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NPC46

 一合打ち合って理解する。

「化け物が」

 一撃が重いくせして隙がない。なんつーか力任せの剣術じゃなかった。これだけ筋肉の塊だったら力に流されそうなもんだが都合良くそうはなってくれなかった。

 なおかつ、俺の武器が問題だ。小回りが利かない上に刃が外に向いていない。

 長柄の武器だからこそ、刃以外も武器にはなるが攻撃にすら移れない時点で詰んでいる。

 死ぬかもしれないことに対してはそこまで恐怖はない。何度も死んでいるというのもあるが、それ以上に、こんな化け物を相手にして生き残れる自身がないからだ。

 とはいえ、ここで俺が死ぬと真白が死ぬまで生き返られない。そして、リーザの記憶がリセットされるということだ。たった数日とはいえ関係を持っているのだ。それを今更リセットされるのは気持ちの上で納得行かない。

「真白も死なせないで俺も死なないか」

 いや、無理ゲーだろ?

 リーザたちの姿が見えなくなったから本格的に逃走しようとし始めたが、そんな隙もないし手段もなかった。このままだと俺が削りきられて終わる。

 大剣を受け止める腕はしびれ以上の痛みを覚えていたし、受け止める大鎌は峰の部分が変形し、今にも砕けんばかりだ。というか、後何合か受ければ確実に砕ける。

 だが、それゆえに、いくつかの作戦はある。

「このまま終わるのか?!」

「終わるつもりはねぇよ」

 次の瞬間、手の中の大鎌は甲高い音を立てて砕け散る。

「残念だったな」

「ああ・・・」

 大鎌を砕いた大剣はそのまま俺の身体に食い込んで、

「狙い通りだよ」

 地面を叩いた。

「なっ!」

 グランの動揺よりも先に、俺は奴の背後に回りこむ。大鎌というデッドウェイトがなくなったからこその高速移動だ。そして、鎧に包まれながらも、急所を晒した背中に狙いをつけた。

 左の爪先を内側に巻き込んで放つ拳打。

 肝臓を打ち抜くブローに返す右フック。装甲の薄い上から打撃したとはいえ鈍い感触。そして、回避や反撃が来る前に、慣性を乗せた後ろ回し蹴りがグランの側頭部を打ち抜いた。


「まともな人間ならこれで死んでる」


 だが、こいつはまともじゃない。だから、俺は手を緩められない。

 とはいえまともな方法じゃ立ち向かえない。こいつの中にある型どおりの戦闘法では確実に対処されてしまうからこそ、予想外の方法が必要となる。

 だから、正面から向き合い、俺は渾身の右拳突きを放った。

「うぉぉおおぉぉぉーーーーーー!」

 らしくもない気合の声を上げながら、俺の打撃はグランのみぞおちに突き刺さり、

「急に雑になったな」

 何かが宙を待っている。

 黒い何かがヒュンヒュンと音を立てながら回転している。

 だが、それが何か理解するよりも先に、右腕に生まれた灼熱感に絶叫する。


 宙に舞っていた物。

 それは、俺の右腕だった。


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