168 けど…それでも…
高校駅伝大阪府予選。
都大路を賭けたレースは
アンカー勝負に。。
2秒遅れでスタートした
天下茶屋、天保山昇は、
先頭・西風の扇町天馬に
追いつきました。。
「はっ、Σ(゜Д゜;)…はっ、」
「…ふふっ、(´・v・)
昇はもう息が乱れてきたか。。
ならここは一気に…」
「ぐぅっ!<(;`O´)>
ここから…ここから…」
「…だがコイツはここからが
強いのも事実。(・c・;)
自重する方が確率は…」
アンカー勝負は一キロ過ぎ、
5キロ区間やというのにもう
ワシの息は上がってきた。
(;´-C-;)
これは競り合うランナーに
とっては大事は符号。。
ここで振り回せば普通ならば
勝負は一気に決する。。
まして相手は高校生ランク
日本人一位の中距離走者。
その仕掛け時を誤るとは
考えにくい。(;´・n・)
けど一方で…(・.・;)
ワシは特異体質。。
息が上がり朦朧としてから
強いという何というか…
普通の物差しで測定不能。
(・_・;)
勝負を仕掛ける側としては
凄く面倒くさいタイプ、、
まして相手は高校生ランク
日本人一位の中距離走者。
ラスト100mまで並走して
直線勝負にさえ持ち込めば
ほぼ確実に勝てるのなら
前半から不確実な仕掛けを
打つ必要もなく。。
そこは…
「…2キロ通過。(・c・;)
西風は5分50秒。。
天保山は秒差なし!!」
「ラップは…2分54秒。
やはり六区より全然速い。。
扇町にとってこのペースは
どうなんや放出。。」
「…普通だ。(;´・ω・;)
アイツには苦しくはない。
これならおそらく…」
「…脚は残る。(・c・;)
中距離走者の扇町との
ラスト直線勝負は…」
「…ちっ、(。・`c・)
やはり佐野をアンカーから
外したのは失敗か、、」
「…言うな放出。。(;・c・)
もう後戻りはでけん。。
天保山ならラストの前で
決着をつけると信じろ。」
「…そう…だな。(・_・;)
だが現実としては。。」
「…厳しいよ。(;´・ω・)
けどこうなったのは全て
俺らの成果だろう??」
「…スマン、(;´;n:)
俺たちがもっと頑張って
いればもう少しは…」
「…言うな、(; ・`v・´)
ここまで来たらあとは
尻拭いは任せよや…
俺らはアイツがの逆転を
祈るしかないねんて。」
そう…やな。(・_・;)
今から言っても悔いても
もう詮無きこと。。
あとはワシだけ、、
ワシが勝てば都大路。
負ければそれまで。
それだけなんよ。
けどだからこそ…
「じゃぁ…急ごうか。」
「あ、キャプテンさん。
自転車を用意してくれて
いたんでしたよね。」
「いや、後部に乗ってくれ。
疲れや故障のある者がここで
脚を使う必要はないさ。」
「いや…でも、(・.・;)
先輩にそんな申し訳ない…」
「…ムリはするな。。
都大路を走るんだろ??」
「…えっ?(・_・;)」
「俺は…天保山を信じる。
アイツはきっと勝つから。
だからキミたちも…」
「……ですよね。(;'v')
ならば俺らが備えない
わけにはいかない。。」
「たしかにもう祈るしかない。
けどならばせめて…
皆でゴールで見届けよう。」
「……はい。(; ・`v・´)
俺らも信じますから。。
都大路を走れると信じて…
最善を尽くしますから。。」
そう…よな。(・_・;)
できることをやるとは
次を考えることでもある。
ワシが勝てば…
そう信じていればやるべき
ことはまだあると知る。。
キックスたちに続いて
赤阪たちもゴール地点に
辿り着いたらしい。
皆で見届ける。。
このゴールに笑顔を運ぶ。
じゃぁ…
ワシの使命とは??
