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NPC19


 ええ、旅に出ましたよ。前回よりも二週間も早く。

 前回と違うのは人数。

 実際魔物と戦ってみていざって時のフォローがないのは怖い。

 だけど、一人で戦うからこそ、ステータスに出てこない経験を積めたし、応用力も増えた。

 そして、思う。

「あの吹雪 十夜って人絶対ボスキャラだ」


 あたしは順当に強くなっていると思う。ステータスも上がってる。

 だけど、あの不吉な金髪黒尽くめに勝てる未来がイメージできない。

 そもそも、基本能力が段違いだ。

 あたしは彼の動きが見えなかった。気がついたら大鎌の刃が首元にあった。

 あの時、彼があたしを殺すつもりだったら一瞬で殺されていただろう。

 それは今も変らないと思う。


「戦いたくないなー」


 強くなっている実感はあるけど、追いつけるかと問われれば、多分否だ。

 そして、万が一ステータスが追いついたとしても、あの時彼の目に映っていた殺意のレベルは一線を隠すものだ。

 こんな世界にきたから誰かの殺意に身を震わせたこともある。だけど、彼の双眸の奥にくすぶるのは今までの比ではなかった。どす黒くなるまでにつめたコールタールみたいに粘ついた殺意。粘りつくだけでなくへばりつく、燃え上がるような殺気。正直、あの眼差しに晒されるだけで死ぬかと思ってしまった。

 あれがボスじゃなきゃ魔王なんて容易い存在じゃないだろうか?

 それほどの圧力だった。


「それとも、彼が魔王なのかな?」


 どの道会いたい相手じゃなかった。だからこそ、出発時期を変更したし、ルートも変えるつもりだった。とはいえ、あたしがルートを変えてしまうと、あたしが前回死んでしまった村が襲われてしまうから、どうしたものか・・・

 見捨てるという選択肢はない。

 なら、もっと先に進んで村に辿り着く前に盗賊と交戦して・・・うーん、無理だな。あたし、人を殺すなんてできそうにないし。

 まあ、戦国時代の生まれならともかく、あたしはれっきとした現代日本人だ。当然戦いなんて経験したことないし、経験していたとしても魔物と戦うのと人間と戦うのはまるで違う。

 魔物の命が軽いとは思わないけど、彼らは種族が違うからこそ、あたし達を殺しにかかってくるし、だからこそ、戦うことができる。


 でも、人を殺すことに対してためらいは捨てられない。

 だけど、このままだとまだ悲劇が繰り返されちゃう。

 どうすればいいのか?

 あたしは正解を考えながら街道を歩き続けた。答えなんかでないことを知りながら。




 出立の準備は整った。

 また、多少の時間はかかるが王都に向けて出発するつもりだ。

 正直、気は乗らないが、あの女が主人公の関係者で間違いないだろう。

 シルファの手下かどうかは知らないが、そこは身体に聞けばいい。

 人間に対しての尋問の仕方なんて知りはしないがなんとでもなるだろう。

 それこそ、先行して進んで盗賊どもの身体を使って学べば良い。


「我ながらクソ野郎だな」


 今の俺は殺人に対する忌避すらない。

 魔物を殺しすぎたからということもある。

 だけど、それ以上の憎しみが、殺意が、俺の中の良心を破壊尽くしていた。


 実際俺は惨殺した。

 盗賊とは言えど人間を殺戮した。

 命乞いも気にしなかった。

 思うが侭に大鎌を振るった。

 それだけで人は簡単に死んだ。


 まったく後悔しなかった。

 むしろ、爽快感すら感じた。

 われながら狂っていると思う。


だから、確かめるために進む。

 俺が狂っているのか間違っているのか知るために。


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