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NPC32

 とりあえず場所を移して森の木陰に入る。

 あたしは疲れていたので樹の幹に背を預けた。

 一方、吹雪 十夜は立ったまま。大鎌も背中に刺したままだ。言うまでもなく警戒しているのだろう。

「改めてこんにちは。あたしは紅 真白。あなたの名前は知ってるけど、隣の女の子は誰?」

 小柄で非常に愛らしい少女だった。吹雪 十夜のすぐ傍に立ち探るような視線をこちらに向けてくる。来ているのは巻頭衣のような簡素なものだけど、衣装以上にきらびやかな髪だけ見るならお姫様そのものだ。・・・と良く見ると、巻頭衣の裾から白銀の何かが伸びていた。

「昨日奴隷商人を皆殺しにしたら付いて来た。名前はリーザだ」

 あまりにも雑な説明だった。

 というか皆殺しって・・・

「つーか、そんなことはどうでもいい」

 いや、良くないんだけど?


「俺とテメェは繰り返しているのに記憶は失っていない。そう思っていいんだな?」

 少ししか会話はしてないがあたしと吹雪 十夜はお互い覚えていた。本来ならループした時点であたし以外の全てがリセットされるはずだったのに。

 その話の中で吹雪 十夜はあたしのことを主人公と呼び、シルファント・キマイラブレインという何かに運命を捻じ曲げられたのだと言った。空から落ちてくる声とはそれのことであり、あたしも似たような経験があったけど相手は違うようだった。証拠はないけどね。

「今回わかったのは俺が死ぬとループするんじゃなく、テメェが死ぬと世界自体が巻き戻るって事だ」

「何でそう思うの?」

「テメェは前回死んだ時、問答無用で巻き戻ったからだ。そして、すぐに意識が戻った。俺が先に死んだ場合は待機時間があった。つまり、テメェが死ぬまで俺は生き返れない」

 ということは、吹雪 十夜が先に死んだ場合はあたしが死なないと死に続けたままになるってことか。

「ねえ、吹雪 十夜、あなたは召喚されたり転生したわけじゃないんでしょ?」

「ああ、テメェの言うニホンとやらも知らないし、生まれ変わった記憶もねぇな」

 じゃあ、なんでそんな厨二病患ったような名前をしているんだろう。

「知らねぇよ。大体俺はNPCとかいう役割決められた人形だったんだぞ? 現に俺は村を救ったが、時系列上滅びなければならないっていう結果で村が滅んだ。本来なら俺だって死体になってなきゃおかしいんだよ」

 あたしが繰り返すたびに殺されることを運命付けられた存在たち。

 別にあたしが悪いわけじゃない。だけど、なぜか気分が落ち込んだ。

「だけど、時系列なんて難しい言葉知ってるのね」

「なんつーか、時々自分でも知らない言葉を自然に使ってる時がある。まあ、気にならないわけじゃないが、考えても思いつかないなら無意味だ」

 とはいえお互いの関係は良くわかった。

 問題なのは、これからどうするべきなのかということだけど。

「吹雪君、もしくは十夜君と呼べばいい?」

「好きにしろ」

 果てしなくどうでもよさそうだ。

「で、これから十夜君たちはどうするの?」

 あたしは勇者だから・・・というよりも日本に帰りたいから魔王を倒すしかない。

 そして、十夜君は魔王に近づくことがシルファントという存在に近づけると思っているようなので、お互いの目的地は同じはずだった。

 とはいえ、どう考えても危険人物でしかない彼と行動を共にするのは少し躊躇ってしまう。しかも、男の人だし、

 そう思った時。

「俺は一人で行くからテメェはリーザを連れて行けよ」

「っ!」

 絶望に染まるリーザちゃん。っていうかそこまであたしが嫌なのか?

 とはいえ、その前にあたしは宝物庫を開いて、

「アイテムセット1・2」

 宙に浮かんだ剣の柄を握る。そして、

「女心知って来ぉぉーーーーい!」

 迷わず刃を振り下ろした。


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