037 空気が伝わってくる
はてさて12月末の日曜日。。
今日は…あの日です。。
「おぉいみなみ。何を慌てとん??」
『せやかて…12時までに準備せなあかんから…』
「…準備って何をや??」
『そりゃお茶請けとか…玉露とか…赤絨毯とか…』
「…あほ。どんな来賓を迎えるつもりや…」
…今日は12月26日(日)…
全国高校駅伝…通称≪都大路≫の日や。
午後に行われる全国大会をテレビ観戦するために
12時にみんなが集まることに。
集合場所はここ…≪鉄板焼き難波本店≫。
もっとも支店なんかないんやけど…
…そしてもう一人、ソワソワしてるのがおる。
みなみの義父でワシ叔父。難波法善や。
なにしろみなみもワシもずっと孤立してて…
友達を家に呼ぶなんてなかったから。
だからオッちゃんも張り切って準備してたのに…
『こんにちはぁ。』
「えっ…泉、もう来たんか??」
まだ10時前やのに一番乗りが来てしもた。
さすがに何も準備できてへんのに…
「…えらい早いやないか。集合は12時やぞ。」
『だって駅伝を見るんやろう??』
「おいおい。スタートは12時半やぞ。」
『ちゃうちゃう。10時20分やで。』
「…10時20分てそれは…
そっか…泉はその…女子部員やったよな…」
『そうやで。この格好見て分からん??』
…そう。男子駅伝は昼からやねんけど…
午前には女子駅伝が行われるんや。
我々には無関係とはいえ泉は名目上は女子部員。
こいつ…ここにはトコトン拘るからなぁ…
…それにしても…なんちゅう格好や。。
白いフワフワのコートに色味のいい帽子に手袋…
あの駿足にブーツなんか履いて…
普段は薄化粧やのに今日はきっちりメークして…
私服のセンスはかなりええみたい。
…なんか…惜しい存在やな。。
「おっ早いね。いらっしゃい。。」
『お世話になりまぁす…佐野泉と申します。(^v^)ゞ』
「へぇ。かわいい子がいるんだね。。」
『そんな…嬉しいですぅ。(^◇^)ゞ』
「いい娘じゃないか。もしかして…昇のコレか??」
「…それは…あり得へん…」
「じゃぁオジサンが立候補しようかなぁ??」
『やだぁ。オジさまったらぁ…(#^v^#)』
「……(+_+)。。」
オッちゃん…なんちゅう会話するんや。
娘の同級生に鼻の下を伸ばしてどうすんねん??
ボディータッチされて照れるな!!
ていうか…それ以前の問題があるのに…
…あと泉…
鉄板焼き屋のオヤジつかまえて≪オジさま≫??
あと…≪やだぁ≫ってなんやねん!??
普段は汚い河内弁のくせに…
ていうか…それ以前の問題があるのに…
…まぁ…ええわ。。
泉の人懐こさはワシも見習わなあかん思ぅとるし…
駅伝中継が始まったら急に大人しくなったし…
…というかTVにくぎ付けや。。
こいつ…ホンマに陸上が好きなんやな。。
…でも確かに伝わってくる。。
都大路にかける女子選手たちの真剣な空気が…
わずか一時間と少しのこの瞬間に…
競技人生のすべてをかけてきた強い思いが。。
…けどそれは同じ場所を目指してるからかも…
思えば去年も駅伝中継はみたけど…
こんな空気を感じることはなかったもんな。。
…事実オッちゃんは何も感じてないみたいやし…
「へぇ…やっぱり一区はみんな速いねぇ。」
「オッちゃん、わかるんか??」
「…いや、正直まったくわからん。。」
『そうですよね。極端なスローペースですから…』
「そんなことを言うけど速いと思うよ。
だってさ。…たとえば泉ちゃんがあの中に入ったら、
先頭とどれくらいの差がつくんだい??」
『…うーん。。一区は6キロだから…
1分ちょっとかな…』
「ほら、そんなに。。(*^^*)」
『…でもこのスローペースが続けば…
もしかしたら2分…いけるかもしれません。。』
「…いける??どういう意味??(・.・;)」
…どうやら説明の手間が省けたけど…
オッちゃん…腰を抜かすほど驚いとる。。
『ちょっと…どうしたん??お義父ちゃん。』
「みなみ…この子…なんやの??」
『なんや泉。。もしかしてもうバラしたん??』
「せやけどみなみ…お前よりかわいい子やのに…」
『かわいい?…泉はウチより…かわいい??』
…あかん。。(´・ω・`)
またみなみが壊れてしもぅたがな。。
オッちゃんも半分壊れかけやし…
もうすぐみんな集まるのに…
こんな調子で大丈夫んなんか??
大丈夫。。
次回に復活しますよ。
あと中長距離における男女の差は
1000mで20秒と考えれば大きくは
間違えないです。
ただしフルマラソンを超えると
この計算式は成り立ちません。
おそらく300〜500キロで男子は
女子に勝てなくなると思います。




