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068 それがチーム事情やから…

主将も副主将も決まりました。。

では次にチームとして決まることは…


 はてさて何やかんやで2月も10日をすぎ…

 ワシも知恵熱から復帰して…



 …今日の練習は久々に5000mの記録会や。


 放出も無理しない程度に流すってことで参加したけど…

 …驚いた。。

 きっちり一キロ3分で刻んで15分ジャストやて。


 以前、<一キロ4分はペース走>ってみなみに言うたけど…

 放出には<一キロ3分>がペース走なんやな。。

 これだけ走れて陸上を諦めるって…


 …やっぱりワシらとはケタが違うのかも… 



 もちろん他の連中も伸びとる。


 浜寺は目標の17分まであと一歩と迫り…

 その浜寺をラスト一周で置き去りした能勢は…

 ついに16分台に突入した!!


 けど、際立ったのは赤阪や。。


 初めてトップからの周回遅れを免れて…16分08秒。

 このタイムは駅伝部ができる前のワシのベストと同じ。

 つまり…解散前の陸上部で一番速い記録と同じ。

 

 陸上部解散までは万年補欠やった男が、

 一か月ごとに分単位でタイムを縮めてここまで…

 …ホンマに…さすがは副主将やな。



 せやけど主将のワシも負けてないで。。

 目標の15分を初めて切って…14分58秒や!!


 …とはいえ放出がラビットになってくれたおかげけど…

 それにあくまで目標への第一歩。

 だってワシの最終目標は10キロ30分なんやから。



 …そんな中…

 こっちの白兎ラビットさんはまたちょっと不機嫌や。

 一人だけ自己ベストを更新でけんかったんもあるけど…


 …放出の走りが気に入らんらしい。。


 自分の背中が目の前にあるのに追っても来ない。。

 5000mなら自分よりも強いはずやのに…

 それに走り終えたら、ちょっとマッサージしただけで

 勝手に練習を上がってしもうたから。。


 …顔には出さへんけど…実は今日の走りが精一杯。。

 相当に無理したみたいやからな。。


 あれだけの故障をした直後やと分かってはいても…

 かつての宿敵の弱った姿…むず痒かったみたい。。


 そして泉は不機嫌になると…

 何かしらワシらに訴えってくるクセがある。。



『なぁ天保山、難波、ちょっとええか…』

「なんや??」

『そろそろ駅伝のオーダーを考えたいんや。。』


「オーダーって…前にも考えたやろう??」

『…いや。ようやく七人揃ったんや。。

 そろそろ具体的に考えた方がええと思ってな。。』

「七人って…遥も使うんか??」

『…ああ。さすがに部員はもう頭打ちやろうから…』


『そうやな。…新しい部員はもう入ってくれんやろな。

 知り合いのオッサンも出尽くした言うてたし…』

「だからみなみ、誰やねんそのオッサンって??」

『…けど、さすがにもう増える要素はないと思うで。。』



 …謎のオッサンのことはともかく…

 たしかにこれ以上の部員増を望むのは現実的やない。


 …となると考えるのは…七人の並べ方だけ??



『…それで天保山には悪いけど…

 一区を放出に譲ってやってほしいんや。。』

「えっ??な…なんでや??信頼して任せるって…

 それに故障者に最長区間ってのは…」


『チーム事情やな。…理由は二つあるんや。。』


 

 一つ目の理由は…放出が一定のペースで走れること。


 …だって流してあれだけ走れるんや。

 調整次第ではあのまま10キロを突っ切ることも可能。

 ならばワシが一区でいるより…

 目標タイム(10キロ30分)を達成する可能性は高い。。



『…もちろんそれだけやない。

 天保山と放出は長距離向きの選手やからな。

 エース区間である一区と三区を務めてほしいんや。』


「…じゃあワシが三区か??」

『ああ。やはり放出はトラウマを抱えてると思うから…

 せめて三区だけは…外してやりたいんや。。』



 …そういうことか…


 いくら涙の決断をしたとはいえ…放出は怖いはず。。

 ならば実際に悪夢を体験した当該区間…

 三区だけは外してやるのがやさしさやろうな。。


 それに一区は一番距離が長い分、ペースは一番遅い。


 展開次第で無茶な追いあげをすることもない。

 周囲のペースにつられて無理をする可能性も低い。


 …そう考えたら放出には一区が最適かもしれん。。

 やったらワシは…笑って譲ってやるべき。。



「そうやな。…花の一区には放出が適任やな。。」

『スマンな天保山。勝手を言うて…』

「…かまへんよ。。

 ワシでは一区10キロを30分は厳しかったんやし…」


 …そう考えたら…ワシにもその方がええな。

 一キロ3分ペースで10キロを走るのが目標やのに…

 やっと半分の5キロを達成したばかりなんやから。。



『じゃあ三区を24分なら…いけるか??』

「そうやな…可能性は高まるかな…」

『ホンマか??むしろ厳しいと思うで。』


「やけど3分ペースで10キロはムリでも8キロなら…

 なんとか達成できるかもしれんやろう??」

『いや…それでは足らんで…』

「えっ??」



 …そう実は…三区は8キロやない。8.1075キロや。


 3分ペースでは目標より100メートル以上…およそ20秒も遅れる。

 つまり5キロを15分ペースではあかんねや。

 単純計算で14分48秒…今日より10秒速いペースって…


 これってメチャクチャ厳しないか??



「やはり…そうなるか……」

『もちろんや。区間を代えて目標を下げてどうする??』


「でも…やらなあかんねやろうな…」

『…そうやな。天下茶屋のチーム事情では…

 主力がリードを奪う以外に勝つ方法はないからな…』



 …そうやな。。

 大物二人には敵わんとはいえワシも主力やからな。。


 けど…それがチーム事情か……


 泉に言われたからやないけどそろそろ、

 本格的にオーダーを見直す必要がありそうやな。



なんとか一区と三区は戦えそう。。

けど…本当に大丈夫??


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