NPC56
夜になった。
言うまでもないことだが食事をしないと生物は死ぬ
だから、そんな提案をしたところ、全員揃って顔を背けやがった。
いや、リーザと真白は知っていたが、レヴィーまでかよ。
「教えてもらう機会が無かったのよ」
そんな言い訳はどうでも良かった。
とはいえ材料は揃っていた。
干し肉と干し野菜があった。後は各種香辛料と調味料か。後は持ちの良い芋があったので作るのはなんちゃってポトフだ。
干し肉と野菜を水で戻し芋と一緒に煮て塩と黒コショウで味付け。多少煮込んだところで慣性だ。ベーコンやソーセージがあれば味に深みが出るが無いものねだりは出来ないな。
「おいしい!」
「すごいです」
「才能あるわ」
褒められるのは悪くない。
とはいえ、一人くらい料理技能覚えろよ!
腹が満ちた後は寝るだけだ。
女三人の馬車は女に譲るとして、俺は外に出た上でロングコートを身体に巻き付けなおす。
あいつらは一緒に寝ても良いといっていたが俺がごめんだ。
何というか落ち着けない。なおかつ狭いしな。
そう思った直後奴は来た。
「二人は寝てるわよ」
「別に気にしてねぇよ」
とはいえ、いくつか聞きたいことがあった。
「テメェの目的はなんだ?」
出会いは偶然としても、そこから先が納得いかない。
俺を助けるまでは良い。だが、なんで同行なんだ?
こいつは魔王で同行者は勇者だぞ? 殺し合う相手に同行してどうしたいのか? そして、こいつは真白を殺す気が無い様だ。
だが、真白は元の世界に戻るために魔王と戦う必要があるらしい。
まあ、それがどこまで真実かは知らないが。
「興味があっただけなのよね」
まさかの答えだ。
「私と真白ちゃんは最終的に殺しあうわ」
その言葉に俺は何も言わない。というか、何も言えない。
「どんなに仲良くしても、どんなに助け合ってもお互いの役割は変えられないの。真白ちゃんが元の世界に戻りたいなら私達が向かう先は殺し合いの一択」
なら、なんで同行してんだよ。
「私が諦めるためでもあるわね」
なんでだよ。
「言えないのよねこれ」
疑問が増えるだけだ。
この場でこいつを殺しても解決しない問題のようだ。
「私には誓約と契約がある。だから、言える事と言えないことがある」
だから、二人が寝るのを待ったんだろうな。
「そして、私はこの話を誰かに聞かれたら死ぬわ」
魔王なのに不便だな。
「そういうものなの」
隣に腰掛けるレヴィーが寂しそうに笑う。
「全てを教えてあげたいのだけれどそうも行かないの」
「お互いに色々あるようだな」
「むしろ、真白ちゃんの立場の方が懐かしいわ」
どういうことだ?
「ごめんなさい、言えないわ」
都合の良い情報隠蔽だ。
とはいえ、多少は予測できるな。
シルファのクソ野郎が何をしたいかは理解できないが、何をしているのかは理解できてきたようだ。
イコール、結論。
あいつは俺が殺す。




