11.伯爵令嬢と従者と犬っ子の日常という名の閑話
今回はネタ回です。
それぞれの性格が分かる出来事かなっと思います。
もう一つネタがありましたがこの話に入らなかったのでまた今度ネタ回します。
作者が百合ネタばかり思いつきますので入れましたがこのネタ回の評判が悪いようでしたらもう一つの普通のネタに変えます。
「……お嬢様、此奴はメス犬の顔をしています!」
「……アイシャ、子供の目の前で言葉が汚いわ」
私が注意するとアイシャはキィーとよく分からない悲鳴に似た声を上げ、ルーリーを指差します。
「昨夜は添い寝する事は許しましたがにゃんにゃんする事は許してません!ズルいです!!私もお嬢様と熱い夜を過ごしたいです!ワンナイトしたいです!!」
「……にゃんにゃんって、ルーリーは猫じゃなく犬っ子よ。それに王都と違って、ここの夜は暑いわよ」
アイシャは珍しく私の言葉に反論してきます。
「そうですが私が言いたいのは違います!私が言っているのはこのちびっ子がお嬢様に発情しているのが気に食わないのです!」
……ルーリーが発情?
昨日の話なら、沢山泣き疲れたルーリーは私の胸にうずくまって、すぐに寝ましたよ?
朝から確かにべったりと、くっ付いて居ますが私のやる事を真似たりして子供らしく可愛らしいわよね。
やはり、いつものアイシャの被害妄想ね。
「……子供相手に大人気ないわよ」
私がもぅとアイシャに叱るとルーリーはアイシャを見て、首を傾げます。
「アイシャはどうしたの?」
「今日はただ機嫌が悪いだけよ。気にしなくていいの」
「私は至って正常です!正常にお嬢様へ発情しているのです!」
……アイシャが発情しているじゃない。王都から離れてアイシャの暴走が多くなるわね。
どうしよう。正直、面倒くさいわ。
「今お嬢様は私の事を面倒くさいと思いましたね!」
……本当に面倒くさいわね。心を読まないで下さい。
私は大きく溜息を吐きます。
「ねぇねぇ、アイシャアイシャ!」
「……何ですか?ちびっ子」
唐突にルーリーは顰めっ面のアイシャを呼ぶ。そして、ジッと見つめたかと思うと私にギュッと抱きついてきます。
あら、可愛い!
「なっ⁉︎こ、こここれは戦線布告ですね!いいでしょう!受けて立ちます!私アイシャは逃げも隠れもしませんよ!ちびっ子よ、私のライバルとして認識して差し上げましょう!」
あぁもうアイシャの暴走が止まらない!私はアイシャを睨みつけキツく言います。
「……アイシャ。いい加減にしないと私も怒るわよ?」
私が本気だと悟り、アイシャは渋々口を閉じます。そして、恨めしそうにルーリーを見ると目を見開きます。
「このちびっ子ニヤッとしましたよ⁉︎確信犯です!お嬢様!このちびっ子ニヤッとしました!大事な事なので2回言いましたよ!」
また騒ぎ始めるアイシャを無視して私はルーリーに手を差し伸べ、行こうと言うと手を繋ぎます。
ルーリーは嬉しそうに手を握り返します。
「お嬢様!ちびっ子から離れて下さい!このちびっ子は危険です!主に私の心の拠り所を奪う危険性があります!」
まさか、アイシャが子供相手に大人気ないとは予想してませんでした。
「小さい子が甘えるのは当たり前です。アイシャにはどう見えているのですか?」
私がジト目で聞くとアイシャは胸を張ります。
「私の百合眼で見る限り、このちびっ子のお嬢様へのラブメーターは好感度がマックスを突破して、攻略可能になってます!ちなみに私も既に攻略可能なので何時でも待ってますよ!カモンです!」
……全く。なんの話ですか。
分かりたくないのに分かる様になった自分も嫌だわ。私もアイシャに毒されましたね。
「……アイシャ、ルーリーは7才よ。良く分からない事を言ってこの子の感性がおかしくなったらどうするのよ。あと、私はアイシャの悪ふざけに乗る気はありません。これ以上言うのなら口を暫く聞きませんよ」
もう私は呆れた顔です。ですがアイシャは顔をキリッとして、私の目を見て言います。
「お嬢様、イイですか?女とは物心ついた頃から女性なのです。ちびっ子は既に女なのですよ。それとこれ以上もう言わないので殺生な事を言わないで下さい。許して下さい」
