069 主力三人で。。
ようやく七人そろったとはいえ…
駅伝部はおよそチームとは言えない状況のようです。
「それでワシが三区に入るとすると…
三区を予定していた浜寺はどうするんや??」
『…実はそれがもう一つの問題でな…
浜寺は最近…体調が良くないみたいやからな。。』
「ああ。…疲れが抜けへんみたいやな。」
…そう。一応ベストタイムは出したとはいえ…
このところ浜寺は少し調子を下げている。。
…やはり原因は急激な減量やろう。。
だってこの一か月半で6キロも減って現在66キロ。
秋までに60キロにまで絞る予定やから。
これが肥満体からの減量なら問題ないんやろうけど…
浜寺は筋肉質で元からムダな脂肪は少ない。。
数字以上に厳しいことは明らかで…
体重が減ったおかげかスピードはついたけど…
タフやった男のスタミナは目に見えて落ちとるんや。
「そうやな…減量中はどうしても体力は落ちるから…」
『浜寺の晩飯は難波が栄養に気をつけて作ってるけど…
減量食で今以上の内容は厳しいやろうな。。』
「あと浜寺は間食もやめたから…エネルギー不足かもな。」
『…でもそうなると減量後に体力を戻す期間がいる。
夏までに60キロに落とし、秋までに調整せなあかんねや。
でもそれでは長い距離を走りこむ期間が…』
「でもそれやったら浜寺は8キロ区間は無理やないか??」
『ああ。せやから四区は…ウチしかおらんやろうな…』
「…けど泉は中距離選手やから長い距離は…」
『それが…チーム事情やからな。
長い区間は主力三人で受け持つしかないやろう。』
…主力三人??
うっかり聞き流すとこやったけど
…メチャ嬉しいやないか??
だって三人のうち二人は…
あの<泉北の黒豹>と<北摂の白兎>やど。
ワシみたいなモンがその二人と並び称されてるって…
もしかしたらワシはいつの間にか…
『おぉい昇。何を呆けとるんや??』
「あ…そうやった。それでアンカーはどうする??
泉の代わりは誰が担当するんや??」
『…赤阪に頑張ってもらう。。
あいつの成長ぶりならば何とかなるやろ。。』
…やはりそうなるか…
…たしかに赤阪はチームの副主将でもあるし、
このところ選手としても人間としても急成長しとる。
陸上経験のない浜寺に最終区間はムリやろうし…
…赤阪以外の選択肢はないやろうな。。
しかしどうやろう??
赤阪は本来は3キロ区間の中距離体質。
しかも陸上経験者とはいえ試合経験は乏しい。
駆け引きあるレース展開は知らんはずや。。
それがぶっつけ本番でアンカー勝負になるとしたら…
ましてその相手が経験豊富な西風の扇町天馬なら…
それで勝負になるんやろうか??
ましてその重圧に赤阪の心身は耐えれるんか??
けど他に選択肢も…
『…じゃぁここまでを整理するで。。
一区は放出。二区は能勢で変わらず。三区は昇やな??』
「ああ。間違いない。」
『四区は泉で、五区は…遥ってことになるんか??』
『…ああ。そこが一番きついチーム事情や…』
…ちょっと待て??
分かってたこととはいえ…
遥を使うことになるんか??
せやかてあいつは普通の女子。。
しかも故障持ち。。
アキレス腱断裂からの回復途中やど。。
「けどホンマに…女子が男子駅伝に出られるんか??」
『ああ。それはすでに連盟に確認済や。』
『そりゃそうや。だってウチかて出れるんやから。』
「あのな泉…お前は出れて当然なんや。。」
『けど実際…戦力としては厳しいと思う。。
高校男子に故障もちの女子をぶつけるんやで。
最短の3キロ区間とはいえ…1分は覚悟せんとな…』
「…それでええんか??」
『エエも何も…その程度で抑えれたら御の字や。
遥は1分程度の差で抑える。その1分は主力三人で補う。
それがチーム事情。他に選択肢なんかないで。』
「……」
『じゃあ残りは六区が浜寺、最終七区が赤阪やな。』
『ああ。厳しいけど…それが今のベストオーダーや。。』
…これが現実か…
分かっていたこととはいえ…物凄く厳しい。。
特に泉の抜けた後半の弱さが際立つ。
…これではセーフティーリードなんかないやろう。
いや、そのリードを奪うこと自体が難しい。
前半の主力三人かってケガ人に中距離走者に…
ワシみたいなモンまで含まれてるくらい。。
…けど…そんな時こそやれることをやるしかない。
前半に可能な限りのリードを奪う方法を考える。
そして後半は逃げ切れる力を早急につける。
ホンマに…ホンマに厳しく非現実的やけど…
それ以外に選択肢はない。
これが…現実なんや。。
…厳しいなぁ。。(´・ω・`)
この展開からどうやったら都大路まで
辿り着けるんやろう??
というわけで次回はちょっと趣向を変えます。
それで…
しばらくまたジャンルを「学園」に戻します。




