056 女子部員・阿倍野遥の場合。。
久々に部員が増えそうな予感ですが…
どうやら女子のようです。。
『お願いです!駅伝部に入れてください!!
私ももう一度…佐野先輩みたいに走りたいんです!!』
「え…泉みたいにもう一度って…??」
『…入れたったらええやん。
それに阿倍野やったらホンマに戦力になるかも。。』
「…おい泉。それどういうことや??
っていうかお前、彼女とはどういう関係や??」
…阿倍野遥。一年生。
顔も仕草も女らしくてかわいらしいけど…
よく見ると170はある長身。
細身ながらかなりガッチリとした体型。
しかも泉と旧知の仲で名前も遥って…
まさか…そんなワケないよな!??
こうして泉と遥ちゃんの会話が始まったけど…
これがまたちょっと不思議な雰囲気で。。
「それより阿倍野。お前…ケガの状態はどうなんや?」
『…知ってたんですか??佐野先輩…』
「当たり前や。あんなことがあったんやからな…。」
『…そうですよね。でも…もう痛みもありませんから。』
「…そうか。それでアイツのことは…」
『ええ。もちろん恨んでなんかいませんよ。。
それにあの人も…あんなことになってしまって…』
「せやな。…ところでアイツの近況は知っとるか??」
『いえ…まったく聞いてなくて…』
「…やろうな…ワシもや。。」
『…それより、佐野先輩こそムリしてません??』
「べつに。ワシはどこも故障してへんけど…」
『そうじゃなくてその話し方です。
私の前だからってそんな意識しなくても…』
「なんや…バレとったんかい。
もっともワシもお前の存在は知ってたんやけど…
こんな事情やから…話かけれんでスマンな。」
『それは私も同じです。けど先輩は有名人ですから。
陸上選手としても…この学校の中でも…』
『それならいつも通りに話した方がウチも楽やな。(^v^』
『はは。急に声色が変わりましたね。
けどそっちの方が自然ですって。
そもそもその髪型で<ワシ>は不自然ですよ。』
『ハハっ。ウチもそう思うわ…』
…何とも…不可思議な会話や。。( ゜Д゜)
それにしても泉は器用に声色を切り替えるな。。
天馬との会話は喧嘩腰やったからわからんかったけど…
昔からの知人との会話は…こんな感じになるんや。。
…ただその後も会話を聞いていたら色々と分かった。
とりあえずよかった。。
泉と同類ではないらしい。(;´∀`)
…阿倍野遥は堺の金岡百舌中学出身。
当時はかなり有望な女子長距離選手で…
その頃から都大路出場を目標としていたらしい。
…なのに中二の冬に大きな故障をしてしまい…
志望していた陸上名門校に進学できず…
仕方なく進学した天下茶屋高校では、陸上部が半年後の
解散を決めていたので入部さえ許可されず…
…ずっと一人で燻っていたらしい。。
…それが最近、駅伝部ができたことを知り…
…旧知の佐野泉が再び走り始めたことを知り…
以来ずっと…入部のきっかけを探していたとか。。
…まったく皮肉なもんやな。。
ずっと陸上部に入りたかった彼女が…
陸上部が解散したから走る機会が巡ってきたって。
…でもそれなら受け入れるべきやな。
だってワシら駅伝部はやりたいことをできなかった…
不器用な人間の集団なんやから。
「…じゃぁみなみ。入部させてええよな??」
『もちろんや。やる気のあるモンは大歓迎やで。』
『ありがとうございます!!頑張ります!!』
『良かったな。阿倍野。。(^ω^)』
『はい。佐野先輩も改めてよろしくお願いします!!
女子駅伝部の仲間は先輩だけですから。』
『…そういうことになるのかな??(・。・;)
けど阿倍野を相手にそんな感覚にはなれんけど…』
…まぁとにかく…
…約一か月ぶりに仲間が増えた。
阿倍野遥ちゃん…
彼女は駅伝の神様からのお年玉かもしれん。
…しかも実力者やったらしいから…
もしかしたらホンマに戦力になるんやろうか??
泉と同じように男子駅伝の助っ人として…
…ってさすがにムリやって。(=゜ω゜)ノ
いくら実力者とはいえ遥ちゃんは普通の女子やし…
しかも故障持ちって言うてたしな。。
…ただ…気になることがある。
…この二人は出身中学も違うのに妙に意味深やし。。
<あんなこと>ってなんやろう??
<アイツ>って誰や??恨まれるって??
…なんや気になることがいっぱい出てきたな。
…けどどうしよう??
こういうのは…やっぱり聞いたらアカンのかな??
なんか色々と謎めいてきたなぁ。。
とりあえずもう少し先まで下書きができたので
暫くは小出しになると思います。。




