166 声なき咆哮
高校駅伝大阪府予選も
第六区の3キロ地点を通過。
残りあと7キロ弱…
あと20分ほどで全ては
決着します。。
『3キロ地点で…(;・n・;)
先頭の西風と18秒差。。』
「どうなの難波??( ゜Д゜)
それってマズイの??」
『…距離はおよそ100m。。
まだまだ射程圏ですが…』
「…大丈夫なの??」
『けど中津先生、(`;C:)
この一キロだけで6秒も
先頭と開きました、、
このまま行けば多分…』
「…マズイの??( ゜c゜)
けど浜寺が無理でも次に
天保山がいるから…」
『…けど西風は…(;C;)
次に天馬がいるんです。』
「あの…扇町天馬!?(・c・;)
じゃぁここで追いついて
おかないとこれは。。」
『…けど…( ;`C;´)
まだ終わってません!!
まだ2キロ残ってるから!
浜寺はきっと追いつく…』
「お…落ちつけ難波、、
まだレースは終わって
ないんだぞ!!」
中津先生…(-_-;)
一応は顧問やのに状況を
分かってなさ過ぎです。
けどそんな中津先生でさえ
知ってる有名選手が…
高校日本ランク一位の
中距離走者こそが西風のな
アンカーを務める…
扇町天馬。(・_・;)
彼に先頭で繋がれたら
逆転はほぼ不可能。。
せやからとにかく後続は
速いとこ逆転したい。。
悪くても六区で追いついて
アンカーに繋ぎたい。
なのに…18秒差。。
徐々にその差を開かれて
いるのが現実やから、、
「…決まりかな。(・v・)
色々あったが今年も何とか
西風が逃げ切れそうだ。」
「…天馬…(・n・;)
その挑発には乗らんぞ、、
勝負はまだこれからやと
ワシは思とるから…」
「…同感やよ昇。(-v-;)
けど俺もちょっと複雑な
心境と言うかやな。。」
「…どういうこと??」
「ここまで来たんや…(^-^)
こんな舞台でお前と勝負
できたらええなぁとは
俺は思ってたけど、、」
「……同感や。(; ・`n・´)
ワシもそれ望んどる!!」
「けど…100m差や。。
それは勝負とは言わん。
俺はただ粛々と逃げ切る
ことになるやろう。。」
「…くっ、(´゜n゜`)」
「……悪いな…(;´・v・)
今さら個人戦は望まん。。
ただ1秒でもタスキを繋ぐ
ことを望むだけや。。」
「と…当然や!(; ・`д・´)
だたこれは都大路を賭けた
真剣勝負やど!!
たとえ何秒差あっても…
ワシは追うからな!!」
「……安心した。(^ー^)」
「…えっ?(・.・;)」
「…お前ならそう言うと
思ったよ。(;´・v・)
どんな展開になっても
追ってきてくれると、、」
「…ワシは…(;´・n・)
最後まで諦めへんから。。
それは約束するから…」
「なら…勝負でえぇ。。
一度でええから昇とは…
ガチで戦いたかった。。」
「……やな。(・∀・)
たとえどんな展開でも
勝っても負けても…
恨みっこなしでいこ。。」
その…気持ちは同じ。
恨みっこなしは勝負の掟。
それがスポーツマン。
(`・ω・´)
とはいえ…展開は気になる。
浜寺たち六区はどうなって
いるかと言いますと、、
「…はぁ…ぜぇ…(*O*;」
「…くっ!(; -`O-´;)
俺ももう限界だ、、」
「…くっ…でも…(*c*;」
「…15秒差、(; ・`O・´)
僅かだが詰まってる、、」
実際に声は出ていない。
けど通じ合う。
競り合う二人だけにできる
心の会話かもしれん。。
4キロ地点を通過。
(; ・`n・´)
先頭の西風と二位集団、
逢坂・天下茶屋は15秒差。
先頭の西風が振り返る。
(;´・ω・)
表情に余裕は…ない。
ロングスパートに賭けた
彼に余力はないやろう。
けど…計算はある。
残り一キロの纏め方の
青写真はあるはず、、
もう大崩はないやろう。
そして二位の逢坂、
(;´・ω・;)
その顎は上がりかけ。。
玉砕覚悟の追い上げで
既にギリギリ状態…
気力と根性で何ができる
競技レベルやない。。
それでも一秒でも…
ここで一歩を粘るのが
駅伝の真骨頂。
けどもうそれ以上は…
その逢坂のすぐ後ろは
三位・天下茶屋の浜寺。
連れてってもらった
展開は大きかった。。
(`・ω・´)
本人とてもう限界は
自覚している。
けど一方で…
この中では一番マシな
ことも自覚してる。。
せやから、、
「いっ…けぇ!(; `c´)」
並走する逢坂にチラと
目を向けた刹那…
浜寺が勝負に出た!!
