表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
169/240

168 けど…それでも…

高校駅伝大阪府予選。


都大路を賭けたレースは

アンカー勝負に。。


2秒遅れでスタートした

天下茶屋、天保山昇は、

先頭・西風の扇町天馬に

追いつきました。。


「はっ、Σ(゜Д゜;)…はっ、」

「…ふふっ、(´・v・)

 昇はもう息が乱れてきたか。。

 ならここは一気に…」


「ぐぅっ!<(;`O´)>

 ここから…ここから…」

「…だがコイツはここからが

 強いのも事実。(・c・;)

 自重する方が確率は…」



 アンカー勝負は一キロ過ぎ、


 5キロ区間やというのにもう

 ワシの息は上がってきた。

 (;´-C-;)


 これは競り合うランナーに

 とっては大事は符号。。


 ここで振り回せば普通ならば

 勝負は一気に決する。。


 まして相手は高校生ランク

 日本人一位の中距離走者。


 その仕掛け時を誤るとは

 考えにくい。(;´・n・)



 けど一方で…(・.・;)

 ワシは特異体質。。


 息が上がり朦朧としてから

 強いという何というか…

 

 普通の物差しで測定不能。

 (・_・;)


 勝負を仕掛ける側としては

 凄く面倒くさいタイプ、、


 まして相手は高校生ランク

 日本人一位の中距離走者。


 ラスト100mまで並走して

 直線勝負にさえ持ち込めば

 ほぼ確実に勝てるのなら

 前半から不確実な仕掛けを

 打つ必要もなく。。


 そこは…


 

「…2キロ通過。(・c・;)

 西風は5分50秒。。

 天保山は秒差なし!!」

「ラップは…2分54秒。

 やはり六区より全然速い。。

 扇町にとってこのペースは

 どうなんや放出。。」


「…普通だ。(;´・ω・;)

 アイツには苦しくはない。

 これならおそらく…」

「…脚は残る。(・c・;)

 中距離走者の扇町との

 ラスト直線勝負は…」


「…ちっ、(。・`c・)

 やはり佐野をアンカーから

 外したのは失敗か、、」

「…言うな放出。。(;・c・)

 もう後戻りはでけん。。

 天保山ならラストの前で

 決着をつけると信じろ。」


「…そう…だな。(・_・;)

 だが現実としては。。」

「…厳しいよ。(;´・ω・)

 けどこうなったのは全て

 俺らの成果だろう??」


「…スマン、(;´;n:)

 俺たちがもっと頑張って

 いればもう少しは…」

「…言うな、(; ・`v・´)

 ここまで来たらあとは

 尻拭いは任せよや…

 俺らはアイツがの逆転を

 祈るしかないねんて。」



 そう…やな。(・_・;)


 今から言っても悔いても

 もう詮無きこと。。


 あとはワシだけ、、


 ワシが勝てば都大路。

 負ければそれまで。


 それだけなんよ。


 けどだからこそ…



「じゃぁ…急ごうか。」

「あ、キャプテンさん。

 自転車を用意してくれて

 いたんでしたよね。」


「いや、後部に乗ってくれ。

 疲れや故障のある者がここで

 脚を使う必要はないさ。」

「いや…でも、(・.・;)

 先輩にそんな申し訳ない…」


「…ムリはするな。。

 都大路を走るんだろ??」

「…えっ?(・_・;)」


「俺は…天保山を信じる。

 アイツはきっと勝つから。

 だからキミたちも…」

「……ですよね。(;'v')

 ならば俺らが備えない

 わけにはいかない。。」


「たしかにもう祈るしかない。

 けどならばせめて…

 皆でゴールで見届けよう。」

「……はい。(; ・`v・´)

 俺らも信じますから。。

 都大路を走れると信じて…

 最善を尽くしますから。。」



 そう…よな。(・_・;)


 できることをやるとは

 次を考えることでもある。


 ワシが勝てば…


 そう信じていればやるべき

 ことはまだあると知る。。


 キックスたちに続いて

 赤阪たちもゴール地点に

 辿り着いたらしい。



 皆で見届ける。。

 このゴールに笑顔を運ぶ。


 じゃぁ…

 ワシの使命とは??



