098 救いの神を探せ
今日は入学式。。
ここで何か動きがなければ…
次回以降はほぼ絶望です。。
(´・ω・`)
「どうだ??スカウトできそうなのは居るか??」
「…わかんねぇよ。(´・ω・`)
ちゅうかターゲットが絞り切れてねぇ。。」
今日は入学式。
ここに出席する新入生は我が駅伝部にとっての
最後の部員候補者と言える。。
それでワシら駅伝部員は授業をサボって
救いの神を求めて入学式に潜り込んでるんや。
とはいえ天下茶屋高校は再来年に女子高になる。
つまり今年は男子は入ってこない予定。。
だからどんな新入生を狙うかというと
① 何かの手違いで入ってきた男子。
② 男子と戦える実力を持つ女子。
③ 女として入ってきた泉のような異形。。
やけど…
「とりあえず男子はおらんな…」
「そんなん…おるわけないやろう??」
「そうでもないかも。。
あそこにスラックスを履いたのがいるぞ。」
「…あれは女子の制服だよ。
ウチはスカートとズボンを選べるんだ。。」
「へぇ…そんなのあるんだな。。(・。・;)」
「まぁ転入したばかりの放出が知らんのは当然か。
在校生の女子は全員がスカートやから。。」
ちなみにだが…
天下茶屋高校の制服は地元では好評。
スラックスが選べるのもその理由の一つだが、
在校生にはそれを選んだ女子はいない。
なにせ青紺のブレザーとグレーのスカートが
どんな容姿にも似合うと言われてるから。
遥のように大柄で筋肉質な体型にも…
みなみのように女子力がほとんどないのにも…
泉のように…実は男でも似合う。。(-_-メ)
場末の天下茶屋高校がこれまでなんとか生徒を
確保できてたのは、この制服のおかげかも。。
…対して男子の制服は昔ながらの詰襟。
女子の制服が何度もリニューアルされたのに対し
男子は開校以来一度も変更されていない。。
これが男子生徒が減り続け…
女子高になってしまった理由の一つかも。。
「…たしかにここから見る限り、
黒い詰襟の制服は一人もいないようだな。」
「まぁ色で一目でわかるよ。。」
「とりあえず…①は消えたか。。
となると②に絞るしかないかな??」
「そうだな。さすがに③はないだろうし…」
『放出よ…そこまでウチは異形か??(-_-メ)』
「…そこまでは言わんがやはり可能性は低い。
それに仮にいたとしても…
だってMtFでは練習についてこれない。
佐野みたいな男前はまずいないよ。」
『…なんや放出に褒められたみたいやけど…
今一つ嬉しくないな。。(・.・;)』
たしかにそうやな。。
仮に泉みたいなMtFがいたとしても…
普通の男でさえ音を上げる駅伝部で通用する
MtFなんてそうはおらんと思う。
だってこの年でMtFとは…
競技者としての可能性は放棄した者。
親兄弟の当たり前の期待を慮らなかった者。
団体競技である駅伝部には適性が…
つまり③も望み薄。。(´・c・`)
「となると…②か。。」
「ああ。男子駅伝で戦えるレベルの女子。。」
「となると遥と同レベル以上だろうが
そんな女子がそうそういるとは思えんが…」
「…たしかに相当な陸上経験者しか…」
『そう思ってウチが新入生を調べたんや。
校長に頼んで…
中学で陸上部にいた者の資料を貰うてな。』
「おっ??それはええな。。」
みなみ…よう調べてくれたと思う。
けどあれだけいる新入生の中で、
陸上部にいた者はたったの6名らしい。
しかも長距離経験者はゼロ??(´゜д゜`)
そこそこ実績のあるのも一人だけいたが
砲丸投げでは話にならん。。
『…残念ですね。。(´・ω・`)
これだけの新入生いれば私と同等に
走れる子も一人くらいはいると…』
「いや…そう簡単ではないぞ。。
なにせ陸上部のない学校にくるんだ。
…阿倍野クラスの経験者なんて…
学校中探してもいないと思う。。」
『たしかに残念やな。。
