191 既定路線
スタート一分前。
天下茶屋駅伝部の全てが
詰まったレースが今、、
<スタート1分前!>
12月20日(日)、12時29分。。
(`・ω・´)
NHKの高視聴率番組に
ワシは出演してる。。
最高の舞台に何人もの
男たちが並んでいる。。
…のど自慢やない、、
(。-`ω-)
都大路、、
全国高校駅伝です。。
そこに映ってるんです。
ワンセグで見てる連中も
興奮してるようで、、
「…見ろよ泉、(*'ω'*)
映ってるぞ天保山、、」
『…そりゃそうや。( ・v・)
あいつテレビカメラから
逃げてたらしいけど、
ことここに至ったらもう
逃げれんからな。。』
「…何かあった??(-n-;)
それともマスコミ嫌い?」
『…能勢が聞いてないって
ことは内密やろうな…
まぁ 気にせんとこ。。』
…その通り、
(´・ω・`)
いくら気持ちは決まった
とはいえ緊張はする。。
少し…周囲を見渡す。
(`・ω・´)
ワシのスタート位置は
一列目の中央付近。
予選タイムが全体で10位の
天下茶屋はいい位置から
スタートを切れる。
ちなみに一列目の一番左は
優勝候補筆頭・兵庫代表、
播州工業の上郡。。
14分01秒のベスト持つ
区間賞候補の一人。
他にも一列目は諏訪久聖に
笹羅に略南に小牟田に大林に
槍敷に鱧川に畑村に萬代に
青山森田に市立鮒橋に…
(+_+)
駅伝ファンなら見覚えのある
ユニフォームばかり。
誰も見たことのない小豆色の
服着た天下茶屋のワシは…
場違いやと思う。(@C@;)
けどそんな強敵の隣こそが
偽らざる今の立ち位置。
ちなみにワシの左隣も名門
近畿代表・報緑の庫川。
僅かなりとはいえ知人が隣に
いるってのは今は心強い。
そしてワシのすぐ後ろには
中学時代の顔見知り、、
石川代表・通学館の河北。
(;・∀・)
大阪出身で何度か一緒に
走ったことがある。
陸上留学で石川に渡ったと
聞いたこともある。。
進んだ道は違えどいずれ
交わることもあるんや、、
地元を離れて陸上に賭けた
河北にすればワシは多分
親元に残った甘えん坊。。
けど…きっと同等の努力の
高を重ねたからこそ今は
同じ舞台に立っている、、
<30秒前!>
そう考えると…
少しだけ気持ちが楽に。。
(; ・`v・´)
それがワシの乏しい表情に
出たのかもしれんな。。
南方が…頷いてくれた。
まるで不安な気持ちを払拭
せよと言うかのように…
だから…改めてスタンドに
視線を向けてみた。。
この距離ではみなみの表情
までは見えない。けど…
親指を立ててくれた。
(;・∀・)
思うがままに走れという
さっきの言葉を肯定してる
かのように力強く。
そして…隣にいるあの男も
目線はワシに向いて…
せやから、、
<10秒前!>
ワシは改めて集中して
目線を前に向けた。。
(`・ω・´)
おそらく他の選手も同じ。
一生に何度もない大舞台。
陸上選手として一生を左右
するかもしれん瞬間。。
…正直に言って怖い。。
けど…それ以上に気持ちは
躍動してると思う。。
一瞬でも早く出発の瞬間を
迎えたいとも思ってる。。
今までの成果を見せたい。
自分の力を示した。
そんな心の衝動が抑えきれ
ないくらい溢れてるのが
自分でもわかる。。
せやから、
あれれ??(;・∀・)
<パン!>
もしかしてワシ…
(;/・n・)/
号砲前にスタートした??
けど大丈夫…
フライングの合図はない。
そしてこうなると必然…
先頭に出たのはワシ。
(;´゜C゜`)
全国から集まった58人の
陸上エリートを引っ張る
のはなんとなんと。。
これにはみんな戸惑って
はいるけどその実、、
ワシは意外に大丈夫。
(; ・`v・´)
そもそも集団で走るのは
苦手なワシにとって、
先頭を引っ張るってのは
むしろ慣れてること。
幸い今の西京極は無風。
風除け問題ない。
レース予定を変更する
理由は自身にはない。。
なら…自分らしく走れ。
予定のペースを貫け。。
先頭を走る者にはそれを
実施する権利がある。
電光掲示板に表示された
文字が目に入る。
<都大路の風になれ>
言われるまでもない…
(; ・`v・´)
風なき洛中を吹き抜ける
風になるはここにいる
ワシらの役回りやて。。
200mを通過。35秒。
先頭はゼッケン27番。
大阪・天下茶屋高校の
天保山昇。(`・ω・´)
まだレース序盤とはいえ
ワシの名前が西京極で
アナウンスされてる。。
興奮する。高揚する。
隊列はまだ乱れてない
みたいやけど今のところ
ワシから先頭を取って
変わりたいという動きは
感じ取れない。。
多くの強豪校にとっては
これが…ワシが先頭に
立つのが既定路線??
それとも先頭は誰でも
よかったのかな??
なら…しばらくこのまま
進めればいいのか??
迷わなくていいのか??
そんな気持ちで競技場を
出ようとした頃合い、、
アイツが来た、、
(; ・`n・´)
チーム力の低さゆえに
最後尾からスタートして
いた国体・総体二冠の
世代最強選手が…
ジュニアオリンピックにも
出場した世界にその名を
知られた日本陸上界の
ホープが先頭を伺う。。
中国地区代表(島根)、
日本海水産の竹島出雲。
通称・日本の竹島。。
ワシに並びかけた竹島の
放つ強烈なオーラに気を
取られかけた刹那…
後方が動いた。
(`・n・´)
先頭…交代、、
世界に知られた日本の
ホープが先頭に立つ。。。
これを囲うように日本を
代表する強豪校の一区が
並びかける。。
おそらく…これこそが
強豪各校の既定路線。。
そして竹島の横に立つ
のは無名のワシ。。
この竹島との横並びを
希望する今は無名の…
路面は…石畳。。
デコボコの厳しい道で
あることを物語るかの
ように荒々しい、、
けどおかげでペースは
思うほど上がらず。。
先頭集団からの脱落は
ほとんどなし、、
1キロ地点を通過。
(`・ω・´)
先頭は竹島。二位はワシ。
時計は2分56秒。。
まだレースは…既定路線。
人生もレースも既定路線の
通りにはいかない。
けど今はまだ、、