「くっ!(; `C´;)」


 もう一度息の上がった

 その時に…


 来るべき感覚が来た。。



 脚が周り身体が軽くなり

 疲労が麻痺する感覚…


 ランナーズハイ。

 (; ・`д・´)


 これに入ればワシは強い。


 扇町天馬とさえ互角に

 走れるはず。けど…



 怖い。(;・n・;;)


 地区予選でこれに失敗した

 ばかりのワシにすれば

 恐怖は計り知れん、、



 実際…ランナーズハイは

 圧倒的な酸欠を伴う。。


 後遺症を残すことがある。

 命に係わることもある。


 当然その危険は承知…


 どっかの謎のオッサンは

 怖なって脚を止めたと

 言うてたと思う。。


 けど…それでも…

 

 そんな朦朧とするワシの

 意識の中に語りかけて

 きたのは…



「…えっ??( ゜Д゜)

 みさき叔母ちゃん??」



 実際に語りかけられた

 ワケやない。。

 自分の中での幻やとは

 わかっとる。。


 けど今ここで亡くなった

 身近な人と会うのは

 何を意味するのか、、



 そりゃ…死にたない。

 命を無駄にしたくない。


 けど…それでも…



《…ならば私は??

 何に命を懸けたの??》


 そう聞こえたと思う。。



 …命懸け、(・_・;)


 最近ではあまり聞かれる

 ことさえない言葉。。


 けど…それでも…



 ただ漫然と生きる命に

 価値なんかない。


 賭けるべき時に削って

 こそ価値のあるもの。


 その機会は一生にそう

 何度も訪れはしない。。


 けどあの時たしかに…


 みさき叔母ちゃんは

 ワシを守ることに本当に

 命を賭けたんやと思う。。



 望んだ結果ではなかったの

 かもしれん。。

 けどその結果として救われた

 ワシの残された命は…


 その価値あるべき命やから…



「…うお!!(; `д´;)」  


 ワシは…賭けた。


 ここ以上に全てを賭ける

 機会はそうはない。


 ここで退いたらワシに

 その機会は一生、、



 今日の全力に退く者は

 明日も全力を尽くせない。


 おそらく来月も来年も…


 つまり今を尽くさなければ

 多分そんなヤツは一生、、

 

 もちろん死んでもええと

 思ったわけやない。

 後遺症はもっとイヤ、、


 けど…それでも…



 たしかに視線は霞む。。

 疲労も感じにくくなって

 きたと思う。。


 けど…それでも…


 いつもより意識はまだ

 しっかりとしている。。

 (`・ω・´)


 表情も…大丈夫、、


 きっと自分の中で覚悟が

 できたんやと思う。。



 中間点を過ぎた時点で

 足取も悪くはない。


 残りは2.5キロを切った。


 けど…勝負できる距離は

 おそらく2キロない。

 ラスト勝負は敗戦必至。。

 

 そしてその前に、、



「もう来るぞ!!(; ・`c・´)

 難波!用意はいいか!?」

『…はい。何とか…』


「バイクで並走できるのは

 本当に短い距離だ。

 長いセリフは無理だぞ!」

『…分かってます。(・c・;)

 伝えられるのは多くても

 二言三言かと…』


「…ちっ、(; -`v-´)

 本当ならここで選手に

 アドバイスするのは

 ボクの仕事のはずだぞ。」

『…有難いです。。(;v;)

 こんな大事な役回りを

 任せてもらって…』



 もうすぐ…三キロ地点。


 ゴール地点のすぐ近くを

 ワシらは通過する。

 (`・ω・´)


 各チームのコーチが

 アドバイスできるのは

 この先にある100mにも

 満たない直線だけ…



 技術的な指示はおそらく

 もう意味をなさん。。


 けど…それでも…


 その僅かな言葉が勝負を

 分けることもある。



 先頭の西風・扇町天馬。

 そのすぐ後ろにつける

 天下茶屋・天保山昇。。


 膠着状態の二人に今、

 どんな言葉が一番力に

 なるんやろうか??

 (・_・;)

決着まであと二キロと少し…

時間にして約6分。

(・_・;)


死力を振り絞る天保山昇に

みなみは何を投げかける??


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