033 お礼を言わなあかんな
泉と浜寺が仲間になって…
駅伝部創設は目鼻がついたようです。
「…ふぅくたびれた。今日は色々あったから。」
『気色悪い?…ウチは…気色悪い…??』
「あのなぁみなみ…お前まだ言うてんのか??」
『なぁ昇…ウチって…』
「どアホ!!みなみはその…可愛いわい!!」
『かわいい?…ウチは…かわいい??』
「お前…ホンマにアホやなぁ…
それより申請用紙はもらったやろ。。
駅伝部を作るのに必要な条件てなんや??」
『アホ?…ウチは…ホンマにアホ??』
「…まだやっとんのか。ええ加減しつこいで。。」
…まぁ…とりあえず…
今日の一件で三人しかいなかった駅伝選手は、
一気に五人にまで増えた。
そしてこれで…正式に部として申請できる。。
…みなみは相変わらず壊れたままやけど…
運動部の申請に必要な条件は何とか聞き出せた。
まずは選手五名。これは揃った。
次に練習場所。主に河川敷やから問題ない。
学校グラウンドもまだ当分は使えるらしいし。。
顧問の先生はこれからの課題やけど…
部室とか用具は陸上部のを引き継げるやろう。
足らん分は部費が出たら揃うやろうから…
…いける!!
まだまだ課題は山積みやけど部になれば…
表だった部員募集もできる。。
地元の中学にスカウトにだって行けるやろう。
それならあと二人ぐらいは何とか…
念願の駅伝部が…ようやく…
「みなみ!!これで駅伝部は形になるどぉ!!」
『しつこい?…ウチは…しつこい??』
「……まぁええわ。明日までには復活してくれよ。
それよりお礼を言わんとあかんな。。」
『お礼?…誰に…お礼??』
…そう言うとワシは仏前に向かった。
礼を言う相手はもちろん…みさき義叔母ちゃん。
だってワシがこうして目標を持って生きられるのは
すべてこの人のおかげやから…
みさき義叔母ちゃんが…
命に代えてくれたおかげやから…
「義叔母ちゃん…ありがとう。。
これからもワシらを見守ってください。。」
『お礼…お母ちゃんに…お礼??』
「ああ。きっと見守ってくれてると…」
『じゃぁもしかして…お母ちゃんが駅伝の神様??』
「さぁ…どうかな??」
『神様?…お母ちゃんは…神様??』
「……さすがに神様ではないやろう…
けど実際ここまでの幸運は神懸ってると思うんや。
誰かに感謝せずには…おられん気分なんやな…」
そう…
思えばこのところのワシは恵まれすぎてる。
…奇跡と言ってもええやろう。
駅伝の神様か仏様かは知らんけど…
きっと…支えてくれてるんやと思うから。
ワシは今…ちゃんと前を向けている。
きっとみなみかってそう。
ワシの仲間もみんなその不遇を跳ね除けて。
ちゃんと感謝せんと…罰があたるというもんや。
…けどいい加減、心配になってきた。
身内が言うのもなんやけど…みなみは可愛いと思う。。
おそらく見た目を腐された経験はないやろう。
それがモノの弾みで泉から≪気色悪い≫と言われて…
さっきから壊れてしもとるんや。。
…ワシなんかこれくらい日常茶飯事やのに…
…いちいち傷ついてたら…今ごろ死んどったと思う。。
「あのなぁみなみ。ええ加減しっかりせいよ。。
ワシなんか気色悪い言わるくらい…平気やからな!!」
『…平気?…昇やったら…平気??』
「ああ。…ワシなんか昔から気味悪がられてるから…
そんな程度ではビクともせんぞ!!」
『気味悪い?…昇は…気味悪い??』
「…やめてくれ…やっぱり…地味に傷つく…」
…分かってはいたけど…やっぱり堪える。。
ワシでさえそうやねんからみなみは意外に深く…
けどホンマ…早く復活してくれよな。。
みさき義叔母ちゃん。。
みなみのこともよろしくお願いします。。(._.)
とりあえず…
他人の容姿を揶揄するのはやめましょう。
気色悪いなんて口が裂けても言うもんではありません。




