164 もし俺がヒーローだったなら…
高校駅伝大阪府予選は
五区を終えて、
残りは二区間・10キロ。
現在トップは西風、
二位は天下茶屋(11秒差)、
三位は逢坂(16秒差)の接戦。
その後ろは1分以上開いています。
「じゃぁ天下茶屋が…
二位!?(´゜д゜`)
トップ西風と11秒!?」
「はい。(;'∀')
充分に逆転もあると…」
「…とはいえ…(・.・;)
三位に落ちた逢坂もまだ
天下茶屋とは5秒だ。。
トップの西風とも100m弱…
これもまたプレッシャーに
なるんじゃないかな??」
「…あり得ます。(;´・ω・)
けど前後ともに注意の要る
難しい展開なのに実は…」
新聞記者も期待する展開。
創部一年足らずの駅伝部が
都大路をも狙える展開に
なった天下茶屋高校期待の
六区・浜寺高師は…
ど素人です。(-ω-)/
陸上を始めて僅か一年。
レース展開についてはまだ
基礎知識さえないです。
本来ならばこの終盤には
使いたなかったタイプ
かもしれません。。
けどそれでも…
「…浜寺なら大丈夫だ。。
この展開でもきっと何とか
してくれるはずさ。。」
「…ほう。(・.・;)
なぜ赤阪はそう思う??」
「だって…いい顔をしてた。。
きっとアイツはヒーロー像を
頭に描いてたはずだよ。。」
「……それ…(・c・;)
むしろ拙いんじゃない??
俺も一応は釘は刺したが、
ここで目立ちたがられたら
致命傷になるぞ。。」
「…だからこそだよ。
浜寺の言うヒーローとは
そんな薄っぺらい存在では
ないんだから。。(;-v-)」
「…なるほど。(;´・v・)
俺が言うまでもなく浜寺は
わかってたってことか…」
「…あれ??(・.・;)
じゃぁもしかして西中島も
浜寺に何か言ったの??」
「…ああ。(´・v・`)
前回の続きになるけど…」
ヒーローの定義とは??
(;・n・;)
美味しいところを持って
行くだけの存在やない。
駅伝のヒーローには
縁の下がお似合いって
結論に至ったし、
それは間違いないけど…
どうもそれだけやない。
ではヒーローのあるべき
気の持ちようとは??
(?´・ω・`?)
勝利への貢献は当たり前。
華々しく美味しい活躍など
誰も望んではいない。
一人で勝負を決めようとして
ぶち壊す確率の方が高い。
では…浜寺なら??
誰よりもヒーローに憧れる
浜寺の思うあるべきは?
「もし俺がヒーローだった
なら…(; ・`n・´)」
それを思う時に浜寺の
考える基本とは、、
哀しみを近づけやしない??
(´゜д゜`)
なんて古い歌詞のような
表現はせぇへんけど…
「…けど多分それ…
浜寺の本音にかなり近いと
俺は思うぞ。(;´・v・)」
「…というと放出はどういう
考えなんや?(;'c')」
「…ラップを見ろ。(・v・;)
浜寺はよく抑えてるよ。」
「一キロの通過は3分04秒。。
トップとは…13秒差。。
少し開いてない??」
「…ここは六区だ。(;'v')
さすがに14分台の選手を
使える学校はない。。
このペースを保てばそうは
遅れることはないよ。」
「…そうやけど…(・c・;)
これ見ると三位の逢坂が
浜寺と一秒差とも…」
「…多分…(;´・v・)
逢坂は先頭の西風を追う。
だがこの選手にその地力は
ないからおそらく、、」
「…潰れる…(・C・;)
だがそれまで浜寺は焦らず
待ってられるかな??」
「…待たない。(・v・;)
おそらく狙ってる。。」
「…できる??(´゜C゜)
だって浜寺はそんなん
やったことある??」
「だがおそらくそれこそが
俺が思う浜寺の…」
「ヒーロー像ってことか。」
つまりそういうこと…
(・.・;)
駅伝に置いてあるべきは
縁の下の力持ちであり
その上で、、
汚れ役。(・_・;)
哀しみを伴う厄介事を
振り払う役回りやと
いうこと。。
では…(・.・;)
駅伝における厄介とは?
頑張りと幸運の重なりで
レース終盤の六区まできて、
先頭と11秒差の二位という
好位置にいる天下茶屋。
アンカーのワシこと
天保山昇は5000mベストが
14分39秒という実力者。
<(`^´)>
だがこれを勝たせるには
できればレース展開は
単純な方がええ。
つまり6区が為すべきは?
