NPC76
ブックマークと評価本当にありがとうございます。
もっと頑張って書きます。
食材を採取しながら思う。
このミネルという女はおしゃべりだ。
俺が何もしゃべらなくても何かと会話を振ってくる。魔族というものはそうなのだろうか? いや、わからんが。
「十夜さんは結婚しているのですか?」
「してねぇな」
してたらこうやって旅なんてしてねぇよ。
「十夜さんはなにが好きなんですか?」
漠然としててわかんねぇよ。
まあ、肉は好きだけど。
「私もお肉好きなんですよー。気が合いますねー」
肉好きは結構いると思うが、こいつなんなんだろうか。
段々地がでてきたようで言葉が間延びしている。まあ、どうでもいいが。
改めてミネルを見る。
わかりやすく言うと細い女だった。
長い髪をポニーテールでまとめて後ろに流している。そして、髪の下にあるのはたれ目がちの大きな双眸と細い鼻梁。黒いベストの下はつつしまやかな体躯なようだがそれはどうでもいい。
「十夜さんは好きな人はいますか?」
あ、これは聞いちゃいけなかったですかねー。
いきなり空気が重くなりました。いえ、重いって言うか恐怖を感じてしまいました。これ以上はダメですね。
「ごめんなさい」
「かまわねぇよ」
許されちゃいました。
正直、なきそうになるくらい怖い気配でしたけどね。
でも、私はめげません。
だって、目の前に好きになっちゃった男性がいるんですからね?!
食料調達は大体終わった。
基本的には俺が支持して色々採取してもらったがそれだけだ。
色々くだらない話はしたがあまり記憶に無い。だって、魔族の結婚観とか知らんし。
ミネルとレイファはいい。だが、他の三人の名前がわからん。でもまあ、いいか。
「食え。不味くても知らん」
干し肉と菜っ葉のスープと乾パンだ。葉っぱは名前が覚えださないが解熱効果と殺菌作用があった気がする。プラス味に奥深さを出すから活用していた。単体で使うと苦いけどな。とはいえうまく作れたようだ。食っている連中は一心不乱だ。
滅茶苦茶うまかったです。
こんなおいしいものなかなか食べれませんからね?
魔族って食が雑ですし。
生物として強いので鮮度が悪いものとか平気で食べますから。でも、おいしくないものはおいしくないのですー。だから、十夜の食事には感動しました。
本当においしかった。
他の仲間は認めてくれなかったけど食事は人を幸せにしますね。
そして、魔族の集落に近づいていきます。
それは別れに繋がります。
「十夜」
私は言います。
「このまま来てください」
集落と街道の境目です。
このまま私と一緒に来て欲しいのですー。
それが私望みだから。
でも、空から声が来ました。
『ダメ。君達が死ぬのはストーリーなんだからね?』
俺が巻き戻したい。そう思う時間はいつだって戻らない。
怨嗟だけ続く地獄が繰り返されるだけだ。
だから、俺が振り返ったその瞬間、それまで生きていたはずの魔族たちが死んでいた。
それまで会話だってしていたのに、彼女らは死亡という結末を突きつけられていた。
カイル村の時と同じだ。
俺が助けたのかもしれない。
だが、彼女らが死亡するのはストーリー上規定事項だったのだ。
だから、本来彼女らが死亡する時間になったから、ミネルは死んだ。
俺の目の前で首が落ちて、それが半ばから欠けた。
無残な死体だった。
他の四人すら同じだった。
こいつらは死ぬべく死んだ。
そしても、また、女の首が俺の目の前に並んだ。
頭半分をなくして脳漿を垂らす無残な頭が・・・
[嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ]
なんでだ。
なんで同じことを繰り返す。
俺はこれを繰り返したくないから戦ったのに。
でも繰り返した。
俺の力が足りないのか?
どうしたらいいんだよ?
いっそ殺してくれ。
そうすれば楽になれる。
なのに世界は俺に地獄を見続けさせる。
もう一回立ち上がる。
そして、周りを見回す。
そうじゃねぇ。
俺もこいつらも悪くない。この世界のルールを作った奴がおかしいんだ。
それを否定できるのは誰か?
俺だけだよな。
でも、俺はあいつらの遺体を集めたよ。
名前すら知らない奴もいた。聞いとけば良かったのか悪かったのか。
いや、誰も悪くなかった。
それが全てだ。
あいつが悪い。
シルファント・キマイラブレイン。
あいつを終わらせればいい。
俺はその選択を選んだ。
だから、悩む必要も喉を鳴らす必要も無い。
だが、
この気持ちだけは絶対に忘れない。
いつかノシつけて叩きつけてやる。
死ぬ運命だったかもしれない。
地獄を見る運命だったかもしれない。
だが、俺は少しの時間とはいえ過ごしたんだよ。
その上で俺とこいつらの感情を叩きつけてやる。
そして、俺はあいつを殺す。
それが、俺の出来るあいつらに対する復讐だ。
生き延びたのに死ぬ運命を課したあのクソ野郎に対する復讐だ。
カイル村も同じだろう。
俺はあのクソ野郎に叩き付けたい気持ちがどんどん高まっていく。
でも、これは恋にも似てるのかもな。
今すぐにでも俺の気持ちを叩き付けたい。
さて、気持ちを落ち着けさせることが出来たら戻るかね。




