026 勝ったら好きにさせてもらうで
みなみが引き出した泉の本気の走り。。
これを仲間に引き入れるには…
意外なリスクが必要なようです。。
「おいっ、泉!!」
『なんや天保山??怖い顔して…』
「この顔はその…元々や!!」
『いや…怖いのは…声やった??』
…別にこんな漫才がしたいわけやない。。
何が言いたいのか…というとその…
「ワレ…ダサいヤツやの。
勝負に負けたのにヘラヘラしやがって…」
『そうかな??そもそもがあり得ん勝負やし…
ウチが走れることは分かってもらえたやろう??
…今回はそれで充分やけどな。。』
「と…とにかく…もう一回勝負してもらう。。」
『はぁ??…なんでそんなことせなあかんねん!?』
…強めに挑発はしてみたけど泉は我れ関せずや。
けどワシの傍らにはが赤阪がいる。能勢がいる。
…そしてみなみもいる。
どうやら…こっちも本気らしい。
さすがにその空気は覚ってもらえたようで…
『…泉。どうあれ今回はウチの勝ちや。。
勝ったモンの言うことは聞いてもらうで。』
『はぁ??…かなんなぁ。そんな約束してへんで…
…でっ、どうせぇっちゅうねん??』
『…ウチの駅伝部員と走ってもらいたい。
あんたの…ホンマの実力を見せてほしいんや。。』
『…さっき見せたやろ?まだ足らんか??』
『違う!駅伝選手としての走力が見たいんや!!』
『…なんや??まどろっこしい言い方やな…』
…みなみ曰く…
トラック1000mの力量なんて駅伝では無用。
ロード長距離の走力…それを見たいらしいんや。。
だから普段練習している河川敷のコース。
5000mで勝負しろと言うんやけど…
『…しゃあないな…でっ??』
『でっ…て何が??』
『勝ったモンの言うことは聞くんやろう??
じゃぁ次にそっちが勝ったら何を要求する??』
『…ウチが勝てば…あんたに駅伝部に入ってもらう。。』
『……ええやろ。。ただし勝てばやけどな…
それでウチが勝てば何をしてもらえるんや??』
『…もし泉が勝ったら…何でも言うこと聞いたる…』
『…ホンマに好きにしてええんやな!?』
『…ああ。約束する。。』
こらみなみ!!無責任な約束すな!!( `・ω・´)ノ
…そもそも勝ち目なんかほとんどあらへんぞ!!
しかもそうなったら…つまり負けたら…
…ワシらは泉の好きにされる!??
だってこいつは男やのに女の格好で学校に通う…
つまりそういうヤツかもしれんのに…
そんなん…絶対にイヤやぁ!!(;O;)
『それで…そっちには居るんか??』
『…居るって何が??』
『ウチと戦える選手がおるかと聞いとるんや。
競り合える相手がおらんかったら勝負にはならん。
…駅伝部員たちのベストタイムは??』
ワシの5000mのベストは…16分08秒。
当然ながらこんな程度では泉にはモノ足らん。。
…けど赤阪は19分47秒。
…能勢に至っては…完走さえ危うい。。
『はぁ??話にならんがな…
またハンデ戦でもやるつもりかいな??』
『けど…それはトラックでの記録。。
昇は先月の駅伝地方予選で区間賞をとってる。。』
『…それはそれは。。で、タイムは??』
『…河川敷のロードで…15分13秒。。』
「ほう…それはそれは…」
…泉がまた男声になった。
こいつ…本当に走りが…勝負が好きらしい。。
本気で勝負できそうな相手を見つけて…
楽しい玩具を見つけたような無邪気な表情で…
…なんか怖い…
…とてつもなく嫌な予感がする…
「ええやろ。…勝ったら約束通り…
こいつらワシの好きにさせてもらうでぇ!!」
「ひぃぃ!!!やっぱり!!/(;O;)/」
…もう逃げ出したい…
だってこの勝負…
ワシらの負けしか想像でけへんねんから…
本当に…勝負になるの??
というか負けたらどうされるの??
…良い子も読める小説にしたいんだけどな。。




