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都大路の風になれ - 不器用な出来たて駅伝部の全力疾走。。  作者: ふみた
勝てば都大路…大阪府予選スタート。
165/240

164 もし俺がヒーローだったなら…

高校駅伝大阪府予選は

五区を終えて、

残りは二区間・10キロ。


現在トップは西風、

二位は天下茶屋(11秒差)、

三位は逢坂(16秒差)の接戦。


その後ろは1分以上開いています。


「じゃぁ天下茶屋が…

 二位!?(´゜д゜`)

 トップ西風と11秒!?」

「はい。(;'∀')

 充分に逆転もあると…」


「…とはいえ…(・.・;)

 三位に落ちた逢坂もまだ

 天下茶屋とは5秒だ。。

 トップの西風とも100m弱…

 これもまたプレッシャーに

 なるんじゃないかな??」

「…あり得ます。(;´・ω・)

 けど前後ともに注意の要る

 難しい展開なのに実は…」



 新聞記者も期待する展開。


 創部一年足らずの駅伝部が

 都大路をも狙える展開に

 なった天下茶屋高校期待の

 六区・浜寺高師は…

 


 ど素人です。(-ω-)/


 陸上を始めて僅か一年。

 レース展開についてはまだ

 基礎知識さえないです。


 本来ならばこの終盤には

 使いたなかったタイプ

 かもしれません。。


 けどそれでも…



「…浜寺なら大丈夫だ。。

 この展開でもきっと何とか

 してくれるはずさ。。」

「…ほう。(・.・;)

 なぜ赤阪はそう思う??」


「だって…いい顔をしてた。。

 きっとアイツはヒーロー像を

 頭に描いてたはずだよ。。」

「……それ…(・c・;)

 むしろ拙いんじゃない??

 俺も一応は釘は刺したが、

 ここで目立ちたがられたら

 致命傷になるぞ。。」


「…だからこそだよ。

 浜寺の言うヒーローとは

 そんな薄っぺらい存在では

 ないんだから。。(;-v-)」

「…なるほど。(;´・v・)

 俺が言うまでもなく浜寺は

 わかってたってことか…」


「…あれ??(・.・;)

 じゃぁもしかして西中島も

 浜寺に何か言ったの??」

「…ああ。(´・v・`)

 前回の続きになるけど…」



 ヒーローの定義とは??

 (;・n・;)


 美味しいところを持って

 行くだけの存在やない。


 駅伝のヒーローには

 縁の下がお似合いって

 結論に至ったし、

 それは間違いないけど…

 

 どうもそれだけやない。


 

 ではヒーローのあるべき

 気の持ちようとは??

 (?´・ω・`?)


 勝利への貢献は当たり前。


 華々しく美味しい活躍など

 誰も望んではいない。

 一人で勝負を決めようとして

 ぶち壊す確率の方が高い。



 では…浜寺なら??


 誰よりもヒーローに憧れる

 浜寺の思うあるべきは?



「もし俺がヒーローだった

 なら…(; ・`n・´)」


 それを思う時に浜寺の

 考える基本とは、、


 哀しみを近づけやしない??

 (´゜д゜`)


 なんて古い歌詞のような

 表現はせぇへんけど…



「…けど多分それ…

 浜寺の本音にかなり近いと

 俺は思うぞ。(;´・v・)」

「…というと放出はどういう

 考えなんや?(;'c')」


「…ラップを見ろ。(・v・;)

 浜寺はよく抑えてるよ。」

「一キロの通過は3分04秒。。

 トップとは…13秒差。。

 少し開いてない??」


「…ここは六区だ。(;'v')

 さすがに14分台の選手を

 使える学校はない。。

 このペースを保てばそうは

 遅れることはないよ。」

「…そうやけど…(・c・;)

 これ見ると三位の逢坂が

 浜寺と一秒差とも…」


「…多分…(;´・v・)

 逢坂は先頭の西風を追う。

 だがこの選手にその地力は

 ないからおそらく、、」

「…潰れる…(・C・;)

 だがそれまで浜寺は焦らず

 待ってられるかな??」


「…待たない。(・v・;)

 おそらく狙ってる。。」

「…できる??(´゜C゜)

 だって浜寺はそんなん

 やったことある??」


「だがおそらくそれこそが

 俺が思う浜寺の…」

「ヒーロー像ってことか。」



 つまりそういうこと…

 (・.・;)

 駅伝に置いてあるべきは

 縁の下の力持ちであり

 その上で、、


 汚れ役。(・_・;)


 哀しみを伴う厄介事を

 振り払う役回りやと

 いうこと。。



 では…(・.・;)

 駅伝における厄介とは?


 頑張りと幸運の重なりで

 レース終盤の六区まできて、

 先頭と11秒差の二位という

 好位置にいる天下茶屋。


 アンカーのワシこと

 天保山昇は5000mベストが

 14分39秒という実力者。

 <(`^´)>


 だがこれを勝たせるには

 できればレース展開は

 単純な方がええ。


 つまり6区が為すべきは?


