092 アスリートの走り
阪神地区記録会…
次は副主将、赤阪の出場する
男子5000m三組目です。
「…こりゃ面白いことになってきた。」
面白がっているのは千林さんや。
新聞記者でもあり天下茶屋の活躍に
誰よりも期待しているこの人にすれば、
最高の形やろうけど…
ワシらの写真なんか撮んな!!(=゜ω゜)ノ
明日には好きなだけポーズとったる。。
けどそれより大事なのは次のレース。
赤坂の参加する5000m三組目や。
なにせ三組目ともなると阪神地区
実力校のエース級が名を連ねてくる。
とはいえ…ちょっと極端みたい。
そのことは天下茶屋のテントでも
気付かれているようで。。
「…しかし千林さん。。
この三組目はかなり強いですよ。」
「…そうだな。。
おそらく四組目と互角以上…」
「…なぜこんな極端なこと??
実力順に組み分したはずでしょ。。」
「…よくわからんが…
四組目は各校のホープばかりだ。
すでに実績のあるエース級の選手は
推薦を受けなかったのかも。。」
「…つまり先頭は15分20か30.
場合によってはもっとかも。。」
「ああ…だが…
放出にとっては全員格下だろう??」
「…でも今の俺にとっては…(;´・ω・)」
「…簡単には勝てない相手ばかりか…」
…つまりこういうことらしい。。
四組目や五組目に入るには各学校の
推薦が必要となる。
そして各校の推薦を受けるのは…
エースではなくホープ。。
せやから…
中堅高の三年生の主力級は
この三組目に集結することになる。
県立茜宮の主将…上甲。。
川栖縁台のエース…平野。。
閑学の花の一区…上原。。
市立尾崎のスポーツ推薦…立花。。
一軍を含む報緑の選手が五名。。
…相当にレベルは高い。。
トップは本当に15分そこそこで
行ってまうかもしれん。
つまり今の放出では苦戦しかねない
強豪相手はええんやけど…
…これはちょっとマズイ。。
なにせ赤阪の目標は15分50秒。
それ以上は厳しい。
なぜそんな中途半場??
っと思うかもしれんがそうでもない。
それには根拠があるから。。
長距離選手はペースを守りたい。
一周あたり…1000mあたり…
できれば100m単位で計算したい。
だからこそ端数は面倒。
1000mを3分ジャスト。
100mを18秒が一つの基準。
理系の赤阪でなくても、
この数字は相当にわかりやすい。
では次は…
100mを19秒ちょうどが基準。
つまり計算すれば分かる。
5000mに換算すれば15分50秒。。
おそらくこのくらいからが
高校生アスリートと言えるんやろう。
今日の赤阪はこれを守りたいけど、
そこはやはり相手があること。
どう対処しよう??(´・ω・`)
「今日は…ついていくつもりだよ。」
「…あんまり無理をすんな。。
ハイペースに潰されたらアカンぞ。」
「でも…泉にも言われてるから。
恐がったらアカン。。
後半のペースダウンは覚悟の上で、
前半は突っ込んでみるよ。」
「…ホンマに行けるか??(´・ω・`)
相手はみんな格上やのに…」
「…そう言うな。。(;'v')
ざっと見渡してこの中に…
都大路を走れそうなのがいるか??」
「…赤阪お前…
それは失礼すぎるやろう。。」
「…兵庫の現実を考えな。
播工や報緑のレギュラーのいない
この中の誰が都大路に??」
「…スポーツ界の事情に詳しいお前の
意見としてはわかるが…(´・ω・`)
だからお前は負けへんと??」
「…ああ。(; ・`v・´)
都大路に行けない選手には
ボクは敗けない…
いや…勝たなきゃならない。。」
「…言うなぁ。(・.・;)
けど…どうするんや??」
…後に聞いた話やけど…
赤阪の考えるアスリートとは
