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079 それでも届かない。

千林旭さんがコーチに就任して二日目。

みんな…怯えてます。。


「なぁ…昨日の練習は何やったんやろう??」

「…さぁな。けどキツかったなぁ…

 足の筋肉がパンパンで…まだ腰がガタついてる。」


「俺もや…今日も同じ練習をするんかな??」

「いや、今日は来てないと思うよ。

 だって週に数回しか来れんって言ってたから。」

「そうやな…今日は楽できるかな??」


「こらぁ貴様ら!!とっとと準備せんかぁ!!」

「うわぁ!!もう来てはる!!/(´゜д゜`)/」



 声の主は…新聞記者の千林旭せんばやしあきらさん。

 今のところ【通りすがりの臨時コーチ】という肩書き。


 …とりあえず昨日から就任したんやけど…

 いきなり厳しい練習を課してみんなに警戒されてる。

 それに…どうも謎の多い人なんやな。



「よぅし。全員そろったな。」

「はい…」

「それではまず軽くアップに行って来い。」


「軽くってどれぐらい…」

「いつも通り3キロを9分だ。行って来い!!」

「…やっぱり…」


 …そりゃそうやわな。

 高校大学とトップレベルで過ごしたこの人にとって

 この程度は…当たり前のウオームアップや。



「さて、みんながアップに行ってる間に難波。」

『は…はい。』

「今日の練習メニューを確認する。手伝ってくれ。」

『…わかりました。。』


 …そういえばみなみもヤケに素直やな。

 昨日まではあんなに生意気で反抗的やったのに。


 やっぱりコーチとして尊敬してるんかな??

 素人とはまるで違うんやから…



 こうしてコーチを傍目で見ながらアップは終わった。

 ちなみにワシは最近、このアップをこなせてる。

 やはり…成長してるんやろう。


 他の連中も必死で遅れないようにと頑張ってる。

 いずれはこなせるようになるんやろう。


 いや…そうでないとアカンねや。



「ようし。では本日の練習メニューを発表する!!」

「…やっぱりキツイんかなぁ??」


「まずは放出!!」

「えっ、俺だけ書面で別メニューですか??」

「いいや。全員が個別に練習をこなしてもらう。」


「それにしてもすごく細かく指示してますけど…

 …まさかこの書面を全員分??」

「そうだ。全員に個別のメニューを作成した。

 昨日の練習で各自の課題は見せてもらったからな。」


「もしかして…そのために昨日??」

「ああ。今の実力と、後半の走りが見たかったんだ。

 長所と短所…伸びしろの程度もな。」



 …ホンマかいな??。


 昨日一日見ただけでそこまで分かるなんて。。

 そのためにあえてきつい練習を課して…


 …じゃぁ昨日の練習を短時間で切り上げたのは…


 この細かいメニューを書き上げるため??


 とはいえいくら新聞記者とはいえ、

 7人分もこの厚さの文書を作るなんて…


 …思った以上にすごいコーチかも。。

 みんなはメニューを見せあって感心してるし。。



「(能勢)凄い…マッサージのやり方まで…」

「(赤阪)あらら。ボクは自主練習まで書かれてるよ。。

 夜ではなく朝に走れってさ。。」


「(浜寺)はは。…俺なんか飯の食い方まで書かれとるわ。」

「(放出)それは浜寺には重要な課題だと思うぞ。

 俺と阿倍野はリハビリ込で作成されてるくらいだ。」

『(遥)そうですね。これならムリなくこなせそうです。』


『(泉)けどウチは11時までに寝ろって。これはちょっと…』

「(千林)だが睡眠は重要だぞ。特に佐野は通学時間が長い。

 その小さな身体には体力回復が一番の課題だ。。」


『(泉)けどその時間は毎晩レモンパックをしてるんやけど…』

「(千林)…そこは工夫してくれ。睡眠不足は美容にも大敵だ。

 肌荒れしたら…別嬪さんが台無しだぞ。」


『(泉)い…いややわ。…別嬪べっぴんさんって…

 そりゃ聞いたらなしゃぁないがな。ブハハハハハ。。』

「(一同)…(-_-メ)。。」


 ……まぁええわ。

 泉のコレ…ええ加減ツッコむのも飽きた。


 けど千林はん。練習メニューを書くだけでなく、

 皆を説得する話芸にも長けとるらしい。


 もしかしたら本当に都大路にいけるかも。。

 その可能性について練習後に聞いてみたんやけど…


 

「そうだな。たしかに皆よくやってるとは思うよ。」

「なら…ワシら都大路に届くんでっか??」


「それを考えて実は…シミレートしてみたんだ。。」

「これは…全員の予想タイムでっか??」


「ああ。ボクの思い通りにいった場合の想定タイムだ。」



 …千林さんは想定していた。。

 そのオーダーは奇しくも泉の提案とまったく同じ。。


 おそらくこれがベストの並べ方なんやろう。。

 それでその場合のワシらの総合タイムは…


 …2時間11分30秒。。


 これは昨年の府大会の優勝タイムに…あと一歩や。。



「凄い。もしかしてこれなら…」

「ああ。。たしかに悪くないとは思うけど…」


「歯切れが悪いでんなぁ…例年なら優勝を狙えるのに。」

「だが…これではとても届かない。。」


「なんででっか??だって去年の優勝とほぼ同じ…」

「…理由は…大きく二つある。。」



 …えっ、二つもあるの??

 やっぱり都大路にはこれでは足らんのやろうか??


 それともやっぱり…

 ワシらに勝ち運がないせいやろうか??




優勝を狙えるのタイムが出せるはず。。

なのに…なぜ届かない??

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