071 チョコレートがいっぱい
2月14日のチョコレートの日。。
昇は生まれて初めてチョコを貰いました。。
『ほれ…これはウチから…』
「おっ、泉もくれるんか??」
「けどお前は渡すより貰った数の方が多いんやろ??
その紙袋に何個はいってるんや??」
『…うるさい!!(=`゜n゜´)ノ
いらんねやったらやらへんど!!』
「いえいえ…頂けるモノは頂きますよ。(^^;」
…次にチョコを配りはじめたのは泉や。
…コイツは外見はともかく…
男からもらうってのは微妙やけど…
コイツの場合…数には入れてええやろう。
…これで二個目や。(^^♪
『…あとこれは放出に。…受け取れや…』
「おお…俺のだけ特別に大きいな。
だがまさか佐野からチョコを貰う日が来るとは…」
『せやな。けどこれ…ただのお菓子とちゃうで…』
「…おいおい。本命だったら受け取らんぞ。」
『そんなわけあるかぁ!!(´゜д゜`)
これは…サプリメントなんや!!』
「…あ…ありがとうな。。
お前にそんな気を使わせるって…」
『ええから…黙って受け取れ。。(・.・;)』
…そういえばよく見ると粒が二種類に分かれてる。
小さいのが何粒も…何か意味があるの??
『これは…練習前用と練習後用。
前用には即効性の糖質とプロテインを多めに…
後用には疲労回復用の栄養素を独自に調合しとる。』
「マジか??お前、栄養士か??」
『放出のには良質アミノ酸とコンドロイチンを加えた。
その膝を…少しはマシにしてもらわんとな。』
「佐野…そこまで考えてくれてるんか??」
『…か…勘違いすんなよ!!(=`ω´)ノ
それはその…ワレが弱いとつまらんからや!!』
「…なにも勘違いはしてないけど。。」
「…じゃぁこれは薬なんやな。。
そんなら味は期待でけんかもって…うまっ!!」
「メチャクチャ美味いぞ!!これ…売りに出そうぜ!!」
『あかんあかん。…採算が取れんよ。。』
「…そんな高級なの??」
『あと手間もかかるから。せやから一日一粒やで。』
「ふーん、じゃぁこっちは…」
『それは練習後用や!!って考えて食えや!!』
泉って凄いんやな。。
…栄養士の資格こそないけれど…
よう勉強してて同等の知識があるらしいんや。
この小さな身体で故障もなく一流選手でいられるんは
栄養と整体の豊富な知識ゆえらしい。
…しかも料理上手で普段から工夫してて…
…体のケアにも怠りがない。
一流の努力ってのはそういうもんなんかもしれん。
練習以外に何の努力してへんワシって恥ずかしいな。
…あと感謝せな。。
これって…本命より有難いかもしれん。。
…まぁどうあれ…今年は二個もらえた。
他の連中にはかなわんけどもう嫉妬はないよ。。
たしか今日は…バレンタインやったっけ。
…それに練習も今日は調子よく終われたんや。
普段より疲れもないみたい。
泉のチョコレートが効いたんやろうか…
けど一人だけ調子のよくないのもいる。
みなみは…何も用意してへんのやろうか??
『…お疲れ。今日はみんな頑張ったな…』
「どうしたんや??労いなんて珍しいやないか。」
『だからその…持って帰って…』
「おっ、もしかして難波の手作りか??」
『ちゃう!!…溶かして固めただけや…』
「それでいいじゃない。なんで怒ってんの??」
『ええから!!持ったら帰れ!!(=`n´)ノ』
「…なんでぇ???(*´Д`)」
結局、学校を出てもみなみはずっと不機嫌。
というか…さっきの態度はないと思う。。
…とりあえず理由を聞いてみると…
『だってウチは…他の二人に女子力で負けてるから…』
「他の二人って遥と…泉か??」
『そう。。遥は気配りできるし泉は料理上手やし…
ウチだけできの悪いチョコで…恥ずかしかったんや。』
「けどみなみは自分なりに頑張ったんやろ??」
『…自分なりなんて…コーチとしてあかんやろ。。
結果も出さんのに頑張ったって…選手に言えるか??』
「お前…チョコぐらいで大袈裟やぞ。。」
そうか…みなみは…
コーチとしての有り様を気にしてたんやな。
自分なりに頑張ったなんて…
たしかに駅伝でなら許されるセリフやない。
けど…こんなイベントでまで気にすることないのに…
あと…遥と泉に女子力でコンプレックスがあるみたい。
たしか以前も泉にルックスで負けてるって思って…
…そんなん気にせんでもええのにな。
みなみはけっこう可愛いんやし…
このチョコかて出来が悪いとは思わんけどな。
ただみなみの家に寄ってみると…
なぜか店は臨時休業??
オッちゃんはえらいことになってて…
「おい昇…このチョコ…貰ってくれ…」
「なんや??オッちゃんまでチョコをくれるんか??」
「…実は…みなみのヤツ昨日えらい失敗を繰り返しててな…
それで失敗作を…全部ワシにくれたんや…」
「…はぁ??(´゜д゜`)」
「…それでヒドイ胸焼けで…悪いが残り頼むわ…」
…あらら。これは凄い量や…。
みなみのヤツこんなに失敗するまで作り続けたんか。
…とはいえ…不器用すぎるやろう!?
これは女の意地なんやろうか??
それともコーチの気位なんやろうか??
どっちにしても…みなみは頑張ったと思うけど…
オッちゃんは頑張らんでええ!!(=゜ω゜)ノ
なんで胸焼けするまで食うとんねん!?
血のつながらん父娘のくせに…
こういう不器用なとこ…そっくりなんや。。
ただオッちゃんの不器用は姉譲り…
つまりワシのオカンとそっくりでもあるようで…
家に帰ってみると…
「…ただいまぁ」
『お帰り昇…ほれチョコやるよ。』
「なんやオカン。なんで今年に限って…」
『せやかて…毎年、寂しそうに帰るお前が不憫でな…
ウチからで悪いけど貰ってやってぇな。』
「……(._.)」
…オカン…ありがとうな。。
気ぃ使ってくれたんは嬉しいけど…
なんで今年なん??
悪いけどしばらくこのチョコは食えそうにない。。
……堪忍やで。。(/;ω;\)
欲しい時には貰えずに…
要らない時には溢れてる。
物事ってそんなもんなんでしょうね。。
…とりあえず次回からまた走り出します。
あくまでこれは…駅伝小説です。。




