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016 刻まれた傷跡

駅伝部はみんなでプールに来ましたが…

昇はなぜか乗り気ではありません。。

「…久しぶりだなぁ。ウチの学校はプールがないから。。」

「能勢もか。ボクも中学以来だよ。。」

「…けど年寄りばかり。目の保養にはならんかな??」


『スンマヘンな。…目の保養にならんで…』

「いや難波…けど少しは可愛い水着を…」

『何やて、遊びやないんや!!これは没収!!』

「ええっ!??ちょっとは遊ぼうぜ…」



 …前日の宣言通り、駅伝部は温水プールに来ていた。

 目的はもちろんプールトレーニングなんやけど…


 …こいつら…遊び気分みたい。。


 赤阪の海パンはサーファー仕様やし…

 能勢は…ビーチボールとアヒルちゃんを没収された。



「それより天保山…。

 お前なんで、厚手のTシャツなんか着てるん??」

「…そう言うなや。こうでもせんと…」

「水に入るときは脱げよ。非常識だぞ!!」


 …確かに非常識ではある。 

 だが脱がないのには事情がある。

 それより能勢よ…。

 アヒルちゃんを持ってきたヤツが非常識って何や??



「ほれ。脱いどけよ。」

「…いやん。」


「はは、面白いやん。赤阪はどう思う??」

「そうだな。…ボクも脱いだ方がいいと思うよ。」

「…わかったよ。…せやけど驚くなや…」



 …結局、Tシャツを脱いだけど…

 プールは急にガラガラになってしまった。

 だって…


 …ワシの上半身には深い傷跡がいっぱい。。


 顔にも傷はあるけど…それ以上に痛々しい。

 ヤクザの大親分もここまで刻まれてはないやろう。。

 この体を見れば…大抵の者は逃げ出す。


「…お前…その体…」

「ああ…昔ちょっと事故でな。」

「…だからお前…人目を避けてたのか??」

「…そうや…ずっと…人と関われんかったんや。」



 一目見ればわかる…


 これほどの傷跡…人目をはばかるのはやむを得ない。

 まして強面こわもての天保山ならばなおさら…

 …今まで…どれほど辛い思いをしてきたのか…


 能勢はフッと息をつくと…そっと昇の肩に手を置いた。


「スマなかった。けど…俺は逃げないから。

 お前がいいヤツだって知ってるし…仲間だから。。」

「…ぼ…ボクもだよ。

 ちょっと…驚いたけど…大丈夫…だから。。」



 …おいおい赤阪…ビビりすぎやろう??


 …けどしゃなあいかな。。

 他の客はみんな逃げ出したくらいや。


 さっきまでウジャウジャいた年寄り…どこ消えた??



 …だがそんな騒ぎをまったく気にせず…

 尋常でないマイペースで泳ぎ続ける男が一人。。


 その前から周囲とは完全に異質の存在やったけど… 


 …だが逃げなかったのは当然かもしれない。

 だってコイツ知ってる。

 向こうもワシのことを知ってるやろうから…



 天下茶屋高校2年。

 浜寺高師はまでらたかし


 …帰宅部。。



次の部員候補は…水泳の上手い帰宅部??


なんか…

だんだんと陸上部と遠ざかってない??


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