049 勝運祈願
正月は明けましたが…
このお話では今日は12月31日です。。
「寒いな。…今夜は冷えるで…」
「…あとは泉だけだね。」
『遅くなってゴメン。時間がかかってしもて…』
「おい遅いぞ…ってなんちゅう格好しとるんや!??」
…今日は12月31日。大晦日。
駅伝部は全員で初詣に行くことになった。
行先は豊國神社。太閤さんを祀った勝運のある神社。
ここで駅伝部の必勝を祈願するんやけど…
「泉おまえ…晴着ってなんやねん!??」
『あかんか??でも初詣なら普通とちゃうの??』
「普通…ではないな。…勝運祈願やからな。」
『そうか??みんなも神様に会いに行く服やないで。。
天保山もその帽子。御参りの時は脱ぐんやで。』
「わかっとる…ちゅうかその髪もなんや!?」
…またこのパターンか。。
泉のヤツ…何かあると妙に着飾って来よるから。。
…たしかにワシらに私服のセンスはない。
神様に会うのにふさわしい服装とは言えんと思う。
…けど泉…男が晴着に日本髪で必勝祈願はないぞ!?
とはいえ否定しにくい。…妙に似合とるから。。
まぁええわ。とにもかくにも神様に報告や。
駅伝部ができて…やっと戦いに参加できるんやから。
…せやけど神社は凄い人出やなぁ。
多くの学校の体育会系が勝運を授かろうと集まっとる。
…かっこエエな。揃いのジャージやヤッケ。
こんなんさえあったら服装で悩まんでもええのに…
…そんな中で気になるウィンドブレーカーを見つけた。
【西風高校陸上競技部】。
先週行われた高校駅伝大阪府代表で全国9位。
都大路を目指すワシらにとっての最大といえる強敵…
…やねんけど…
なぜか向こうから声をかけてきた。
「おお昇やないか!?久しぶりやな。」
「…天馬。中学卒業以来か??」
『ウチもおるでぇ。』
「みなみか。懐かしいなぁ。。」
…こいつ…扇町天馬。。
ワシとみなみの中学陸上部の同期。
人付き合いが苦手なワシの唯一ともいえる友人。
そして学内では一番速かった男。
現在は西風高校の選手で都大路の五区を走り…
…6人抜きの区間賞を獲得した実力者や。。
「見たで天馬。お前、都大路で大活躍やったな!!」
「ああ。…目標は果たせんかったけどな…」
「けど区間賞やろう!?
中距離走者のお前が都大路で…凄いやないか!!」
「いや…それぐらいはやらんとな。
一応は800mでインターハイ決勝まで行ったし…」
「ほう。さらに凄いな。。」
…そう。扇町は本来は800m専門の中距離選手。
けどそこで全国トップレベルの力をつけ…
名門・西風高校の駅伝メンバーに入ったんや。
そして都大路で区間賞。
まったく…大したヤツやで。。
「そういえば昇。お前も活躍したって聞いたぞ。
地区大会で区間賞やって??」
「知ってたんか…。お前、足も速いが耳も早いな。」
「…それで今は何をしとるんや??
天下茶屋の陸上部は解散したって聞いたぞ。。」
天馬こいつ…耳の方が早いみたいやな…
…そうなると今ワシが何をしてるか…
…なぜ勝運祈願に来たのか…
…ここは黙っとくべきやろうな。。
…まだ人数も揃ってない駅伝部では答にならない。
…まして西風にはとても太刀打ちできない。
はずやけど…
みなみにそういう発想はないわけで…
『なぁ天馬、その件やねんけどな。
天下茶屋に陸上部はないが…駅伝部はあるんやで。』
「へぇ…ホンマかみなみ??それは初耳やで。」
『つい最近にできてな。それで必勝祈願に来たんや。
今年の都大路にはわが天下茶屋が行かせてもらうで。』
「なっ…なんやて!?」
…こらみなみ!!なんちゅうこと言うんや!?
相手は天下の西風陸上部やぞ!全国9位やぞ!!
しかも天馬のヤツ…聞き捨てならんって顔してるし。。
「都大路ねぇ…それにしては選手が少ないんやない??
昇を含めても4人しかおらんようやけど…」
『いや5人や。…ウチのエースを見落としたらあかん。』
「エース??そんなんどこにおるんや??」
…すると…晴着姿の小さいのが前に出てきた。
「おいおい扇町。ワシを見忘れたか??」
「えっ??キミ誰??…言葉遣いが汚くない??」
「しゃあないか。ワレはずっとワシの背中ばかり見て…
まともに顔を見ることは少なかったからかな??」
「…ってその河内弁って…佐野かぁ!??」
…またこのパターンや。。
けどこいつら何てことするんや??
これじゃ西風に…ケンカ売ったも同然やないか。。
青学の皆さんおめでとうございます。
…それにしても強すぎる。。
芦ノ湖であれだけ繰り上げられたら順位がわかりにくくて仕方ないよ。(・_・;




