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090 男心と…恋心と。。

泉が後輩たちと話しているうちに、


女子3000mのレースは開始しています。。


「それよりいいんですか佐野主将。。

 あの娘も選手でしょ??」 

「…アイツは選手…やないけど…

 それがどないしたんや??」


「女子の3000mは始まってますよ。

 天下茶屋は共学だから、

 誰か出てるんじゃないですか??」

「…えっ??(;'∀')

 もうそんな時間なんか??」



 ったく…何やっとんねん。(; ・`д・´)


 3000mなら放出やワシでもわかるから

 泉抜きでも何とかはなるとはいえ…


 着替えに時間かけて…

 後輩に説教して…

 謎の女(?)の性癖まで晒して…


 もう遥は走り出すっちゅうのに。。


 

 …そう。

 すでに女子3000mは最終第三組。


 アキレス腱断裂からの復活にかける

 阿倍野遥は…

 実に二年半ぶりのレースに挑む。


 目標タイムは10分以内。

 一周平均80秒で走ることになる。


 とはいえ先日も書かれているが、

 この記録会は男子の長距離がメイン。


 女子3000mの参加選手は質量ともに

 決して高いとは言えないが…


 …それでも阪神地区の最終組。。


 おそらくレースは目標に近いタイムで

 ラップを刻むはずやが…



 泉がようやくトラックを見える位置に

 出た時に号砲一発…スタートした。


 一週目は76秒と順調。

 二周目も78秒とまずまず。。


 遥はケガの影響を感じさせることなく

 先頭集団のいい位置につける。


 このままなら…


 しかし三周目は81秒…

 四周目は82秒と落ちていく。。


 遥は先頭集団にはつけてるが、

 目標タイムの10分以内を果たすには

 一周平均で80秒でないとあかん。


 3000mはトラックを七周半。。

 このままでは序盤の貯金を食い潰す。


 けど…


「…どうすればええ放出。。

 このままでは目標タイムには…」

「…だが今はついていくしか…

 こんな特殊な風は滅多にないぞ。」


 そう…先頭には出れへんのや。。


 だって今の風は特殊中の特殊。

 風が舞って競技場全体が向かい風という

 そうは見られない状況。。


 こんな中で風除けになりやすい大柄な遥は

 先頭には出てはいけない。


 このままでは打つ手なし…

 と思ってたら…



「行っけぇ、阿倍野ぉ!!( ・`0・´)

 自分のレースをやったらんかい!!」

『…は…はいぃ!!(; ・`v・´)』



 泉の一括を受けた遥はスルスルと…

 その切欠を求めたかのように先頭に出た。。


 向かい風は委細構わず。。

 目標タイムに向けて一周80秒を作り始めた。


 …風除けにはなりたくないはずやのに…


 だがそれからわずかにペースを上げた遥は

 委細構わず先頭を風を切りながら走り、

 ペースをキープし続け…



 ラスト一周でスパートをかけられた時には

 足は残ってなかった。


 ついてもいけず…

 だがそのペースを落とすこともなく…



 順位は4位ながら…

 9分58秒で駆け抜けた。。(*'v'*)



『…やりました。。佐野先輩!!(* ・v・`*)』

「おう、ようやったな。(; ^`v^´)

 けど今のは勝てたレースやないか??」


『……いいんです。(´・v・`)

 だって今日は順位は関係ないって…

 佐野先輩が言ったんですよ。』

「そりゃそうやけど…(´・ω・`)」


『……それより…エイッ!(^ω^)』

「ちょ…ちょっと何すんねん!?(´゜д゜`)」



 遥は…泉に抱き付いた。。

 泉が逃げられないくらいに力一杯に。。

 

 せやけど普段は女子同士やから、

 遥には抵抗ないんかな?


 それとも他に理由が??(´・ω・`)


 けど一方で、

 泉の側には抵抗ありまくりで…

 周りの目もそうなるわけで…



「はは。(^v^)…モテますねぇ佐野主将。」

「羨ましいね。(^v^) よっ、色男!!」


「こら!島本に三島!!(´゜д゜`)

 誰が色男や!?

