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伯爵令嬢は僻地で子供達と戯れたい!  作者: イブ
序章 繋がれた者たち
12/26

12.伯爵令嬢と古民家

この回で9話の最後に触れます。そして、次回が説明回になる予定です。

「お嬢様、竜車で移動して、六時間の所が今回の目的になります」



そうアイシャから言われて、そろそろ六時間が経ちます。

まだ僻地に来てから2日目しか経ってませんが現地の視察へ出かけてます。長旅からの視察とハードスケジュールです。

ウーパー君と名付けました砂漠からのお付き合いになっているドラゴンモドキと言う名の魔獣の走るスピードが速くて魔獣を見れないアクシデントがあるものの順調です。

モンスターって案外遭遇しないモノですねと言うとアイシャはそれはですねと言い、しみじみと答えてくれました。



「初めは楽しいからいいですが中ボス倒した辺りから遭遇するのが面倒になるのです。三歩四歩進んだだけで出遭うのはゲームの世界だけでいいです。そして、たいして強くないのに【逃げる】の選択肢をしても逃げれずにイライラする事もこの世界・・ではないのです。モンスターも別に人間ばかり襲っている訳ではありませんよ」



アイシャの説明は分かる様で分からない事が多いです。今回は何か苦労した思い出があったのか外を眺め、遠い目をしてます。

何か苦い経験でもあるのでしょうかね?

この周辺のモンスターと遭遇出来ない代わりにアイシャから話を聞きました。

この辺りに察知出来る魔獣型のモンスターは複数のボア系とカトブレパス言う牛の魔獣だそうです。互いに縄張りを張り争っているので今だと気が立っているのが多いので出遭ったら気をつけなければなりません。本来ならば、エーテルバッファローやカトブレパスなどの牛系の魔獣が沢山生息していたそうです。

それに話を聞くとエーテルバッファローのお肉は凄く柔らかく旨味があり、美味しいらしいので確認して、この領地の特産品にしたいと考えてます。

私が沢山質問するとアイシャは不思議そうにします。



「お嬢様、何故魔獣の強さとか弱点とかではなく、行動やそのモンスターの天敵など必要の無い事ばかり聞くのですか?お嬢様が聞く内容の意図が理解出来ません」



「アイシャにとっては脅威ではないモンスターでも私みたいな非力な者達には脅威なのよ。出来るなら戦わずして過ごしたいの。でもね。脅威だからって無闇に駆除したらもっと害のあるモンスターが現れる可能性があるの。現にボア系の魔獣がこの地域を占領し始めていると言ったでしょう?どちらが脅威なのか害が有るか無いか調べなきゃ困るの。だから、それを領地に人を呼ぶ前にそれは調べておきたいわ。それと生態系が分かればこの僻地での安全なポイントが分かると思うの。そこに村を作るのも視野に入れる事も出来るでしょう?」



子供達を招いて、危険があったら困るわ。

モンスターと言っても生きているのなら彼等にも生活があるはず。互いの営みに干渉せずに安全に暮らすには必要な事だと思います。



「時々、お嬢様は難しい事を考え過ぎだと思います。敵が居たら殺す。これだけではダメなのですか?……むっ。そう言えば、旦那様も昔に似た様な事を言ってましたね」



……それは強者の考えだと思います。脅威がないから来た脅威を跳ね除けるだけで良いから深く考えないのです。



「アイシャは強いから物事を簡単に考えれるのよ。私はアイシャが守ってくれるから大丈夫でも領地に来る人々は違うわ。町を作りたいのなら土地や建物もそうですが近隣の状況も把握してないと街はすぐに壊滅してしまいますよ」



「……成る程。それもそうですね。廃墟の村の付近は確かにモンスターの縄張りから外れています。他の場所より危険は少ないです」



アイシャは私の話に納得した様で私の質問に答えてくれます。

しかし、聞けば聞くたびに危険を感じますね。

ボア系は論外です。雑食で人も何でも襲うそうです。

カトブレパスと言う魔獣は石化の能力があるそうです。本来は好物のサボテンダッターと言う素早い魔草のモンスターを捕まえる手段だそうですが身に危険を感じると石化させられるそうです。