哀しみの要素を近づけない
とはすなわち…
三位・逢坂の脱落。
一位・西風との一騎打ちの
展開に持ち込むこと。。
(; ・`n・´)
なぜなら忘れてはいけない
ことがあるから、
それは…
「…よう昇、(; ・`v・´)
まさかここまで天下茶屋が
粘って来るとはな。。」
「…天馬。。(;´・ω・)
西風としてはこの展開は
予定通りなんか??」
「…予定以上さ。(-v-;)
作戦としては逢坂と北場が
ここまで付いてきてても
構わんと思ってた。。」
「…その心は??(・_・;)」
「一騎打ちなら俺は負けん。
エース区間ではない七区で
俺と互角に走れる選手は
おらんはずやからな。。」
「…天馬…お前、(;´゜д゜)」
「…昇かて例外やない…
旧友のお前が相手でも今は
負けられへんねや、、
だって俺はそのために…」
「…けど…(;´・ω・)
ワシらかてその…」
忘れてはならんこと。
それは…(´・ω・`)
西風高校陸上部主将・
扇町天馬のこと。。
その実力は半端やない。
高二にして800mで
インターハイに出場。
去年の府大会優勝…
全国9位の西風で唯一の
昨年度からのメンバー。
そして都大路の五区で
区間賞を獲得した
全国レベルの選手であり…
あの逆転負けを体験した
当事者。【043参照】
その屈辱を晴らすために
今年は駅伝に向けて
その適性距離を伸ばす
ために1500mに転向。。
外国人留学生には敗れた
ものの国体で全国2位。
インターハイで3位。。
日本人では全国ランク1位
という実績を残している。
(´゜д゜`)
そのために流した汗の量は
想像に難くない。。
5000mの適性は不明確やが
たしかにエース区間でない
この七区で天馬と互角の
選手はおらんやろう。。
加えて天馬はワシとっては
たった一人といえる友人。。
中学の陸上部で共に汗を
流した数少ない仲間。。
(;´・ω・)
そして未だに一度として
勝ったことのない格上、、
今更ながら思う…
ワシは気持ちでも実力でも
本当にこの男に勝つことが
できるんやろうか。。
いや…本気でこの男を
負かすことができるんや
ろうか。(;´・ω・)
たった一枚しかない
都大路への切符、、
対等に奪い合うことが
でけるんやろうか??
けど…(´;ω;)
ワシが知る扇町天馬は
優しい男やから…
ヒーローと呼ばれる
強い選手は概して
ワシのような弱者には
分からん優しさを
隠し持っているから…
「…おいおい扇町、(ーvー;)
それでは少々中途半端に
なってはないか??」
「…あれ?(;'∀')
放出もそう思った??
俺も何か違うなぁて…」
「…ケンカ…
売りに来たんだろ。。
この期に及んで腹を括れん
旧友に発破をかけに
来たんじゃないの??」
「…バレバレかよ。(;-∀-)
ぶっちゃけ昇は不器用で
世話が焼けるからさ…」
「…不器用は一緒だろ。。
この期に及んで悪者に
なりきれないってどんな
大根役者だよお前…」
「…たしかに。(;´-v-)
無論負ける気はないが…
優しい昇が不完全燃焼に
ならないよう気を遣った
つもりやったのにな、」
そう…なのんか。(;´;n;)
本当に強い男とはきっと
こういうことやろう。
こんギリギリの勝負の
場においても対戦相手を
気遣ってなお勝つ…
その上で勝ちきる。。
その難行を当たり前に
できる漢のことを言うん
やと思う。。(・_・;)
ワシのような弱者には
その心持ちさえ気付かせ
ないようさりげなく…
ならワシはどうする??
図らずも強者の心を知って
しまった弱者のワシは
どう応えればいいの??
「…知れたこと。(ーvー)
ただ…勝てばいい。。
扇町の配慮を無駄にせず
笑ってゴールすること
だけを考えればいい。」
「…わかるよ…(;´・ω・)
それはわかるけど…」
「じゃぁ天保山が俺たちの
英雄になれ。(・v・;)
本物のヒーローになり…
全て掻っ攫って来い。」
「…あれ??(;´・c・)
さっきと言ってること
違うくない??」
「…ヒーローは縁の下に
何人いてもいい。。
だが誰かが光の当たる
場所にいなけりゃ…
縁の下で頑張った者も
輝けないだろう??」
「…(・_・;)」
「なぁ天保山…もしお前が
ヒーローだったなら、、
どうあるべきだと思う?」
もしワシがヒーロー
だったなら。。
喜びも哀しみも自分次第
であるとしたならば…
勝つも負けるも自分次第
であるとすればワシが
為すべきは…
もしワシがヒーローだった
なら…(・_・;)
わかってるけど…
それは叶うんやろうか??
叶うか叶わないかは
分からない。。
けどやるべきは一つ。
(`・ω・´)
そして六区のヒーローを目指す
浜寺はその舞台をどう整える
走りを魅せてくれるのか。。




