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042 同窓生…扇町天馬の場合

都大路もそろそろ終盤です。。

でもそこには知った顔がいるわけで…


「へぇ…あの天馬が西風の五区か。」

『なんや天保山。あんた扇町の知り合いか??』


「ああ、中学の同期や。泉はなんで??」

『そりゃあいつとは何度も一緒に走ったからな。。

 中三の全国大会では同部屋やったし…』


「えっ泉お前…天馬と同じ部屋で寝たんか??」

『…何か不都合でも??(^v^)』

「そうか…何の問題もないんやな…」



 …まぁ…そりゃそうやわな…


 同じ種目で同じ大阪のトップ選手同志やから。

 泉と天馬が知り合いなのは当然やし…


 あと…何の不都合もないんよな。

 とはいえ泉…

 その屈託のない顔で見つめてくるな。。


 …何か頭が混乱する。。



『そやけど扇町って…西風も駒不足やな。』

「おいおい。天馬はウチの中学では一番の…」

『だって扇町は800m専門でウチより格下やで。

 3キロ区間とはいえ…大丈夫か??』


「泉…あんまりツレを悪く言うなや…」

『そうやな。…スマン。(*'ω'*)』


「…とはいえ泉の言う通りやわな。。

 天馬の実力ではこのレベルに通用するとは…」

『たしかに心配やな……』



 …だがその心配は…杞憂に終わった。


 というか…ワシらの認識は完全に誤っていた。

 襷を受けた天馬の走りはこのレベルより…


「速いぞ…これで何人目や!??」

『…四人抜きや。…天馬のヤツ8位に順位を…』

『なっ…これが扇町の走りか!??』


 …泉が驚くのも無理はない。


 自分より格下だった天馬の走りは、自らが掲げる

 ≪スピードで押し切る駅伝≫そのものやから。


 …中距離走者がその優れたスピードで走り切る…

 …言葉にすれば簡単なこと…


 だがたった3キロ…8分少々の短時間とはいえ

 そのスピードを保つのは並大抵ではない。


 強靭な足腰に筋持久力に心肺機能…

 さらには精神の強さが求められる至難の業。

 その理想形を…扇町天馬は体現している。



 …しかも快進撃はこれだけで終わらない。

 中距離走者の駅伝における最大の特長とは…


 …ラストスパートの競り合いに強いこと。

 …レース終盤までもつれたら…


 長距離走者に勝ち目はない。。



『天馬あいつ…ラストでさらに二人抜いた!!』

「マジか!?しかも天馬が抜いたのはあの名門校…

 報緑ほうりょく笹羅ささらやど!!」

『あの扇町が…ここまでやれるんか??』



 …さすがに興奮した…

 ワシらのかつての仲間が都大路で…魅せよった。


 …六人抜きの区間賞。。


 全国に名だたる強豪校をごぼう抜きにして…

 西風を入賞圏内の8位どころか…6位にまで…

 


「…凄かったな…天馬のヤツ…

 これで西風に入賞は決まりやないんか??」

『…ああ。だが喜んではおれんで。。

 これで西風は来年も手強い存在となるはずや。。』

 

「…脅かさないでよ泉。。

 あんなのをボクが迎え撃つってことになるの??」

『…まぁ順調に行けば…そうなるかな。。』


 …けどビビってるヤツもおる。

 五区での起用が予想される赤阪や。


 …なにせ扇町天馬は同じ二年生。

 来年は自分が迎え撃たねばならん立場やから。

 まぁ…当然やわな。。



 …それはそうと…次は六区や…

 この区間はまだを誰を使うか決まってないけど…



『…まだ決まってないけど今後のチーム構成次第で

 赤阪と浜寺に可能性があるかな。。』


「えっ??なんでボクが??」

『赤阪は本来、3キロ区間では勿体ないからな。

 5キロ区間を任せるならばこの六区やと思うで。』

「…まぁ…扇町を相手にするよりはマシか…」


「なるほど…じゃぁ俺は??」

『…浜寺はその逆のパターンや。

 8キロ区間がムリやったらここしかないんや。。』


「でも逆に言えば…実力者が入ってきても六区やな。」

『…なるほど。その可能性の方が面白いな。。』


「やろう。どうせならポジティブに行こうや。」

『…せやな。最後まで目ぇ見開いて動くんやったな。』



 …ちょっとだけ…みんな落ち着いてきたな。


 焦っても仕方がない。

 目指す先が明確なら…前向きに一歩ずつ進むしかない。

 

 …開き直るのとは違う。。

 たとえ届かなくても目指すべき方向にまっすぐに進む。。

 その意識はもはや…チーム方針になりつつある。



 こうしてみんな見据えるべき目標が見えつつある中で…

 一人だけまだ決まってない者がいる。。


 泉、お前は…何区を希望するつもりなんや??



…この小説はフィクションです。

実在する団体等とは一切関係ありません。


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