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199 スプリンターの間合い

都大路の二区にして

先頭に立った天下茶屋の

能勢豊。(*'ω'*)


けどその後ろには既に…


<さぁ、(;・∀・)、先頭は

 変わらず天下茶屋の能勢!!

 二キロの通過タイムは…>



 5分34分。(;・V・)


 この一キロを2分46秒で

 カバーした計算。。


 烏丸通の僅かな下りも

 手伝って予定以上の

 ハイペースやけど、、



<迫ってきたぁ!!(;'∀')

 脱落者はないまま10人が

 二キロ地点通過ぁ!!>


 第二集団が来た、(;゜Д゜)


 能勢のハイペースを更に

 上回る勢いでその背中を

 猛追する10人の大集団。。


 中継所地点では15秒…

 一キロ地点でも8秒あった

 能勢との差は…


 5秒!(;'∀')

 約30mにまで肉薄、、


 さすがに苦しそうな選手は

 おるようやけど誰ひとり

 脱落しないハイレベル。。



 ここは…意地の張り合い。

 (; ・`n・´)


 泣いても笑ってもあと

 たったの一キロ。。


 ならば…笑おう。

 (; ・`v・´)


 勝って繋ぎ切ろう。


 そのためにあと3分…

 限界を超えても意地でも

 顎を引いて耐え抜こう。

 


 ここでコースは左折。


 烏丸通の南下を終えて

 丸太町通りへ。


 残りはもう800mほど。。

 だけどその直後に…



「…な、(;゜Д゜)

 なんだこの感覚、、」



 ほぼ平坦なはずの

 丸太町通り。。


 なのに…

 

 脚が重い。(; ゜C゜)


 僅かではあるが上りに

 感じてるように思う。。


 限界に迫る能勢に

 その感覚を覚えさせた

 理由とは、、



 烏丸通の下り。

 (;・∀・)


 下り坂から平坦な道に

 入った時はあたかも

 上り坂に入ったような

 錯覚を覚えるモノ。。



 能勢の表情が曇る。

 フォームが乱れる。。

 (;´・ω・)


 第一中継車の映像を

 見届けた中継所の

 赤阪と浜寺は、、



「…まずい…(;´・c・)

 ここで能勢に余裕が

 なくなったようだ。。」

「…そうか??( ゜n゜)

 じゃぁレースはどう

 なるんだ、赤阪。。」


「おそらく…(;´・ω・)

 後方に吸収される。。

 ここまで先頭で持って

 来るのは苦しい。。」

「…どころか、(;゜Д゜)

 後方は大集団だぞ。。

 何位で来るか読めない

 ってどうすれば…」


「…浜寺、(;゜n゜)

 悪いが覚悟してくれ…

 これは追う展開になる

 かもしれないよ。。」

「……わかった。。

 でもこれ…(;´・ω・)」



 浜寺は周りを見渡す。


 これから三区を走る

 彼の目に映るのは

 同じ区間を走る、、


 アフリカ人たち。。

 (;・∀・)


 迫りくるライバル、

 10人の大集団のうち…


 4人が黒人留学生。

 (;;゜Д゜;)


 おそらく間違いなく

 浜寺よりも大幅に高い

 走力を持つ選手たち、、



 もちろん…勝てるとは

 思っていない。。

 (;´・ω・)


 黒人相手に遅れるのは

 重々に計算の上。。


 けど…



 気持ちでは負けたない。

 (`・ω・´)

 スタート前から諦める

 つもりもない、、


 浜寺自身その心意気は

 強く持ってるけど…



 追う展開と追われる

 展開は違う。。


 格上相手に逃げるのは

 覚悟できるけど、

 格上を追い抜くなんて

 さすがに、、


 ヒーローを標榜する漢、

 浜寺にしても厳しい。。

 (;´・ω・)


 それはきっと…

 二区を走る能勢かって

 承知してるはず。。


 けど…



 息が乱れる。

 足が前に出ない。

 アゴが上がってくる。。

 (´・ω・`)


 ここまで飛ばしてきた

 能勢はすでに限界、、


 後方集団が…迫る。。

 その足音が大きくなる。


 振り返りはしない。。

 後方確認しても得はない。

 能勢は心に決めてる。


 けど飲み込まれたら……



 既に意識朦朧。。

 (´・ω・`)


 ワシほどではないけど

 混濁に近い状態。。


 そんな能勢の脳内を

 よぎったのは…



<おい!豊!(; ・`д・´)>

「…えっ…(´゜д゜`)

 ジイちゃんなの??」


<お前は何を考えてる、、

 今の大事は何だ!?>

「…俺の…今の大事??」


<……見渡せ…(-v-;)

 もう伝えたはずだ。。>

「…(; ・`v・´)。。」



 …よぎったのは、、


 先日に亡くなった

 能勢のおじいちゃん。

 (;´・ω・)


 先日にこの近くの墓に

 納骨されたばかり…



 ワシもそうやったけど

 意識が飛んだ場合は

 時として大切な…


 故人と会うことがある

 のかもしれない。。


 いや…。(/ω;\)

 それはきっと、、


 

 意識の中の大事なモノ。


 潜在意識の中で何より

 大事にしてるモノ。。


 そんな能勢にとって

 ジイちゃんに教わった

 何より大事なモノは、、



 滅私奉公。


 自分より仲間を…

 仲間より世の中を

 慮る公の意識。。

 (`・ω・´)


 自分の苦しみなど

 二の次三の次、、


 チームやレース展開

 さえも些末なこと、、



 ならば…大事は??


 今ここで能勢が守る

 べき大事は??



 走れ!(`・C・´)


 自分を届けてくれる

 人々にその懸命な

 姿を見せることこそ…


 見つめろ、、


 沿道の人たちを…

 カメラの向こうの

 人たちを、、



 私利私欲を捨てれば

 人間のするべきことは

 単純化されるモノ。。

 (´゜n゜`)


 今できる全てを尽くす

 ことに尽きるモノ。



 けど弱い人間…

 欲深い人間にとって

 それはモチベーション

 にはならない。。

 (;・∀・)


 この当たり前のために

 尽くせるのは即ち…



 強い人間、、

 私欲に溺れぬ善人。。


 ならば…



「うわぁぁ!(`;C;´)」


 能勢は…駆けた。


 ただ全力で…(;v;)


 ただ不器用にその力の

 全てを振り絞った。。



 今さら自分のできる

 ことなど知れてる。。


 どんだけ頑張っても

 絞る出せるのは精々が

 数秒程度と知ってる。。


 けど…



 それがどうした??

 (`・v・´)


 沿道を見渡せ、、

 どれだけの人がその

 走りに思いを寄せて

 くれるか知れ、、


 そんな機会は滅多には

 巡らないのなら、、



 壊れるまで走ればいい。

 (*'v'*)


 俺の全てを尽くすに

 躊躇する理由など、

 私より公の能勢豊には

 何もないだろう。。

 (/;v;\)



 背中の大集団との

 差はあと1秒、、

 

 長距離走者にとっては

 もう捕らえたも同然の

 小さな間合い。。


 

 けど…中継所までは

 あと400m。。


 つまりここから先は

 インターハイ選手

 能勢豊の、、



 短距離走者(スプリンター)の間合い。

 (;・∀・)





残りはもう400m、(;・∀・)

泣いても笑ってもあと1分。。


余力はなくとも全力を尽くせる

スプリンター能勢豊はその

力を絞り尽くせる??


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