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018 スイマー…浜寺高師の場合。。

駅伝部の四人目候補…

スイマー浜寺の勧誘中です。。


「駅伝部に…入ってくれ!!」


 …ワシはもう一度浜寺に切り出してみたけど…


 …作りかけの駅伝部。

 練習場もなければ顧問もいない。

 そして何より…選手が圧倒的に足りていない。

 そんな駅伝部には入らない。。


 …当然の主張や。。



「…悪いけど断るよ。

 それに俺は…スイマーやから。」

「あかんか…」


「ああ。俺は走る気はない。…泳ぎたいんや。」



 …ここまで無碍に断るか…


 ただ…人によってやりたいことは違う。

 走る気のない人間をこれ以上は…誘えない。。


「…わかった。これ以上は誘わんよ。」

「スマンな。…役に立てんで…。」


「けど浜寺。これだけは聞かせてくれ。。

 お前はなぜこんなとこで…

 たった一人で泳いどるんや??」

「はは…マヌケな話やけどええか??」


「ええよ。…オチなんかつけんでええからな。」

「はは…お前ホンマに関西人気質やな。」



 …浜寺曰く…

 かつての天下茶屋高校は水泳の名門校で…

 学校には立派なプールがあって有望な選手もいた。


 そのプールは一般にも開放されることがあって…

 子供向けの水泳教室もあったらしい。。


 …幼い頃の浜寺はそこに通い…

 天下茶屋の水泳部に憧れてたらしいんや。。



 けどプールは数年前に売却され…今は跡形もない。


 なのに浜寺はそれを知らずに入学してしまって…

 入学後に水泳部の廃部を知って…

 どうにもできず…

 近所のこのプールで一人…水泳を続けてたんや。。


 こいつ…ワシに似てる。。


 グラウンドが売却されることを直前まで知らず、

 陸上部の解散さえ知らなかった自分に…。


 だからわかる。

 浜寺が今、何を求めているのか…。 



「…スマンな…オチのないつまらん話で…」

「ええんや。こっちこそ無理に誘って悪かったな。。

 ただな…気が向いたらいつでも来てくれ。。」


「ええんか??俺は泳ぎは速いが走りは遅いぞ。」

「…心配すんな。ワシを泳げるようにした礼として…

 お前を速く走れるようにさせたるから…」


「けど…ホンマに駅伝なんかできるんか??」

「できるかどうかやない。…やるかどうかやろ??」

「……わかった…気が向いたらな。。」



 …確かにいろいろ問題はある。


 駅伝部自体が認められるかさえわからない。。

 試合に出れるかなんてとてもとても…

 だからこれ以上、誘うセリフもないんやけど…


 …ワシにはわかる。


 浜寺はきっと来てくれるはず。

 仲間が欲しいはず。

 だって…こいつはワシに似てるから。。



 …それはそうと…みなみはどこ行った??


 さっきから姿が見えんと思ったら…

 なぜかすまなそうな顔でプールに戻ってきた。

 

『すまん、能勢…

 アンタのアヒルちゃん、破いてしもうた…』

「な…なんですっとぉ!??」


『ロッカーにしまおうと思たら…ビリッと…』

「な…アヒルちゃんが…アヒルちゃんが…」


『悪かったな。…けどそんなに取り乱さんでも…』

「…アヒルちゃんが!!…アヒルちゃんが!!」


『こらぁ!!そっちは女子更衣室やぞ!!』


 

 …結局、取り乱した能勢は…

 アヒルちゃんを助けに女子更衣室に乱入して

 大目玉をくらったらしい。。


 ついでにワシらも出入禁止にされてもた。(+_+)



 …まったく…

 正式に部を立ち上げる前でよかったで。


 普通の部活なら…活動停止にされてたかも…



駅伝部にとっての大事な存在…

浜寺の入部は保留されました。。


けどそれより…

能勢にとってのアヒルちゃんは何なの??

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