これだけ女がいれば一人くらいは…
ウチより速いのもおったって…』
「…佐野よ、、
日本中探してもおらんわ!!(=゜ω゜)ノ」
やはり…そうやろうな。。
陸上部のない天下茶屋高校を選んだ新入生。
その中から駅伝に興味のある
男子と戦える女子選手なんかおらんわな。
…やっぱりこの七人で進むしかないんかな。。
だが覚悟していたこととはいえ…
最後のチャンスを逃したみたいで残念や。。
「…じゃぁここに居てもしゃぁないな。
早いとこ教室に戻ろ。。」
「…そうだな。。
俺たちだって授業があるんだし。。」
『…じゃぁ私は急ぎます。(´・ω・`)
やっぱり今日は特別な日ですから。』
「…だな。二年生には大事な日だろうから。」
…そうやったな。。(´・ω・`)
なにせ遥は駅伝部唯一の二年生部員。
現実的に部員を増やすとすれば二年生やし…
二年生からは選択授業がある。
クラス替えはなかったが、
そこで新たな人間関係も生まれるかも。
もう…そんな可能性にかけるしか
ないんやろうか。。
「だけど…なんか違和感だよな。。」
「…何が違和感なんや放出。」
「あの女子のスラックスの制服だよ。
俺の中学の時の制服にそっくりだからさ…
遠目には女子に見えなくて。。」
「…まぁそう言うなや。
どうせ新入生にも数人しかおらんやろ。。
これも時代の流れってヤツやって。」
…たしかに違和感はある。。
天下茶屋の制服はズボンとスカートは
選択できるとははいえ、
デザインはスカートを基調にされたモノ。
これにスラックスを合わせると
男物にしか見えへん。
というかこれでネクタイでも締めたら
普通のブレザーと変わらんから。。
…特に放出京喬と同じ中学の出身。
阿倍野遥にも違和感は強かったらしい。。
初めての選択授業が行われてる途中…
初めて顔合わせする生徒も多い中で
遥がコッソリ二年A組の教室に入って
一番後ろの席についてみると…
前の方に青紺にグレーのスラックスの
生徒が一人いる。。
そう考えたら①の可能性はあるのかな??
制服ではなくブレザーを着た男。。
遠目では男物にしか見えへん。
いや…男にしか見えへん。。
まぁ普通に考えればありえへんけど…
でも…あれは??
ブレザーとズボンの色は一緒やけど…
女子の制服とは何かが違う。。
いや…それ以上に体つきが違う。。
それ以前に肌の色が違う。。
こんな人…ウチの学校にいた??
『…何をしてるんですか?阿倍野さん。。』
『いえ先生…遅刻しちゃいまして…(;^∀^)』
『…ウソをおっしゃい。。
始業式をサボって入学式を覘いてたって
報告を受けていますよ。』
『…スイマセン。(´・ω・`)
だったら聞かなくていいのに。。(:_;)』
『それより…阿倍野さんが遅刻したせいで
紹介が遅れちゃったじゃないですか。。』
『…誰をですか??(´・ω・`)
たしかに別のクラスの人が集まってるけど
自己紹介なんてしないはずなのに…』
なのに彼は…
同じ授業を選択した仲間に紹介された。
でもなんで男子を受け入れない学校に??
けど…壇上で挨拶した彼は二年生。。
男子を受け入れないのは新入生からやから
二年生であればそれは可能。。
でもなぜ外国人??
なぜ今年から学校に転入??
けど…それは私立高校ではあり得る話。。
「ハジメマシテ。。
今年度カラ御世話ニナリマス…」
『う…ウソ。。(´゜д゜`)』
ありえないほどの僥倖…
駅伝部にとって救いの神になるかも
しれない彼はの名は…
キックス・オーキャット。
イギリスからの留学生。
アフリカ東部…ンマリア出身。
絶望だった駅伝部の新戦力候補は
アフリカ出身の留学生。
(´゜д゜`)
けど本当に引き込めるの??
ちなみに全く関係ない話ですが、
2016年現在の世界最速長距離選手は、
ソマリア出身のイギリス人です。
/('v')\