アイシャは深々と頭を下げ、そのまま土下座をし、謝ります。
……初めからそうしてればいいのに。
ルーリーはその姿を見て、首をちょこんと傾げます。
頭を上げたアイシャは不服そうですがルーリーと目が合うと作り笑顔を見せます。
「よし、ちびっ子。お 嬢 様 の!ご 厚 意 で!仲直りをしてあげます!さぁ、お嬢様に抱きついた体で私に仲直りのギュッをしてもイイですよ」
その言葉に対してルーリーはーー
「やっ!アイシャのペッタンよりシュアのふかふかが良い」
アイシャはなっ⁉︎と声を上げた後、立ち上がり、顔を真っ赤にしながらプルプル震えだします。
「ひ、ひと狩り行ってくりゅぅぅぅ!!」
大声を出して、キラキラと光る何かを振り撒きながら、外に向かって走り出しました。
残された私とルーリー。
ふむ、子供って時に残酷ね。
「ルーリー、今のは、めっ!よ。アイシャが帰ってきたらゴメンなさいするのよ」
心を鬼にして、ルーリーを怒るとお耳がションボリとしてしまった。それを見て、怒っているのにニヤけてはダメよ私。
私は頑張ってルーリーにダメな理由を教える事に成功した。
…………………………。
……………………。
……………。
1時間後ーー
「ただいま戻りました!」
元気よくアイシャが戻って来たので良かったです。
アイシャの声がした方に向かいますがアイシャに近寄らずに私とルーリーは止まります。
えぇ、背後に沢山の戦利品がありました。
「お嬢様、見て下さい!エンペラーボアやファングワイルドボアやバイアなどなど大量ですよ!褒めて下さい!」
「……えぇ、凄いわアイシャ。でも猪1択なのは何故?」
巨体の猪が10体以上あります。大きいモノなら5メートルは超えていますね。見た目はどれも違いますが猪だと理解出来ます。
……消費出来るかしら?
「私も分かりません。ただ、この辺りの生態系が変わっているのだと思います。本来なら、エーテルバッファローを捕獲する予定でしたが居ませんでしたね。このエンペラーボアなど森の奥に生息するので一度、森を調査しなくてはなりませんね」
この辺りのモンスターが変わったって事かしら?
「元々、強い魔獣は居ましたが攻撃的な魔獣は少ないのです。ですが、違う地域からボア系魔獣が流れてますね。ボア系の魔獣は気性も荒いのが多いので他の魔獣が居なくなった様です。しかも、全体的にレベルの高い魔獣ばかり居ます」
「そう、なら変化したこの地域の魔獣の生態系も今後調べましょう。駆除した方が良い魔獣と放置して良い魔獣の選別はお願いしますね」
「明日向かう廃棄の村までの道で魔獣を見かけたら教えますね」
私がお願いと言うとアイシャとの話しが途絶える。そのタイミングでルーリーがアイシャにおかえりと声をかけます。そして、ルーリーはちゃんと頭を下げます。
うん、言う通りに出来たね。偉いよルーリー。
「アイシャのペッタンにペッタンって言ってゴメンなさい。本当の事を言うのが悪い事って知ったから、もうアイシャにペッタンって言わないよ」
……。
アイシャがまたフリーズしてしまいました。
私もフリーズしてしまいました。
……子供って無邪気で良いよね。
私はそっと2人を見守る事にした。
シュア
「少し出かけるから2人仲良くするのよ」
アイシャ・ルーリー
「はーい」
シュア
「行ってくるわね」
アイシャ
「……行きましたね。ちびっ子よ、私への様々な狼藉、覚悟しなさい。護って下さるお嬢様はもういませんよ!」
シュア
「ちょっと忘れも……のをって何しているの?」
アイシャ
「いや、コレは……何でもありませんよ」
ルーリー
「ふぇぇ〜ん、怖かったよ。アイシャが、るーを虐めるの」
アイシャ
「なっ⁉︎寧ろ、私が散在コケにされたのに!子供汚い!」
シュア
「アイシャ?言い訳を聞いた方がいいかしら?」
アイシャ
「何故、私が悪者に……」
ルーリー
「……ニヤリ」
アイシャ
「お嬢様!ちびっ子がニヤけましたよ!見ましたか⁉︎」
シュア
「何を言ってるの?いつものルーリーじゃない」
アイシャ
「お嬢様〜〜!!」




