表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
170/240

169 誰よりも笑うべきは…

あと2キロ強、、

(・_・;)

決着の時まであとおよそ6分。。


ゴール前で待つ仲間たちも

気が気ではないようで…


「もうすぐ先頭が来るぞ!!

 みんな備えろ!!(; ・`c・´)」

「…おっ、(;'∀')

 仕切るねぇ赤阪副主将。。」


「…いいから!!(;#`д´#)

 みんな天保山にできるだけの

 大きな声をかけてやるんだ!」

「…OK、(; ・`v・´)

 たとえ微力であっても俺たちは

 精一杯にヤツを励ますさ。。」


『…お兄ちゃん…(*'ω'*)

 カッコいい。私も頑張る。。』

「…麗シイデス赤阪サン。。

 オいもサントノ兄妹愛デス。」


「う…煩い。。( #-`ω-#)

 とにかく全力で示すんだ!!

 ボクらのあらん限りを…」



 高校駅伝大阪予選。

 アンカーも残り2キロ強。。


 あと少しでランナーは

 ゴール地点のすぐ近くを

 通過する。(・_・;)



 先頭集団は二校。

 前を引っ張る西風の扇町。

 後に天下茶屋の天保山。。


 三位は…まだ見えない。


 優勝争いは完全に

 この二校に絞られた。。

 (`・ω・´)



 けどここは人が多い。。

 いくら大きな声を出しても

 周囲に掻き消される。


 おそらく内容は届かない。。


 だから…コーチはここから

 少しだけ離れた場所に、、



「…ここだ。(;´・ω・)

 思ったより道幅が狭い。。

 距離は100mもないな。」

『…はい。(・c・;)

 指示が届く時間は精々が

 10秒ちょっとかと。。』


「…ったく、(*-v-*)

 それくらいの距離も併走

 できないないのかよ…」

『…スイマセン。。(-n-;)

 けど陸上選手ってそういう

 もんですよね。。』

 

「…たしかに、(;´・v・)

 素人が声を出しての並走は

 陸上選手を相手には。。」

『…アイツらは…

 そこまで鍛えましたから。。

 ウチは認めてますから…』



 こちらの準備万端。

 (・.・;)


 ゴール地点を過ぎること

 100mほどの場所にある

 狭い河川敷の一角…


 ここは選手と関係者が

 並走することが許された

 数少ない場所。。


 とはいえ…狭い。(-ω-)


 ここに入れるの各チーム

 数名ずつとされてて、、


 バイクを持ち込むなんて

 先頭を走るチームでなきゃ

 まぁ許されない。



 そんな場所をワシらは…

 (`・ω・´)


 膠着状態の先頭の二名は

 駆け抜けていく。。


 3キロ地点…


 ゴール地点のすぐ近くで

 大きな声援が響く。


 加えて…これは駅伝。。


 敵も味方も中立も問わず

 激励の声が響く競技。



 ファイト!( `c´)ノ

 頑張れ!(; `c´)

 負けるな!(; ・`д・´)



 ありきたりではある。

 けど心には響く。。


 ただ…誰なのあそこの

 すごく声の大きい子??


 …赤阪の妹??(*c*;


 ありがたいけど…

 それで他の人からの声が

 殆ど聴き取れんかった。。

 (:。-`ω-)


 つまりことここに至って

 先頭のワシと天馬には…


 仲間たちからの具体的な

 指示は一切なし。。


 となるともうあとは…



「…来たぞ、(; ・`n・´)

 準備はいいな…難波。。」

『…はい。(`・ω・´)

 もう言葉は決めてます。。』


「…ここまできたらもう

 技術や走力だけじゃない…

 勝ちたい気持ちの強い方が

 有利になるからな。。」

『…似合いませんよコーチ。。

 …技術と走力を頂いたこと…

 改めて感謝します。。』


「…ちっ、(。-`v-)

 だったらお前が思いっきり

 天保山に鞭を入れろや。。」

『はい、(`・∀・´)

 ここがウチにとっての

 勝負処ですから、、』



 あと数十メートル。


 少し朦朧としてる視界に

 みなみと千林さんの

 バイクが見えてきた。。


 なんと声がかかる??


