表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/143

NPC75

 振るう。叩きつぶす。切り裂く。

 それだけだ。

 非常に楽しい。

 この思考が狂っているのは自覚している。

 だが、心が高揚するのは否定できない。

 そう思いながら俺は刃を地面に下ろした。

 なぜなら魔物を殺し尽くしたからだ。

「おい、リーダーは誰だ?」

 問題はここからだ。

「わ、私だ」

 俺はデスサイズを担ぎながらそいつの前に行く。

「俺は吹雪 十夜だ。人族のろくでなしだ」

 こんな自己紹介はどうかと思うが仕方ない。これ以上の物言いが出来ない。

「私は魔族の国、ヘイムダル国所属のレイファ・スクミラダと申します」

 いや、別に敬語じゃなくていいんだけど。

「何人生き残った?」

 見回せば無残な死体と破壊し尽くされた馬車しかない。

「五人ですね」

「最初の人数は?」

「・・・二十人です」

 随分と殺されたな。

 まあ、俺にはまったく関係ないが。

「テメェ等これからどうすんだ?」

「無念ですが帰国します」

 無念の理由は聞かない。聞いたら面倒なことになりそうだしな。

「吹雪殿といったか?」

 そうだが、なんか面倒な勢いになりそうだな。

「貴殿は強い」

 テメェ等よりはな。

 そう言いながら馬車の食物や生活用品を引き抜いていく。なんせ、こいつら呆然としていて動かないからな。唯一ポニーテールの女が手伝ったくらいか。

「ありがとよ」

「礼を言うのはこちらのほうです」

 そうかよ。

 そう呟いてリーダーの前に道具と食料を放る。

「さっさと動け」

 このまますわっているなら俺は去るだけだ。それ以上何も出来ないしな。だが、こいつが何かを望むなら、もらったデスサイズの分は何かをしようと思っただけだ。まあ、勝手にもらって消えてもいいんだけどな。

 とはいえ、選択肢くらい必要だろう。特にこいつは頭が真っ白になっているようだ。指針くらいはくれてやっても良い。

「おい」

 俺はもう一度声をかける。

「あの? 私は魔族で貴殿は人族ですよね?」

「それがどうした?」

 なに当たり前のことを聞いてやがる。

「我々は争っているはずなのですが?」

「知ったことかよ。つーか、テメェが俺に敵対してるのか? 違うだろ」

 そんな言葉に目の前の女は唖然としている。

 なんでだ?

 クソ、面倒だな。

「おい、レイファ」

「な、なんですか?」

 俺は苛立ち混じりに生き残りを集める。

「テメェ等は国に帰りたいんだな?」

「はい」

 生き残ったのは全員女だった。

 たまたまなのかなんなのかは知らないがそういうことだった。

 ちなみに馬車は無い。いや、あるにはあるが馬が死んで使えない。つまりは徒歩での移動だ。

 それ自体はいいんだが、魔族の集落までどれだけかかるかって話だ。

「馬車で三日ですね」

 歩いて一週間以上じゃねぇか!

 見捨ててやろうかとすら思った。

 だが、ここで見捨てると確実にこいつらは死ぬらしい。魔物に襲われてな。

 だったら、もっといい戦力もってこいといいたいがそういうことをいえる環境でもなかったようだ。

 まあ、自業自得でしかないが。


 とりあえず同行することにした。

 俺が戦闘訓練詰みたいって言う希望あったしな。

 初日から戦闘はあった。

 ゴブリンの群れに襲われた。

 俺が殺しつくした。

 それだけだった。


「テメェ等、誰一人料理できないだと?」

 またこのパターンだ。

 干し肉かじるだけで一週間過ごせと?

 確実に栄養失調になるだろうが。

 ・・・いや、生きることは可能だろうが色々と問題はでるだろうな。

「貴殿は料理が出来るのか?」

「テメェ等よりは出来るだろうな」

 とりあえずは葉っぱ類とってこねぇとな。

 肉だけだと人間は長生きできねぇし魔族もそれは同じだろ。

「とりあえず食料を調達してくる。魔族は食えないものとかあるか?」

「魔物の肉以外は何でも食べれます。でも、森には毒になってしまう植物があって・・・」

「なら、テメェは付いて来い」

「え?!」

「おい、レイファ構わないよな?」

 そんな言葉に魔族たちは動揺している。

「と、十夜殿はミネルのような女が好みなのですか?」

 ポニーテールはミネルというのか。

 つーか、こんな状況で好みとかねーから。


 俺はミネルと歩いていた。

 俺は適当に山菜を詰んでいるが隣のミネルはガチガチに緊張しているようだった。

 まあ、知らん男とましてや別種族の男と歩いていりゃ緊張位するだろうな。

 とはいえ、会話すらないのはどうしたもんか。俺自身はまったく構わないんだが、魔族の国まで送り届けるのだとしたら多少のコミュニケーションくらいは必要だろう。

「おい」

「ひゃい!」

 俺、なにを間違えたんだろうか?

「なんでそんな緊張している?」

「そ、それは・・・」

 そこから先は言葉にならない。まあいいけどな。

「俺は俺のために行動している。テメェ等が気にする必要なんて無いんだぞ」

 これに関しては本心だ。

 俺は俺の目的のためだけに動いている。それ以上でも以下でもない。

 だが、こいつらがそれをどう受け入れるかは別問題だ。場合によっては即座に離れるべきだろう。俺はあくまで俺であり魔族じゃないからな。


 私は・・・ミネルは思います。

 一目ぼれでした。

 びっくりしました。

 私は魔族です。人間と戦争している民族です。

 なのに、人間を好きになってしまいました。

 間違っているとは思います。でも、好きになっちゃったんですよ!

 だって、オーガに殺されそうになって色々諦めようとしました。

 お父さん達への仕送りとか、恋人未満の人への手紙とか。

 でも、全部吹っ飛びました。

 彼は私の武器を奪い取りました。

 あんまり役に立てない大鎌を笑みを浮かべながら奪い取りました。

 その時は怖かったです。

 なんで笑っているのかとか、なんでそんな殺せるのかとか。

 でも、彼は私達を救ってくれました。

 髪が白いから同族と思ったけど人族でした。

 でも、そんなことは関係ないのです。

 私は彼に恋をしてしまいました。圧倒的な強さ? さりげない気遣い? 全ては後付です。私が恋をしたという結果は変りません。

 そして、今は彼と一緒に森を歩いています。

 食料になるものを探しています。

 でも、残念ながら私にそういうスキルはありませんでした。

 十夜の言うままに様々な葉っぱを千切りながら道具袋に入れていきます。

「おい」

「ひゃい!」

 色々と失敗しました。

「俺は俺のために行動している。テメェ等が気にする必要なんて無いんだぞ」

 お腹が減っているという意味でしょうか?

 ともあれ食材採取は頑張ります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