もちろん余裕はない。
残り一キロ弱…
気合だけで乗り切れる
などあり得ない。。
けど浜寺は…英雄。
(`・∀・´)
ヒーローになるべく
ここまで身を潜め、
耐え忍んできた大尽。
ど素人が仲間を求め、
仲間を想い勝利に拘り…
12キロの大減量に耐え、
時に力不足に嘆き、
時に絶望しながらも…
これほど走りを見せる
までに努力し研鑽し
その身を興した大英傑。
もし彼がヒーローなら…
きっと追えるはず。
(`・ω・´)
地味に泥臭く、汗と涙を
撒く散らしてもきっと
最後の一滴まで絞り出し…
チームの勝利に貢献する
全力を貫けるはず。。
せやから…
「う…うわぁ!!(; `д´)」
実際に咆えたわけやない。
(・_・;)
けどこの心の咆哮は
競り合う強敵の耳には
届いていたらしい。
全力を振り絞る苦しみ…
限界をも超えて走る恐怖…
その全てを背負う覚悟、、
西風は…振り向いた。
その気迫を感じたんや。
必死の逃げに転じた。
余力はない…けど絶対に
追い付かせはしない。
だって七区は扇町。。
六区を先頭で繋ぎさえ
すれば勝てるはず。
その責任だけは絶対に
果たす覚悟はある。
逢坂は…涙した。。
最後の力を振り絞って
追い縋ろうとした
その思いさえ虚しく…
…脱落。(;n;)
その僅かの遅れは
体力と気力を根こそぎ
持ち去ってしまう。
ここまで頑張ってきた
男の最後の粘りさえ
奪い去ったらしい。。
駅伝の決着は…残酷。
勝負事における英雄は
凡そ残忍な存在。。
勝利の女神は敗者には
それ以上に…無慈悲。
哀しみは振り払った。
あとは歓喜だけ。
見据える標的の西風の
ペースは上がらない。
残りはおよそ500m。
その差は…10秒を切り
さらにぐんぐん迫る。。
そしてついに…
「6番!用意して。。」
「はい…(; ・`n・´)
西風の扇町です。」
ついに…アンカーが
コールされた。。
やはり先頭は西風。
逃げ切りは濃厚。
でもその直後、、
「続いて22番!!
すぐ用意して。。」
「は…はい。。(゜Д゜)
天下茶屋の天保山…」
…来た。(; ゜n゜)
ついに決着の時…
審判の時まであと少し。
緊張の時、、
けどライバルは。。
「…楽しもうぜ…昇。」
「…えっ…(・_・;)」
「決して望んだ結果では
ないけどな…
最高だと思ってる…
この大舞台で俺とお前が
競い合えるんだから。」
「あ…ああ。( ゜c ゜)」
「…ガチで行くぞ。。」
「ああ…セメントや。。」
「…俺は負けねぇ。。
都大路の忘れモンは…
必ず取り戻すから。。」
「…ワシも。。(; ・`v・´)
絶対に負けへんから、、」
ワシは…少し笑えた
ように思えた。。
相手は扇町天馬。
昨年度の都大路で
五区区間賞の実力者。
そして昨年度の…
最後で逆転されて涙した
あの西風メンバーの
たった一人の生き残り。。
【043話参照】
この漢がワシの…
唯一といえる旧友。。
この場で戦うに最も
相応しい強敵。。
その舞台は…
「ラストだぁ!(; ・`д・´)」
先に右手を上げたのは
西風の扇町天馬。
先を越された。
大逃げを成功できず
崩れても尚その責任を
果たすこと忘れず…
西風が先頭で繋いだ。
けど続いて…
「…やはり…(;-∀-)
俺には届かなかった…」
「…(・c・;)」
「…癪には障るが…
精一杯に追い上げた。。
悔いはねぇ、、」
「…(・_・;)」
「…託すぞ…( ;`v;´)
天保山にならば俺の…
すべてを託せる。。」
声なき声、、
浜寺の心の声は…
ワシには聞こえたと思う。
そして投げ出すように
タスキを渡すと一言、
<…なれ!>とだけ叫んで
その場に倒れ込んだ。。
詳細は聞き取れなかった。
けど心の咆哮はワシには
聞こえたように思えた。。
<お前がヒーローになれ!>
浜寺はそう言うてくれた。。
戦うべき相手…
戦うべきシチエ―ション。
舞台は…整った。。
天下茶屋が第二位で
タスキリレー。。
先頭・西風との差は
僅か…2秒。。
恐怖に堪えもがき続け、
愚直に全力を尽くた漢は
逆点こそできなくても…
英雄だと私は思います。
(; ・`v・´)