 それがこの膠着状態を

 どう打破する??

 勝負にどう関わる??


 けど…Σ(゜Д゜)



「扇町ぃ!!(; ・`д・´)」


 先に声がかかったのは

 西風高校の側。。


 コーチが声を張り上げて

 並走しながら…


 力尽きるまで叫ぶ、、



 誰より頑張ったのはお前だ。


 誰より汗を流したのはお前だ。


 誰より涙を流したのはお前だ。


 そして…


 誰より勝ちたいのは俺たち…

 西風高校なのだと。。



 これを聞いて扇町天馬は

 パワーを充填。(・_・;)


 心なしか表情が良くなった

 ようにさえ思える。



 それに対してみなみは…

 弱った。。


 …もう同じことは言えん。


 天馬が頑張ったこと…

 汗と涙を流したこと…


 否定できる道理はない。。


 同じ努力をしたからこそ

 同じ舞台に立っている。。


 そんな旧友を目の前に、

 ≪誰よりも…≫

 という言葉は出せない。。



 声をかけられるエリアは

 あと数メートル。。

 (;´・ω・)


 口籠るみなみの口から

 絞り出されたのは…



『…誰よりも…(;゜Д゜)』

「…えっ??(・c・;)」


『誰より笑いたいのは…』

「……(; ・c・)」


『誰より笑うべきは…

 昇やぁ!!(; `C´)』

「……(:v;)」



 聞こえた…ハッキリと。

 (/ω;\)


 《今こそ笑えや》と…



 もしかしたらワシがずっと

 一番聞きたかったのは…


 この言葉やったの

 かもしれん。(;c;)



 あの日から心のどこかで

 引っ掛かっていた呪縛。。


 誰かの犠牲の上の命、、


 だからワシはどこかで

 この顔面の後遺症を、、



 罪深きお前に笑顔など

 一生許されない。。



 と言われているように

 感じていたと思う。。


 自分の心にそう課して

 いたとも思う。。



 けど…ええのか??

 本当に笑ってええの??


 少し朦朧とする意識と

 涙で歪んだ視界に…


 今度ははっきりと見えた。



 みさき叔母ちゃんの…

 優しい笑顔。。


 あの日以来初めて見せて

 くれた…本当の笑顔。。



 ああ。そういうことや…


 託した人の分まで幸せに…

 価値ある笑顔のために…



 懸命に笑って生きるのが

 託された者の使命、、


 それが託してくれた人に

 応えること。。

 真に許されることだと。。



 そんなワシを見て…


 普段は無表情な旧友が

 今まで見せたことのない

 表情になったのを見て…



 扇町天馬が仕掛けた。

 (`・ω・´)



 相手走者の表情の変化は

 通常ならび苦しみのサイン。


 勝負を掛けるは鉄則、、


 残りは一キロと少し。


 ここで引き離せば勝負は

 完全に決する、、


 けど…



「…くっ!?(; ・`N・´)

 離れないのか昇!??」


 ワシは…離れない、

 あの扇町天馬をしても。。


 だって…ワシは負けない。


 チームの笑顔のため。

 仲間の笑顔のため。

 命に代えた笑顔のため…



 そして…誰よりも自分が

 笑えるようになるため。


 もう気持ちは絶対に

 負けることはないから、、



 天馬は仕掛けを諦めた。


 もう一度好機を待つ。

 ラスト勝負に備えて再び

 体制を整える。。


 そのためにスピードを

 僅かに落とした刹那、、



「あっ!?Σ(゜Д゜)」



 …前に出た。(`・C・)

 ついにワシはここで初めて

 逆転で先頭に出た。。


 天馬の仕掛けに乗じて更に

 加速させて追い抜いて…


 ここしかないであろう

 ワンチャンスを活かして

 一歩…さらに一歩と…


 リードを広げる!!

 (; ・`v・´)



 ワシの迸る汗が後方を

 走る天馬に飛び散る。。


 いや…これは汗…

 それとも。。



 天馬が知ることは

 なかったと思う。。


 なぜならその後ワシは

 一度として…



 後方を振り返ることは

 なかったから。。

 


決着はついたのか??


次回…クライマックスです。。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