048 負けは恐れろ。けど乗り越えろ。
駅伝部の目標決め。。
最後はもちろんアンカーの泉です。
こうしてワシと能勢と浜寺と赤阪の目標が決まった。
…まともに達成できそうな目標はないんやけど…
なぜかみんな納得しとる。
まぁ目標なんてこんなもんかもしれんな。
そもそも最終目標が…さらに難しい都大路出場やから。
『…となると最後は泉か。』
『…まぁな。けどウチはやることは決まっとるよ。
長い距離への対応…それだけやな。。』
『あと泉はホンマにアンカー志望なんか？？』
『チーム事情もあるから８キロ区間でもええけど…
…できればアンカーが理想やな。。』
『ええんか？？…あんなもん見た直後やのに？？』
『ええよ。スポーツでは…負けるのは普通なんやから。』
『じゃぁ泉は…その責任を背負えるというんか？？』
『…責任なんか取れんよ。けど…
負けるのを恐れて駅伝なんかできるかいな。。』
…そう。ワシらはついさっき見たばかり。
駅伝におけるアンカーの厳しい現実を…
…42キロ以上を7人でつないで…
最後はゴール直前の100mで勝負で決まることも…
…そしてその責任を負うのはたった一人…
アンカーとは他の区間とは異種の責任を負う者…
志願なんてよほどの精神力がないと不可能。
けど泉の言う通り…
スポーツでは負けるのが普通。むしろそれが運命。
なぜならスポーツ選手はいつかは負けるモンやから。
仮に勝ち続けても…どこかで限界を迎えるから。
…そして負ける。
…ケガに？？ライバルに？？若さに？？
…いや、多くは自分自身に。。
…それが避けられない運命なんやから。
『だからって…泉は勝ちたないんか？？』
『勝ちたいのは当然や。…せやからアンカーで勝つ。
…心配せんでも勝ったるから…』
『ならなんで負けるなんて言うねん！弱気やろ！？』
『…弱気って…それはただの現実逃避でしかない。。
弱気を否定するなら駅伝なんかでけへん。
苦しんだ末に負けるんは…駅伝では普通やからな。
それすらイヤなら…乗り越えるしかないやろ。。』
『…やったら？？』
『…そうや。強気なふりして現実から目を背けるな！！
負けは素直に恐れろ！！けど乗り越えろ！！
真正面から恐怖と向き合う以外に方法はない。
開き直って勝てるほど甘い競技やないで！！』
『…そう…やな。。』
泉こいつ…やっぱり一流やな。
…弱気を正直に認めて…
…怖いモノは素直に恐れて…
…強気なセリフで開き直る愚を厳に戒めて…
…その上で勝つ意欲を真正面から語れるなんて。。
やっぱりアンカーは泉しかないやろな…
ワシみたいな未熟者に…務まりそうにないわ。。
「…熱くなってるとこ悪いけどな…
そろそろ暗なるけど、みんな帰らんでええんか？？」
「…そうやなオッちゃん。じゃぁ解散かな。」
『じゃぁ明日から目標に向かっていくで。』
「おいおい難波。明日からやない。今日からやで。」
『えっ？？』
…そう言うとみんな…走って帰ってもうた。。
こいつらちゃんと心得てる。
自分たちにムダにできる時間はないってこと。。
…けど上着とか荷物とか置いていきやがって…
明日学校までワシが全部持って行くことになった。
『…じゃぁウチも帰るわな。。』
「けど泉は…その格好では走れんやろう？？」
『…しゃぁない。帰ってから一っ走りするから。。』
「ああ。じゃぁまた…」
…そうして泉は帰ったけど…あれ…爪先歩き？？
確かに妙にカカトの低いブーツやとは思ってたけど、
あれって常に爪先で歩くための工夫なんか？？
ていうか…泉は日常でもほとんど爪先歩きみたい。
一流って…ひそかに努力してるんやな。。
『よし…それやったら昇も行こうか。』
「えっ？？今からか？？」
『まだ陽があるからな。今やったら捕まらんぞ。
ウチが自転車で付きおうたるから。』
「よし。じゃぁ着替えてくるわ。」
『はよシイや。とりあえず10キロ全力で行くで！！』
「げっ…そう来るか…」
…ま、しゃあないか。。
自分のペースを保つことはできるはずやのに…
みなみのペースには踊らされるワシ…
これもまた…運命なんかもしれんな。
あけましておめでとうございます。
今年もヨロシクです。
ちなみに年明け前に投稿してます。
ニューイヤー駅伝はどうなってるかなぁ。。