 哀しみの要素を近づけない

 とはすなわち…


 三位・逢坂の脱落。

 一位・西風との一騎打ちの

 展開に持ち込むこと。。

 (; ・`n・´)


 なぜなら忘れてはいけない

 ことがあるから、


 それは…



「…よう昇、(; ・`v・´)

 まさかここまで天下茶屋が

 粘って来るとはな。。」

「…天馬。。(;´・ω・)

 西風としてはこの展開は

 予定通りなんか??」


「…予定以上さ。(-v-;)

 作戦としては逢坂と北場が

 ここまで付いてきてても

 構わんと思ってた。。」

「…その心は??(・_・;)」


「一騎打ちなら俺は負けん。

 エース区間ではない七区で

 俺と互角に走れる選手は

 おらんはずやからな。。」

「…天馬…お前、(;´゜д゜)」


「…昇かて例外やない…

 旧友のお前が相手でも今は

 負けられへんねや、、

 だって俺はそのために…」

「…けど…(;´・ω・)

 ワシらかてその…」



 忘れてはならんこと。

 それは…(´・ω・`)


 西風高校陸上部主将・

 扇町天馬のこと。。


 その実力は半端やない。


 高二にして800mで

 インターハイに出場。


 去年の府大会優勝…

 全国9位の西風で唯一の

 昨年度からのメンバー。


 そして都大路の五区で

 区間賞を獲得した

 全国レベルの選手であり…


 あの逆転負けを体験した

 当事者。【043参照】



 その屈辱を晴らすために

 今年は駅伝に向けて

 その適性距離を伸ばす

 ために1500mに転向。。


 外国人留学生には敗れた

 ものの国体で全国2位。

 インターハイで3位。。


 日本人では全国ランク1位

 という実績を残している。

 (´゜д゜`)



 そのために流した汗の量は

 想像に難くない。。 


 5000mの適性は不明確やが

 たしかにエース区間でない

 この七区で天馬と互角の

 選手はおらんやろう。。



 加えて天馬はワシとっては

 たった一人といえる友人。。


 中学の陸上部で共に汗を

 流した数少ない仲間。。

 (;´・ω・)


 そして未だに一度として

 勝ったことのない格上、、



 今更ながら思う…


 ワシは気持ちでも実力でも

 本当にこの男に勝つことが

 できるんやろうか。。


 いや…本気でこの男を

 負かすことができるんや

 ろうか。(;´・ω・)


 たった一枚しかない

 都大路への切符、、


 対等に奪い合うことが

 でけるんやろうか??


 けど…(´;ω;)


 ワシが知る扇町天馬は

 優しい男やから…


 ヒーローと呼ばれる

 強い選手は概して

 ワシのような弱者には

 分からん優しさを

 隠し持っているから…



「…おいおい扇町、(ーvー;)

 それでは少々中途半端に

 なってはないか??」

「…あれ?(;'∀')

 放出もそう思った??

 俺も何か違うなぁて…」


「…ケンカ…

 売りに来たんだろ。。

 この期に及んで腹を括れん

 旧友に発破をかけに

 来たんじゃないの??」

「…バレバレかよ。(;-∀-)

 ぶっちゃけ昇は不器用で

 世話が焼けるからさ…」


「…不器用は一緒だろ。。

 この期に及んで悪者に

 なりきれないってどんな

 大根役者だよお前…」

「…たしかに。(;´-v-)

 無論負ける気はないが…

 優しい昇が不完全燃焼に

 ならないよう気を遣った

 つもりやったのにな、」



 そう…なのんか。(;´;n;)


 本当に強い男とはきっと

 こういうことやろう。


 こんギリギリの勝負の

 場においても対戦相手を

 気遣ってなお勝つ…


 その上で勝ちきる。。


 その難行を当たり前に

 できる漢のことを言うん

 やと思う。。(・_・;)


 ワシのような弱者には

 その心持ちさえ気付かせ

 ないようさりげなく…



 ならワシはどうする??


 図らずも強者の心を知って

 しまった弱者のワシは

 どう応えればいいの?? 



「…知れたこと。(ーvー)

 ただ…勝てばいい。。

 扇町の配慮を無駄にせず

 笑ってゴールすること

 だけを考えればいい。」

「…わかるよ…(;´・ω・)

 それはわかるけど…」


「じゃぁ天保山が俺たちの

 英雄になれ。(・v・;)

 本物のヒーローになり…

 全て掻っ攫って来い。」

「…あれ??(;´・c・)

 さっきと言ってること

 違うくない??」


「…ヒーローは縁の下に

 何人いてもいい。。

 だが誰かが光の当たる

 場所にいなけりゃ…

 縁の下で頑張った者も

 輝けないだろう??」

「…(・_・;)」


「なぁ天保山…もしお前が

 ヒーローだったなら、、

 どうあるべきだと思う?」



 もしワシがヒーロー

 だったなら。。


 喜びも哀しみも自分次第

 であるとしたならば…

 勝つも負けるも自分次第

 であるとすればワシが

 為すべきは…



 もしワシがヒーローだった

 なら…(・_・;)


 わかってるけど…

 それは叶うんやろうか??



叶うか叶わないかは

分からない。。


けどやるべきは一つ。

(`・ω・´)


そして六区のヒーローを目指す

浜寺はその舞台をどう整える

走りを魅せてくれるのか。。



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