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063 超大物・放出京喬の場合。。

特大の過去を背負った転校生…

放出京喬。。


その実は…


「…あ…阿倍野??」

『放出主将が…どうしてここに??』



 …二人ともメチャクチャ驚いとる。


 …対して泉はしてやったりの顔をしとる。

 どうもこの件が…泉がキツかった理由みたいや。



 …確認する必要もない。。

 阿倍野遥が競技人生を絶たれるほどの大ケガをする

 原因を作った主将とは…この放出京喬。。


 そして…阿倍野遥の故障のことを気にかけて…

 色々と進言をしてたのが放出と並ぶ大阪の第一人者…

 佐野泉ということ。。


 …なのに結果として遥は選手生命を絶たれ…

 放出は何も語らず逃げるように地元を離れたんで…


 泉は…放出に不信感を抱くことなった。。



 …しかし因果なもんや。。


 中三で後輩の競技人生を奪った男がその二年後…

 やはり故障してそれ以上に凄惨な重荷を…


 そしてその張本人たちのいる天下茶屋高校に

 転校してくるやなんて…

 

 

『…どうなんや放出!??

 阿倍野の前でも同じことが言えるか!?』

「……言えるかい…俺には…詫びの言葉もない…」


『じゃぁどうするんや!??』

「……」


『あの佐野先輩…何があったんですか???』



 …とりあえず…仕切り直しや。。

 こんなもん普通の神経で話せるかい。。


 ただ肝心の遥はと言えば…説明を聞いても驚いてない。

 むしろ≪然もありなん≫という目で放出を見ている。


 皆が沈黙する中で口を開いたのは…遥やった。



『いえ…詫びるべきは…私の方です…』

「詫びる??なんで遥が??」

「おい…よせよ阿倍野…」


『…言わせてください放出主将!!

 実は主将は…本当は止めようとしてたんです。。

 それを私が押しきって…出場させてもらったんです!!』

「…えっ??…ホンマなんかそれ??」


『…はい。主将は私を…止められなかっただけです。。

 なのに黙って一人で責任を被って…

 そして今でも…本当のことは口に出さず…』

『…なんやそれ??…ウチの聞いてた話と違うで…』



『…だから……悪いのは私なんです佐野先輩!!

 でも私を戦犯にさせないために主将は…

 他人に聞かれたら全て自分のせいにしろって…

 それで…私はあんなことを…(;o;)』


「えっ??じゃぁ遥がアキレス腱を切ったんって…」

『はい…中二の駅伝の本番で…それでチームは…』

「…途中棄権??」


『いえ…なんとか襷はつなぎましたけど…』

「…うっ…ウソでしょ??」


『…ホントです。だって中継点は見えてましたから。

 でもそのせいでチームは大敗してしまって…』

「…それでも…ウソでしょぉ???」



 …おいおい…壮絶すぎるど。。


 主将の反対を押し切ってまで出場した駅伝の

 レース途中にアキレス腱断裂って…


 しかも…そのまま襷をつないだぁ!??

 普通なら立つことさえも不可能な大ケガやど!!

 …どんだけ精神力が強いねん!!


 …でも…それ以上に放出くん。。

 そりゃ主将にも責任はあるやろうけど…


 …自分の反対を振り切った後輩を庇うために…

 今の今まで事実を隠し通してた!!?


 …男前というか無骨というか…

 中学生にしてどんだけ責任感が強いねん!!


 しかも…二年以上もたった今なおその負い目を…



「…でもな阿倍野…

 最終的に出場を許可したのは…やっぱり俺なんだ。。

 曖昧な態度に終始して…そのせいでお前は…」

『…けど私は後悔はしてませんよ。。

 たった一度だけど…最後まで駅伝ができましたから。』


「何を言うか!!

 でもせめてあそこで棄権してれば…もう少しは…」

『…いえ。どうせ私はあの程度で潰れる軟弱者ですよ。。

 遅かれ早かれいずれ終わっていたはず…

 むしろ走り切れたから…立ち直れたんですよ。。』


「…だからって……」

『いえ…本当は私のせいで負けたあの試合で…

 責任を取る形で地元を離れてくださったの誰ですか??

 本当に…本当に感謝してるんですから。。』



 …放出くん…もう言葉を継げない。。


 後輩の選手生命を守れなかった自責の念で一杯やのに…

 その後輩に…感謝の言葉をもらうなんて……


 しかも地元を離れて播工に行ったのは責任を取るため。

 …そして…

 後輩の遥に責任を及ばせないためやったんやな。。


 …なのに…



 今度は自らが故障して…

 名門・播州工業を途中棄権させ…


 一度離れた地元に戻るしかなくなったなんて…


 ワシらと同い年でなんて重い過去を背負ぅとるんや!!


 せやのに…情け容赦のないヤツもおるもんで。。



『その上で改めて聞くで放出。ワレはなぜ棄権した!?』

「…まだそれを聞くか??」

『なぜ後輩のようにはでけんかったんや!?

 偉そうに言うて…結局は可愛いいんは我が身だけか!?』


「泉…いくらなんでも酷すぎるぞ!!

 だって放出くんは…棚落ちを起こしたんや!!」

『…けど歩けたんやろう??襷に責任を持つのなら…

 這ってでも…指の一本でも動くうちは棄権なんかせん!!』


「泉…それはさすがに……」

「いや天保山くん…佐野の言う通りだと俺も思う。

 本当はそうすべきだったのに俺には…できなかった。。

 …あそこで壊れることが怖くて…

 俺には阿倍野ほど…覚悟がなかったのかもしれない…」



『それで放出…回復具合はどうなんや??』

「…一応は走れる。…けどもう完治はしないらしいんだ。。

 競技者として復帰することは…ないだろう。。」


『じゃぁ放出…もう方法はないのか??』

「…ああ…痛みが取れるのを待つ以外にはな。。

 一般のジョガーになら…いずれはなれるらしいから…」



 …どうなんや??やはりムリなんか??

 いくらケガ人でも将来はジョガーにならなれるやろう。


 けど…それでええんか??


 こんな稀代の大物を不完全燃焼のまま…

 十字架を背負わせたまま…



 …終わらせてもええんか?? 



さすがに終わらせられないよな。。


ちなみにネタバレですがこの放出は

初期構想時点では主人公の一人でした。

これから軸になっていくと思います。。


あとジャンルを「その他」に変更しました。

このサイトに多く見られる学園モノではなくなってきましたから。。


スポーツとかってジャンルがあればいいのにな。。(´・ω・`)


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