NPC38
「これ、コンソメスープみたいな味ね」
知らんし。
「個人的には醤油を入れたいけどね」
「知らねぇよそんなもの」
言いながらリーザに視線を移せば、意外なことに予想外の勢いでスープと黒パンをほおばっていた。
「そんな急がなくてもおかわりはあるぞ?」
「はい。ですが、あまりにもおいしくって」
そう言われて作った人間は嫌な気なんてしないものだ。むしろ、リーザのスープがなくなるのを見計らってお代わりを用意してやった。
俺も硬い黒パンをスープに浸し、柔らかくなった部分を口にほおばる。そして、スープ自体を飲んで喉の奥に流し込む。干し肉の塩味が良い塩梅だ。
「十夜は料理がうまいのですね」
「いや、そんなことは無いと思うが」
そういう俺に対してリーザは淡く笑う。
「こんなにおいしいものを食べたのは久しぶりです」
「大げさだ」
「え? でもこっちの料理って味薄いの多いからあたしもおいしいよ?」
それはそうだろう。調味料なんて基本嗜好品だ。とはいえ、さすがに塩くらいは流通している。香辛料なんて年に何回使うというレベルだが、味の無い食べ物なんてなかなか無いはずなんだが。
「んー、なんていうか使い方よね。王都で食べた料理は以上に塩辛かったり薄味すぎたりで」
「私達は最低限の栄養しか与えられませんでしたからね」
どっちも極端だな。
とはいえ、今回調理した食材と素材が良かったのだろう。喜んでもらえたならそれはそれで良かった。もっとも、今後の味は保障できないが。
「今後の調理担当が決まったわね」
言っとくが調理はともかく各自に役割も足せるからな」
翌日、真白に料理させたら鍋が溶けた。
ひたすら謝るあの女を見下ろしながら、俺は小さく溜息をつきつつ自分の役割を理解した。