 ワシにはそんな疚しいところは…」


「もしかして…主将の彼女??」

「大きい彼女に小さな佐野主将って…

 …ノミのカップル??('ω')」 


「だ…誰がノミや!!(; ・`д・´)ノ

 チビやからいうてなめとんやな!!

 ワシは…お前らみたいな男やないんや!!」

「…そんな怒らんでも…(´・ω・`)」


「…ええからお前ら早よ去ね!!(; ・`0・´)

 あんまり言うなら…

 次に会うた時は潰したるからなぁ!!」

「……わかりましたよ。

 じゃぁ佐野主将…お幸せに。。(^v^」


「だ…誰がしあ…

 お前ら覚えとれよぉ!!( ;`д;´)」



 …こうして後輩たちは去ったけど…

 …遥は泉を離さないわけで…



「そ…それより阿倍野!!(´・n・`)

 はよ離れな誤解されるやないか。。

 その…男に抱き付いてどうすんや!?」

『……(´;ω;`)』


「…阿倍野??どうした??」

『…お願いします。。

 今だけ…もう少しだけ。。』


「…阿倍野…泣いてるの??(´・ω・`)」

『だって私はもう二度と…その…

 走れないって思ってたし。。(´;д;`)』


「…たし??(・.・;)」

『……なんでもありません。。(´;ω;`)

 けど本当にまた…こうして表舞台に…』



 …そうやったな。。

 ちょっと引っ掛かることもあるけど…


 今後の戦いのことばかり考えてたけど

 遥にとっては今日は復帰戦や。。


 アキレス腱を切って…

 陸上部にも入れてもらえず…


 男ばかりの駅伝部に入って、

 男と同じ練習をこなして…


 …故障前以上のタイムを叩きだした。。


 故障する前の中学二年生当時…

 ついに破れなかった3000mで10分の壁…

 女子の長距離選手にとっては、

 破れそうで破れない一つ目の高い壁。。


 加えて中学以降の女子の記録の伸びは

 男子とは異なる。。


 中学記録など簡単に突破する高校男子に対し

 女子で中学当時の記録を破るのは…



 けど…

 走れない悲しみを知るのは泉も同じ。


 先輩として…今は男として、

 泉は遥を抱き留めたかったのだが。。



「…こら…何か違うぞ阿倍野。。(´゜д゜ )」

『いいんです。。(*´v`*)

 どんな形でも佐野先輩とならば…』


「けど…なんか逆と違う??」

『いいから…えいっ!!(*^ω^*)』


「やっぱり…なんか違うぅ!!(;O;)」



 おいおい。。(´・ω・`)

 泉の方が抱かれとるやないか。。


 そりゃ体の大きさでも腕力でも

 遥の方が上ではあるけど…


 この場面は泉は…

 先輩として男気であるべきやのに。。



「もうええやろ…離せ!!(´゜д゜`)」

『ダァメ。。ギュっとしちゃう!!(^v^)』


『やめ…この…スケベ!!(´゜n゜`)』

『…なんで声色を戻すんです??(´・ω・`)

 その格好じゃ逆に不自然ですよ。。』


「でも…あの…その…( ゜n゜)

 とにかく戦闘モードに戻してくれぇ!!」

『イヤだ…こうなったら力尽く。(^v^)』


「…ム…ムギュ…(#´゜n゜`#)』

『この…スケベ野郎が。。(´^v^`)』



 …あらら。(´・ω・`)

 泉がまた乙女モードに戻ったやないか。


 けどもう少しで男子5000m…


 グダグダしてばかりの競技会やけど、

 それなりに結果は出てるんや。。



 そろそろ…気合入れよ!!(; ・`д・´)ノ




中学二年にして夢破れた阿倍野遥。。


その心根を誰より真摯に理解していた男は

主将であった放出京喬ではなく…


…そういうことやったのかもしれない。。


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