好物のサボテンダッター以外は石化しても食べないそうで壊されない限り、石化を解除したら大丈夫らしいです。

サボテンダッターも身に危険を感じない限り、人を襲う事は少ないようです。

アイシャ曰く、この辺りのモンスターは手ごたえも無く経験の旨味の無いモンスター達らしいです。

ただ話を聞く限り、私1人で出遭えば確実に死にます。

改めて僻地の怖さを感じました。



「サボテンダッターって何故過去形なのでしょうね。この世界の名前の由来に疑問を持つ事が度々出てきます」



アイシャはふふんと得意げな表情を作り、人差し指を宙でなぞるようにして話し始めます。


「その疑問を解決するにはとある組織の脅威を説明しなくてはなりません。その組織はチョサクケーー」



「まぁ、聞いた所で私にとって意味の無い事です。神のみぞ知るですね」



この世界ではどうでも良い事でした。なので話しを終わらせます。



「お嬢様⁉︎お嬢様のいけず!私知ってますよ!寧ろ、話させて下さい!この世界の真理とも言っても良い話ですよ!」



「アイシャ、ルーリーが起きちゃうから静かにしなさい」



私がそう言うとアイシャは頬を膨らませます。



「むぅっ!分かりました。静かにします。でもお嬢様、そろそろ受け入れたらどうでしょう?」



アイシャが唐突に話を変えます。何度かアイシャから話を振られてはかわしていたのですがこの状況では無理そうですね。

ジッと見つめるアイシャに私はふぅと一息ついて言います。



「あの宮殿でさえ、私はまだ受け入れられないのです。彼女も同じです」



「お嬢様、初めに伝えましたよ。アレは他の手に渡れば確実に危険です。特に西の国に渡してはなりません。そうなる前にアレと契約して下さい。場合によってはこの王国が滅びるかもしれませんよ」



アイシャの話は分かります。

あの時の夜、私はアイシャの事を少し知りました。



『……これは人ではありませんね。ゴーレム?いや、パペットの類いですか』



『この方がパペット?本当なの?』



『はい、その認識で合っています。そして、この建物に支えています。ですが、建物の所有者が貴方様に変更された事により、私の所有権は貴方に移行されましたので貴方の物です。主様』



『……アイシャ、この人は人形なの?まるで生きているみたいだわ』



『アイシャの名で命じます。しゃがめ、飛べ、立て、止まれ』



『アイシャ、何しているの?貴方も言われた通りに動かなくていいのですよ』



『……これは不味いですね。このパペットが西の国の王族に渡ると厄介です。あの国は陰湿ですから。西の国の王族達はパペットやゴーレムなど魂のないモノを自分達の意思で動かす事が出来ます。このパペットは魂を感じますが自己がまだありません。だから、魂があっても操れます。これもオールド・レガシィですね。危険です。コレを受け入れて契約し、服従させ縛るか。受け入れないのでしたら破壊をするかです』



『……待って欲しいわ。考えが追いつかないの。少し時間が欲しいわ』



アイシャが話した西の国は魔導に優れていて、隣国でありますが国内の事は秘匿されて情報が少ない国です。

その国の王族の事を知っているだけなら何も考えません。

その王族しか使えないと言う同じ力を使い、その国の危険性を話す姿を見て、アイシャが王族の関係者だと理解しました。

アイシャはこの世界の過去の事を話しません。まるで無かったかのようにしています。あの時、陰湿と言う表現は過去に何かがあったのでしょう。

アイシャが時々暴走するのも彼女なりの愛情表現だと思ってます。彼女は自分が本当に欲しいモノを求めるのが苦手みたいですからね。

アイシャが話すまで聞きはしませんが話した時は主人として力にはなりたいと思います。




「アイシャの話は分かります。彼女の事は帰ってから話し合います。ただ、私には過ぎた力なのです」



この王国が他国に攻められても武力で国が堕ちる事は無いと言われてます。王城の鉄壁の護りや、王族に忠義の儀の時に忠誠を誓う事で力を与えられます。今なら分かります。オールド・レガシィの力なのでしょう。