全国レベルで戦える選手…
個人で全国に行けない選手ならば
チームで行けなければ
アスリートとは言えない。。
…そういう考えらしい。
さらには浜寺が招集所に戻ってきた。
鮮烈な印象を残して…
だがレベルの高い三組目にあっても
浜寺に先行できる選手はおそらく
10人もおらん。
となると…
さらに警戒が強まる。。
とはいえもう声をかける余裕はない。
赤阪は招集されて…
三組目はスタートラインに…
「…おいおい…(´・ω・`)
俺がおらん間に何があった??」
「…まぁ…(・_・;)
半分は浜寺のせぇやけど…」
「…じゃぁ俺にできることは??」
「…なんもない…(-_-メ)
赤阪の無事を祈ったれや…」
<パン>
号砲一発…
ハイレベルの三組目はスタートした。
一週目は…72秒。。(;'∀')
二組目で独走した浜寺より速いのに
半分近い選手がついてきてる…
1000mは…3分03秒。(´゜д゜`)
独走した浜寺より5秒も速いのに、
先頭は10人以上の大集団…
なんや…極端やない??(;´・ω・)
『…そんな顔すんなや天保山。。』
「泉…お前…
小声の時はいつもの高い声やな…」
『…それはええんや。。(-_-;)
けど赤阪のヤツ…
いつもより積極的なレースやな。』
「…けど…速すぎへん??」
『…たしかに速いが…
今の赤阪の実力ならば中盤までは
先頭について行けるやろう。』
「…じゃぁその後は??(・.・;)」
『…どうせこの組…
中盤以降は上甲の独走やろう。。
その後は粘りの勝負になる…』
「…となると赤阪は??」
『……知らん。。(;´・ω・)
けど終盤に走りが萎えるヤツには
駅伝なんかでけへんで。。』
「…そうかなぁ…(・n・;)」
…でも…そうかもしれん。。
駅伝において何よりも大切なことは
勝つことよりも負けないこと。。
特にペースを崩されてからの粘りは
後続の順位に大きく影響する。
では…中盤以降はどうなる??
…そうこう考えているうちに
レースは中盤を過ぎた。
3000mを9分14秒。。
相変わらず15分20秒ほどのペース…
だが先頭集団8人の最後尾に…
赤阪はついてる。。(・.・;)
先頭は予想通りかつて泉の
ライバルであった県立茜宮の上甲。
続いて閑学に川栖縁台に市尾…
いずれも格上のアスリート。
この中に遜色なく赤阪のヤツは…
「…付けぇ!!赤阪ぁ!!(; ・`д・´)」
「…泉お前なぁ…
ようコロコロ声がを変えれるな…」
「…遅れんなぁ!顎ひけぇ…(;´・ω・)」
「…さすがにもうムリやと思うで…
また先頭は上がった…(´・ω・`)
これは15分10秒のペースや。。」
「……ここまでか…(´・ω・`)」
「そのようやな。。
まだ赤阪にアスリートの走りは…」
…ここにきて先頭が動いた。。
一人二人と脱落し…
泉の予想通り上甲の独走となった。
先頭は15分前半確実…
こうなると赤阪は…
と思ってたら…
「そら…拾えぇ!!(; ・`∀・´)
「…おいおい…マジかよ。。(・.・;)」
一度は八位にまで落ちていた赤阪が…
驚異的な粘りを見せた。。
上位集団がばらける中で
寸でのところでペースを落とさず
その走りを保ち続ける。。
脱落した選手たちを当然のように…
一人一人と拾い続ける。( ;∀;)
練習量の賜物…
簡単には口にできない言葉を
コイツは簡単に出させやがる。。
それだけの日常と結果を…
身を以て示しやがる。。
そして…
赤阪千早…
5000m第三組…三位。
…15分29秒。。
わずか半年で自己ベストを
4分以上も短縮した…
アスリートの走り。。
高校生で15分台前半…
努力なしには掴めない競技者の時計です。




