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NPC31

「え?」

 予想外の言葉にあたしの動きが止まった。致命的なまでに。

 でも、黒衣の金髪は肩をすくめると大鎌を背に戻す。

「テメェは俺のことを知らないかも知れねぇが、俺は吹雪 十夜だ」

 いや、知ってるけど。

「つーか、いきなり斬りかかってくんじゃねぇよ」

 いや、初対面で斬りかかったの君だよ?

 そんな疑問をよそに彼は後ろ頭をかきながら近寄ってくる。

「あー、混乱してるかも知れねぇが話しが聞きたい」

 うん、君からそんな言葉が出るなんて大分予想外だよ。

「おい、聞いてるか?」

「というか怪我治療しなくていいの?」

 あたしが与えた傷だけど、背中の傷は縫合とかしないと不味い気がする。

「・・・ああ、そういやそうだな。つっても、なんも持ってねぇしな」

「十夜、治療しますよ?」

 知らない声が聞こえた。そう思った直後、吹雪 十夜の背後から白い髪の女の子が現れた。って、超可愛い!

 ちっちゃくって細くって白くってとにかく可愛い!

 あたしは思わず駆け寄ろうとして、

「動くな」

 真っ黒な殺意に踏みとどまった。

「動いたら手足を切り離す」

 さっきまでなかったどす黒い殺意があたしの体を押し留める。というか、さっきまで本気じゃなかったってことか。手足にまとわりつくような視線と気配にあたしは嘆息する。

「大丈夫。あたしは冷静だし話は何よ? スリーサイズは内緒よ」

「十夜、良いですか?」

 あたしの言葉を割って白い女の子が十夜の傍らに立つ。

 あれ、前は、こんな女の子いなかったわよね?

「後で良い」

 そう言われた白い髪の女の子が悲しそうな顔で一歩下がろうとしたところで、

「あんたふざけんじゃないわよ?! 折角アルビノ美少女が治療申し出てるのに拒否とかありえなくない? 人生はギャルゲーじゃないけど選択肢なんて無限に出るわけじゃないんだからね?!」

 なぜかあたしがキレていた。

 十夜はあたしの勢いに若干引いているようだったけど関係ない。

「あんたね、女の子連れてるんだったら少しは気遣いなさいよ! そのまま戦闘とかありえなくない? どいつもこいつもあんたみたいな化け物じゃないってことを知りなさい!」

 地面に叩きつけたブロードソードが折れたが関係ない。

 あたしは言いたいことをいう。

「話なんていくらでも聞いてあげるから今は怪我を治しなさい!」


 いや、怪我はお前に負わされたんだけど。

 そんなことすら言えない怒涛の勢いだった。

 言葉の攻撃・・・口撃と言えばいいのだろうか?

 とりあえず黙っといたがうるさい女だ。

 治療が終わった後もうるさいなら殺すのもありだが、生憎とこいつは強くなっているらしい。もしくは前回の邂逅時油断していたのかもしれない。

「終わりました」

 後ろからかかるリーザの声に俺は思考を目の前に戻す。

 と言っても、まずは背中の傷の確認だ。

 魔法すげーな。裂けた背中の皮膚がくっついている。どことなく引きつる感覚はあるが大して違和感はない。

「ありがとな」

 そういってリーザの頭を撫でると俯いてしまう。

 どうした?

「あんた女心って知ってる?」

「生まれた瞬間に忘れたらしいぜ?」

 銀光。

 なんでデスサイズで刃を受け止めるのかはわからんが苛烈な突っ込みはいらない。むしろ、刃を弾いて反撃しようとしたところで、リーザに袖を引かれて止まる。

「十夜、表面は直っていても奥まで直ってません」

 つまり治ったように見えてかさぶた程度ってことか。

 まあいい。傷口が塞がっただけで万々歳だ。


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