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NPC100

 逃げ惑う住人の姿が少なくなってきているように感じる。

 ついでに言うなら魔物の数も減ってきているようだ。

 つっても、以前、街の各所から黒煙は上がっているし、人の悲鳴や魔物の咆哮は聞こえている。とはいえ、その頻度が減っているようだ。

 それが意味するのは、

「避難が進んでいるのか悲鳴を上げられるような連中が減っているだけか」

 前者であって欲しいとは思うがそんなことは俺にはわからない。

 とはいえ、目の前から迫ってくる魔物の群れを見れば後者の可能性も高いか。

 道幅は三メートルくらい。そして、こちらに向かっているのは十を超えるゴブリンの群れだ。

「うざってぇんだよ」

 リーザ製の大鎌を前に構えれば、地面を蹴って突撃。

 足元の地面が弾けると同時に、両腕に衝撃。

 激突したのは大鎌の柄とゴブリンの集団だ。

 連中の胴体に食い込むようにしてめり込んだ鋼鉄は踏み込んだ速度のまま、連中の身体を吹き飛ばす。当然、後続のゴブリンとサンドイッチになって勢いを殺されるが、俺は僅かに開いた距離を利用してデスサイズを振りかぶる。

「消し飛べ」

 一閃。

 振り抜かれた刃は勢いのままに触れたものを上下に分断。遅れて血の雨が降るが俺はそれを避けようとはしない。生暖かいというよりも、熱い血潮を全身に浴びながら、生き残った魔物に刃と踵を振り下ろす。

 悲鳴なんて上がらない。上げる暇すらなく殺し尽くす。

「十夜君」

 不意にかかったことに振り返れば、

「真白か」

 なんだかんだ久しぶりに会うもんだが以外にそんな気持ちも薄かった。

 というか、この女いつの間に後ろに回りこんでやがった。

「無事だとは思っていたけどなんか色々あったみたいだね」

「俺はテメェが人間止めてるとは思って無かったよ」

「それ、どういう意味?」

 半眼の視線を肩をすくめて受け止めながら、周囲を見回す。

「とりあえず色々相談するべきことはあるんだろうが、まずは周囲の化け物を皆殺しにしてからだな」

「といってもここ広いよ。どこまでやればいいのか見当付かないし」

 それもまた正論なんだが、とりあえずはやれる範囲でやるだけだな。幸い、テメェやリーザはなんか知らんが化け物化しているし。

「十夜君ほどじゃないと思うけど」

 鏡見てから言え。と思ったが言ったら面倒なことになりそうなので、大人になりたい俺は口にしない。やはり半眼になった視線が痛かったが無視だ。

「それじゃあ、また後でね」

「ああ」

 言葉を交わした直後、真白はまた手足に白い光を生みながら駆け出していく。砕け散っていく地面といい、明らかにおかしいがあの女がおかしいのは前からだしな。時折、魔物っぽい何かが空に舞うのは気のせいだろう。

 俺は改めてデスサイズを肩に担ぎながら一番黒煙のあがっている方向に視線を向ける。

「行きたくねぇな」

 明らかな地獄だ。

 今まで以上の地獄が待っているだろう。

 とはいえ、行くべきなんだろうな。なんせ、真白はあっち向かってねぇし。つーか、あの女明らかに何も考えてねぇだろ。まあ、いいんだけどよ。

 リーザやあいつに地獄なんて見せたくねぇしな。

 地獄を見るのは俺だけで十分だ。

 レヴィーが抜けてる?

 当たり前だ。いまだに姿を見せない奴なんぞ、そんな扱いで十分だ。


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