表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/240

071 チョコレートがいっぱい

2月14日のチョコレートの日。。


昇は生まれて初めてチョコを貰いました。。



『ほれ…これはウチから…』

「おっ、泉もくれるんか??」

「けどお前は渡すより貰った数の方が多いんやろ??

 その紙袋に何個はいってるんや??」


『…うるさい!!(=`゜n゜´)ノ

 いらんねやったらやらへんど!!』

「いえいえ…頂けるモノは頂きますよ。(^^;」


 …次にチョコを配りはじめたのは泉や。


 …コイツは外見はともかく…

 男からもらうってのは微妙やけど…

 コイツの場合…数には入れてええやろう。


 …これで二個目や。(^^♪



『…あとこれは放出に。…受け取れや…』

「おお…俺のだけ特別に大きいな。

 だがまさか佐野からチョコを貰う日が来るとは…」


『せやな。けどこれ…ただのお菓子とちゃうで…』

「…おいおい。本命だったら受け取らんぞ。」


『そんなわけあるかぁ!!(´゜д゜`)

 これは…サプリメントなんや!!』


「…あ…ありがとうな。。

 お前にそんな気を使わせるって…」

『ええから…黙って受け取れ。。(・.・;)』



 …そういえばよく見ると粒が二種類に分かれてる。

 小さいのが何粒も…何か意味があるの??


『これは…練習前用と練習後用。

 前用には即効性の糖質とプロテインを多めに…

 後用には疲労回復用の栄養素を独自に調合しとる。』

「マジか??お前、栄養士か??」


『放出のには良質アミノ酸とコンドロイチンを加えた。

 その膝を…少しはマシにしてもらわんとな。』

「佐野…そこまで考えてくれてるんか??」


『…か…勘違いすんなよ!!(=`ω´)ノ

 それはその…ワレが弱いとつまらんからや!!』

「…なにも勘違いはしてないけど。。」



「…じゃぁこれは薬なんやな。。

 そんなら味は期待でけんかもって…うまっ!!」

「メチャクチャ美味いぞ!!これ…売りに出そうぜ!!」

『あかんあかん。…採算が取れんよ。。』


「…そんな高級なの??」

『あと手間もかかるから。せやから一日一粒やで。』

「ふーん、じゃぁこっちは…」

『それは練習後用や!!って考えて食えや!!』



 泉って凄いんやな。。


 …栄養士の資格こそないけれど…

 よう勉強してて同等の知識があるらしいんや。

 この小さな身体で故障もなく一流選手でいられるんは

 栄養と整体の豊富な知識ゆえらしい。


 …しかも料理上手で普段から工夫してて…

 …体のケアにも怠りがない。


 一流の努力ってのはそういうもんなんかもしれん。 


 練習以外に何の努力してへんワシって恥ずかしいな。

 …あと感謝せな。。

これって…本命より有難いかもしれん。。



 …まぁどうあれ…今年は二個もらえた。

 他の連中にはかなわんけどもう嫉妬はないよ。。


 たしか今日は…バレンタインやったっけ。


 …それに練習も今日は調子よく終われたんや。

 普段より疲れもないみたい。

 泉のチョコレートが効いたんやろうか…


 けど一人だけ調子のよくないのもいる。

 みなみは…何も用意してへんのやろうか??



『…お疲れ。今日はみんな頑張ったな…』

「どうしたんや??労いなんて珍しいやないか。」

『だからその…持って帰って…』

「おっ、もしかして難波の手作りか??」


『ちゃう!!…溶かして固めただけや…』

「それでいいじゃない。なんで怒ってんの??」


『ええから!!持ったら帰れ!!(=`n´)ノ』

「…なんでぇ???(*´Д`)」



 結局、学校を出てもみなみはずっと不機嫌。

 というか…さっきの態度はないと思う。。


 …とりあえず理由を聞いてみると…



『だってウチは…他の二人に女子力で負けてるから…』

「他の二人って遥と…泉か??」


『そう。。遥は気配りできるし泉は料理上手やし…

 ウチだけできの悪いチョコで…恥ずかしかったんや。』

「けどみなみは自分なりに頑張ったんやろ??」


『…自分なりなんて…コーチとしてあかんやろ。。

 結果も出さんのに頑張ったって…選手に言えるか??』

「お前…チョコぐらいで大袈裟やぞ。。」


 

 そうか…みなみは…

 コーチとしての有り様を気にしてたんやな。


 自分なりに頑張ったなんて…

 たしかに駅伝でなら許されるセリフやない。

 けど…こんなイベントでまで気にすることないのに…


 あと…遥と泉に女子力でコンプレックスがあるみたい。

 たしか以前も泉にルックスで負けてるって思って…


 …そんなん気にせんでもええのにな。

 みなみはけっこう可愛いんやし…

 このチョコかて出来が悪いとは思わんけどな。



 ただみなみの家に寄ってみると…


 なぜか店は臨時休業??

 オッちゃんはえらいことになってて…


「おい昇…このチョコ…貰ってくれ…」

「なんや??オッちゃんまでチョコをくれるんか??」


「…実は…みなみのヤツ昨日えらい失敗を繰り返しててな…

 それで失敗作を…全部ワシにくれたんや…」


「…はぁ??(´゜д゜`)」

「…それでヒドイ胸焼けで…悪いが残り頼むわ…」



 …あらら。これは凄い量や…。


 みなみのヤツこんなに失敗するまで作り続けたんか。

 …とはいえ…不器用すぎるやろう!?


 これは女の意地なんやろうか??

 それともコーチの気位なんやろうか??


 どっちにしても…みなみは頑張ったと思うけど…


 オッちゃんは頑張らんでええ!!(=゜ω゜)ノ

 なんで胸焼けするまで食うとんねん!?


 血のつながらん父娘のくせに…

 こういう不器用なとこ…そっくりなんや。。



 ただオッちゃんの不器用は姉譲り…

 つまりワシのオカンとそっくりでもあるようで…


 家に帰ってみると…



「…ただいまぁ」

『お帰り昇…ほれチョコやるよ。』


「なんやオカン。なんで今年に限って…」

『せやかて…毎年、寂しそうに帰るお前が不憫でな…

 ウチからで悪いけど貰ってやってぇな。』


「……(._.)」



 …オカン…ありがとうな。。


 気ぃ使ってくれたんは嬉しいけど…

 なんで今年なん??


 悪いけどしばらくこのチョコは食えそうにない。。



 ……堪忍やで。。(/;ω;\)




欲しい時には貰えずに…

要らない時には溢れてる。


物事ってそんなもんなんでしょうね。。


…とりあえず次回からまた走り出します。

あくまでこれは…駅伝小説です。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