030 駅伝の神様がいたなら
昇と泉の決着はつきましたが…
5000mのレースはまだ続いてます。。
はてさて…
絶え絶えやったワシと泉の息が整ったころ…
ようやく次の選手がゴールに見えてきた。
「赤阪ぁ!!ラストファイト!!」
『18分05秒!!』
「やった赤阪!!大幅なベスト更新やないか!?」
「はぁ…やった…はぁ…」
『…(´・ω・`)』
そしてワシとみなみが赤阪をねぎらってるうちに
…最後のランナーも見えてきた!!
「能勢ぇ!!ラストや、粘れぇ!!」
「くそっ…たれが…」
『19分21秒!!』
「やった!目標の20分を大幅に上回った!!」
「よっしゃぁ!!!」
『…(/´・ω・`;)』
…ワシらはもりあがってるけど…
…傍で見てる泉はシラケている。
…普通に考えれば…まぁ当然やろう。。
『…なぁ天保山…』
「ああ泉…言いたいことは分かるよ。」
『このチームでホンマに都大路を目指す気か??
悪いけどこのタイムではとても…』
「わかってる。けど…こいつら凄いんやで。。」
『…凄いって何が??』
「…赤阪は先月まで20分を切るのが精一杯やったんや。
けど駅伝部で…選手としての自覚が芽生えて…
たった一か月で2分近くも縮めたんやで。」
『それは…凄いな。。』
「…能勢かて同じや。最初は3キロさえ完走できんかった。
それが一週間ほどで5キロを普通に走れるようになって…
今日は目標タイムを大幅に上回ったんや。」
『それも…凄いな。。』
…泉も素直に認めた。
たしかにこの二人の成長ぶりは驚異的。
強い意識をもって練習に取り組んでるんやろう。
…けどそれはまだこのレベルやから。
…もう少しレベルが上がれば成長は必ず鈍化する。
…あと一年でモノになるとはさすがに…
このメンバーで都大路って…想像さえできない。
『なぁ天保山…あんた本気なんか??』
「ああ。もちろん見ての通りの無謀な挑戦やけどな…
それでも本気で目指さな…神様も拾ってくれんからな。」
『けど…駅伝の神様でもさすがに無理やろう??』
「…せやけどワシが人財が欲しいと心の底から望んだら…
お前みたいなとんでもないのが出てきたんやで。」
『おいちょっと待て。…ウチは一言も仲間になるとは…』
「…やったら何度だって望んでみるさ。。
それより泉はどうなんや??
もう一度走りたいと…神様に望んだことはないんか??」
『…天保山あんた…それは狂気やで。。』
…そう。こんなん普通ではない…
けど天保山は…いや、こいつらはみんな同じ。。
…走りたくても走れなくて…
その心根をぶつけることさえできなくて…
こんな無謀な旗印でもなければ何も目指せない…
不器用にもほどがある愚かな連中。
…けどホンマに愚かのは誰か??
できる方法を模索せずにやる前から諦めた愚か者は…
じゃぁやっぱり…これしか方法はないんかな??
『よしわかった!!…やったら言うで!!』
「なんや泉。言うって何を??」
『忘れたんか??ウチが勝ったら何でも言うことを聞く。
そういう約束やったよな!?』
ゲッ…忘れてたワケやないけど…
それだけは勘弁してほしいなぁ…
『天保山…あんたやない。』
「…えっ??ワシやないの??」
「…もしかして…ボクなのぉ??」
『ちゃう、赤阪やない!!』
「スイマセン…スイマセン…スイマセン…」
『…せやから能勢でもないって…』
『…じゃあ…まさか…』
『そうや難波!!アンタに頼みがある!!』
ゲッ…みなみに!?
それはそれで…マズイんやないのかぁ!?
泉は何を望むの??
そういう展開はマズいなぁ…