帝国は皇帝しか使えない大剣があると聞いてます。そして、皇帝が振るう剣はドラゴンをも追い返すそうです。

そして、西の国はパペットやゴーレムなどの魂無きモノを操る。


王族と同じ力を手に入れた事になったら、また面倒事に巻き込まれてしまいます。

これから始まる王都での混乱から逃がれる為に僻地へ来たはずなのにね。

それに私はただ、平穏に子供達と暮らしたいだけなのにどうしてこうなったのでしょう?



「お嬢様、過ぎた力でも使う者次第です。私はお嬢様なら間違った使い方はしないと思ってます。私を正しく扱えるのもお嬢様だけですから」



アイシャがそう言って微笑む。

しかし、ドラゴンを倒せると言った彼女まで手に入れたら私は一体領主ではなく、何処に向かっているのでしょう?




「……分りました。ただ、宮殿を調べた時に見た、動かないとは言え、あの巨大なドラゴンを受け入れる自信はありません」



宮殿の所有者になり、私しか行けない部屋があるのですが、その部屋は貯水槽的な場所でした。

宮殿にはどの場所でも水が沢山使えます。辺りは水が無いので地下水でもあるのかと考えていたのですが違いました。その空間を見て、使える理由を納得した時にふと水の底を見ると平民のお家よりも大きな頭がありました。

顔しか見えませんでしたが目を閉じた大きなドラゴンです。私は急いで逃げました。

アイシャにドラゴンの話をしていたら彼女も来て、教えて貰いました。

女神が生きていた時代に悪さをしていた水龍と呼ばれる種類の龍らしく、封印されたそうです。水龍は清き水を創り出すのでそのまま、この宮殿の水の資源になったと説明され、私は青くなる一方でした。

それから、昨日と今日とずるずると逃げてます。

ただ、覚悟は決めないといけませんね。












アレから会話が途絶え、辿り着いた私達。ルーリーはまだ眠いみたいで目を擦って、私の腰に抱きついてます。

そんな中、私は村の様子を見て一言。



「……古民家喫茶を作ろうかしら」



「……でしたら、遠くから来られる方の為に古民家宿をやりましょう」



目の前にボロボロの家だったモノがあります。そして、埃っぽいです。

この場所を目指していたと思うとアイシャの判断は良かったです。



「ここから真っ直ぐ行くと5キロ先に川があります。川を越えると帝国です。左の方を向くと見える山が噂のドラゴンが出た場所です。山よりもデカいドラゴンが帝国と王国の戦争を止めた話です。そして、その反対に見える瓦礫の山は街だった場所です。あちらは戦争で崩壊してます。あと、アンデットが出てくるので要注意です」



「分かったわ。しかし、この場所は安全ですね。家の崩れ方も風化したみたいです。ですから長期間荒されて無い事を示してます。地盤調査的な事をしたいと考えてましたが必要ないですね。ここを拠点にして、領地を展開していくわ」



私は面白くなり、様々な事を考えます。



「お嬢様、楽しそうですね」



「そうかしら?でも王都でいた時は自分のやりたい事ではなく、他人から強要された事しか出来ませんでしたからね。自分の手で1から何かを創り上げるのは初めてなのでドキドキしています」



アイシャはずっと私が村の間取りを記録しているのをニコニコとしながらついてきてくれました。

こうして村の調査を終え、またお家に帰ります。


帰ったら宮殿をもう一度、確認しなくてはなりません。

そして、もう一つの悩みも解決させます。

作者はFF9が大好きです。


スタート画面で放置して出てくるキャラの説明を見るのが好きです。しんみりします。

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