「くっ!(; `C´;)」
もう一度息の上がった
その時に…
来るべき感覚が来た。。
脚が周り身体が軽くなり
疲労が麻痺する感覚…
ランナーズハイ。
(; ・`д・´)
これに入ればワシは強い。
扇町天馬とさえ互角に
走れるはず。けど…
怖い。(;・n・;;)
地区予選でこれに失敗した
ばかりのワシにすれば
恐怖は計り知れん、、
実際…ランナーズハイは
圧倒的な酸欠を伴う。。
後遺症を残すことがある。
命に係わることもある。
当然その危険は承知…
どっかの謎のオッサンは
怖なって脚を止めたと
言うてたと思う。。
けど…それでも…
そんな朦朧とするワシの
意識の中に語りかけて
きたのは…
「…えっ??( ゜Д゜)
みさき叔母ちゃん??」
実際に語りかけられた
ワケやない。。
自分の中での幻やとは
わかっとる。。
けど今ここで亡くなった
身近な人と会うのは
何を意味するのか、、
そりゃ…死にたない。
命を無駄にしたくない。
けど…それでも…
《…ならば私は??
何に命を懸けたの??》
そう聞こえたと思う。。
…命懸け、(・_・;)
最近ではあまり聞かれる
ことさえない言葉。。
けど…それでも…
ただ漫然と生きる命に
価値なんかない。
賭けるべき時に削って
こそ価値のあるもの。
その機会は一生にそう
何度も訪れはしない。。
けどあの時たしかに…
みさき叔母ちゃんは
ワシを守ることに本当に
命を賭けたんやと思う。。
望んだ結果ではなかったの
かもしれん。。
けどその結果として救われた
ワシの残された命は…
その価値あるべき命やから…
「…うお!!(; `д´;)」
ワシは…賭けた。
ここ以上に全てを賭ける
機会はそうはない。
ここで退いたらワシに
その機会は一生、、
今日の全力に退く者は
明日も全力を尽くせない。
おそらく来月も来年も…
つまり今を尽くさなければ
多分そんなヤツは一生、、
もちろん死んでもええと
思ったわけやない。
後遺症はもっとイヤ、、
けど…それでも…
たしかに視線は霞む。。
疲労も感じにくくなって
きたと思う。。
けど…それでも…
いつもより意識はまだ
しっかりとしている。。
(`・ω・´)
表情も…大丈夫、、
きっと自分の中で覚悟が
できたんやと思う。。
中間点を過ぎた時点で
足取も悪くはない。
残りは2.5キロを切った。
けど…勝負できる距離は
おそらく2キロない。
ラスト勝負は敗戦必至。。
そしてその前に、、
「もう来るぞ!!(; ・`c・´)
難波!用意はいいか!?」
『…はい。何とか…』
「バイクで並走できるのは
本当に短い距離だ。
長いセリフは無理だぞ!」
『…分かってます。(・c・;)
伝えられるのは多くても
二言三言かと…』
「…ちっ、(; -`v-´)
本当ならここで選手に
アドバイスするのは
ボクの仕事のはずだぞ。」
『…有難いです。。(;v;)
こんな大事な役回りを
任せてもらって…』
もうすぐ…三キロ地点。
ゴール地点のすぐ近くを
ワシらは通過する。
(`・ω・´)
各チームのコーチが
アドバイスできるのは
この先にある100mにも
満たない直線だけ…
技術的な指示はおそらく
もう意味をなさん。。
けど…それでも…
その僅かな言葉が勝負を
分けることもある。
先頭の西風・扇町天馬。
そのすぐ後ろにつける
天下茶屋・天保山昇。。
膠着状態の二人に今、
どんな言葉が一番力に
なるんやろうか??
(・_・;)
決着まであと二キロと少し…
時間にして約6分。
(・_・;)
死力を振り絞る天保山昇に
みなみは何を投げかける??




