NPC55
「さて、これからどうしたもんか」
そう呟いたところでリーザが俺の顔をまじまじと見ている。
どうした?
「十夜、髪の色が変っています?」
どういうことだ?
「リーザちゃんの言う通りよ。十夜君の髪の色が真っ白になってるのよ」
俺の頭がテメェみたいになってる? 馬鹿にするのもいい加減にしろよ?!
「え?! ここ、あたしが怒って良い場面だよね?」
半眼の真白をシカトして指で掴んだ毛先を視界に入れれば確かに金色の髪は、完全に色素を無くした白髪になっていた。
俺の髪は何回クラスチェンジするんだよ。まあ、果てしなくどうでもいいから放置だ。
「あなたの感じた苦痛がそれだけ凄まじかったってことでしょうね。普通の人間なら魂くらい砕きかねない苦痛だったでしょうし」
そんなもん移植すんじゃねぇ!
まあ、つっても今は大丈夫だし儲けもんだと納得する。
ただし、
「なんで肌の色が褐色なんだ?」
使った腕の素材といわれれば納得するしかないが、いまや俺の右腕は型の手前まで皮膚の色を変えていた。だが、使い勝手や感触は今まで脳でとなんら変わりない。いや、基礎腕力握力は上がっているかもしれない。握り締めた拳の圧力が今までと違う。
「魔族の腕を移植したからでしょうね。ちなみに、気を許すと人間の肉体を侵食してあなたを支配するから気をつけて頂戴ね」
どう気をつけろと?!
・・・まあ良い、髪も腕も色が変っただけだ。2Pカラーになったと思えば良い。
「十夜君、なんかあたしの世界の知識が駄々漏れだよ?」
クソ、頭の中までグチャグチャかよ。
「ところでレヴィー、テメェはどこに向かっていたんだ?」
そんな質問に、
「私はどこでもいいのだけれどね。少なくとも退屈しない場所を探していた。そうして、たまたまあなた達を見つけた。そういうことよ」
暇人め。
「とはいっても、私のような褐色の肌の種族は法国には入れないし、帝国か王国といったところかしら」
少なくともあの化け物のいる王国に行くのだけは嫌だな。
当然、俺達がこの女と行動を共にする必要もないわけで。
「でも、このまま直線で進むと魔物の巣があるわ。それを越えても魔族の集落ね。どちらも人間に痛い目を受けているから襲ってくるわよ?」
面倒臭ぇな。
つーか、どっちかが負の連鎖断ち切れよ。
「そんな簡単な問題なら人間と魔族も和解しているわ」
「まあ、そうだよねぇ」
とは真白。
「こうやって助けてもらったこともあるし、あたしも魔族や魔物を一方的に殺していいものだと思えなくなったもん」
いや、俺は襲われたらきっちり殺すぞ?
「自分の発言に責任持ってよ! 断ち切ろうよ?!」
俺以外の連中に期待することにした。
まあ、なんにせよ、このまま進むのは不味いらしい。
なら、このまま道を戻って帝国を目指すべきだろう。
戻って、あの化け物が待ち構えていたらレヴィーを使って魔物の村まで逃げ込めば良いしな。
「何か黒いことを考えていないかしら?」
「気のせいだ」
それより、レヴィーはどうするつもりなのだろうか? 道が別れるにしろ聞いて置いたほうがいいだろう。
「そうね。あなた達は面白そうだから付いていくことにしようかしら?」
おい魔王。
「あなたにも興味が出てきたしね」
「なっ・・・」
刹那、周囲の空気が氷点下に落ちたような錯覚に襲われた。
え? 俺何も言ってないぞ?
だが、後ろに控えていた原因? 元凶? が静かに口を開く。
「恩人だからといっていつまでも調子に乗っていいものではないのですよ?」
氷点下というか絶対零度だ。
というか俺は何も悪くないのになんで俺は背後の絶対零度と目の前の魔王に挟まれながら恐怖を感じなければならないんだ?
理不尽すぎる!
「あら? リーザさんは奴隷なのでしょう? 奴隷なら分際をわきまえたら?」
クスクスと笑うレヴィー。
つーか煽るんじゃねぇ!
絶対零度に殺気が加わったじゃねぇか!
場合によっては全力で逃げるからな! 責任取れよ!




