うなんて貴方を作った人は悪趣味ね」



そして、アイシャは不満そうに話します。そんなアイシャに私は全くと呟き、額を押さえながら話します。



「争いごとはなるべく避けるように!平和が一番です。何度も言いますがこの王国が好きです。だから、王都に攻め落とす事を考えるの止めなさい。悪い方も居ますが良い方も沢山居る事を忘れない様に」



強めの口調でめっとアイシャに話すとシュンとして申し訳ありませんと反省したようです。

それからと私は言葉を続けます。



「クローネ、人形である貴方には最初で最後の命令をするわ。ただ自由に生きなさい。良い?」



無表情のクローネが私の言葉に困惑したのを感じます。



「自由に生きるでしょうか?……申し訳ありません。言葉が曖昧で的確な命令をお願い出来ないでしょうか?」



「人に迷惑をかけなければ自分のやりたい事をして良いのよ。私も上に立つ側ですから命令はこの先もすると思うわ。でもね、今後の命令は絶対に従う必要は無いわよ。クローネ、貴方が考えて従わない選択肢もあるの。私との契約で貴方が私に不利な事をしないのは分かっているわ。だからこの命令だけを守って欲しいの。それに貴方は人形ですが魂もあり、考えて行動もできるのでしょう?」



無表情で私を見つめますが分かりましたと了承します。



「自由に生きろとは難しい命令です」



私は苦笑します。



「私もね、今まで未来の王妃として縛られて生きてきました。縛られて生きる事は簡単よ。ちゃんとした道しるべがあり辛くても言われた通りやれば良いもの。でもね、本当に生きていると言えるのかしら?私は責任のある立場でしたから自ら縛られる選択をしましたわ。ですが私もその必要が無くなりました。だからね、クローネも私と共に自由を探せばいいわ」



クローネはハイと答えてくれました。

私とクローネの環境は似ています。互いに縛られて生きてきました。魂があるのに自己がないのは必要ないから。

生きている以上は何かに縛られて生きていくものです。ですが、縛られながらも考え動く事も大事だと思います。

この先、クローネがどう変化するのか分かりませんがクローネにとって良い変化を祈ります。



クローネの件もそうですがアイシャには助けられっぱなしですね。

初めて会った時からずっと側に居てくれます。そして、沢山のモノを頂きました。


私が帝国兵に捕まった時、アイシャが真っ先に助けてくれました。あの時、周りには40人程帝国兵が倒れていて、アイシャは血塗れになって右腕を失ってました。それなのにアイシャは大怪我をしている自分より私を心配してくれました。私は途中でまた気を失いましたのでこの真相は知りません。後からアイシャに尋ねても教えてくれませんでしたし、お父様もこの件だけは口を開きません。多分ですが、私の所為でまた戦争になる可能もあったのでしょう。


私の婚約破棄を予言して、私に降りかかる不幸を振り払ってくれました。アイシャが動いてくれなければ私は処刑されていた可能性さえあるのです。


僻地に行く時にアイシャが真っ先に私の従者として名乗りを上げました。僻地には常に危険です。ですが、何事もなく過ごせるのはアイシャが居るからです。



アイシャへの感謝を考えたらキリがありませんね。


帝国兵に捕まって以来、私の安全の為に必ずアイシャが護衛を兼ねた従者をしてくれてます。

婚約破棄の時に僻地送りだけで済ませ、そして、私に自由をくれました。

危ない僻地では私の身の危険を常に確認を取ってくれてます。

そして、宮殿を与え、クローネとの縁もアイシャから頂きました。


気付かないうちに私はアイシャに頼りっぱなしです。

そして、私もアイシャを縛り付けていますね。



「ねぇ、アイシャ。私はアイシャが従者で良かったわ。いつも沢山のモノを戴いて感謝してるわ。アイシャには何もしてあげられていないのですがこれからも一緒に居てくれますか?」



私がアイシャに感謝の言葉を伝えるとアイシャは本当に不思議そうに首を傾げます。



「私は望んでお嬢様の従者になりたかったのです。私にとってお嬢様の側に居る事が何よりもの私の幸せです。ですから私からお嬢様に与えた事は一度もありませんよ?寧ろ、私はお嬢様から沢山のものを頂いています。いえ、奪っています。お嬢様の安全だとは言え、パペットを押し付けたり、この宮殿と契約する事でお嬢様をこの地に縛り、お嬢様の自由を奪いました。そんな私が側に居ても良いのですか?」



アイシャが珍しく萎れて不安そうに私へ話します。

私の返答は既に決まってます。



「私にとってアイシャから沢山のモノを戴いた事はあっても一度も奪われた事は無いわ。なんなら私から奪ってみると良いわ。だから、この先も私の従者で居てね」



悪戯っ子の様に私は意地悪な笑みを浮かべます。

アイシャは私の言葉を聞くと蕩けるような笑顔で嬉しそうにします。



「あぁ、良かったです。やはり、お嬢様しか私の事を受け入れる事は出来ません!私はどんな事があろうとも一生お嬢様の側にいますよ!そして、一生賭けてお嬢様を奪い続けます。だから、他の誰にもお嬢様を譲りません」



不覚にもアイシャの惚けた顔にドキッとしてしまったのはアイシャには内緒です。

クローネ

「自由……自由?」


アイシャ

「何を唸っているのですか」


クローネ

「自由について知りたいです」


アイシャ

「全く融通の利かないパペットですね。知りたいのなら見ていなさい!……お嬢様〜!ラブです!ハグです!」


シュア

「きゃっ⁉︎な、何?何事⁉︎アイシャお座り!」


アイシャ

「ワン!」


シュア

「全くそのまま反省しときなさい!動いたら口聞いてあげないんだからね!」


アイシャ

「そんな殺生な⁉︎お嬢様お待ちくださーい!お嬢様ー!!」


クローネ

「……」


アイシャ

「……これが自由よ」


クローネ

「……自由って難しい」




(修正前)私には強い力も必要ないです。


↑分かりにくかったので変えました。


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